快適性と走る楽しさを両立させるスポーツツーリングクラス。’21の3代目ハヤブサに引き続き、’22年も新型モデルが各社から続々と登場。ツーリングブームとともに目が離せないカテゴリーだ。
●文:ヤングマシン編集部(伊藤康司/田宮徹/宮田健一)
電脳装備が満載の新世代ツアラーが続々
空力性能とウインドプロテクションに優れたフルカウルを身にまとい、余裕ある排気量で長距離を疲れ知らずで疾走。そして時には立ち寄ったワインディングで気持ちいい汗を流す。そんな極上の週末体験を提供してくれるのが大型スポーツツーリングクラスだ。’21年は超ロングセラーのスズキ ハヤブサが13年ぶりのモデルチェンジを果たして話題となったが、’22年もさらなる目玉モデルが続々と登場する。
まず、カワサキはバランス型スーパーチャージャーを搭載したニンジャH2 SXが、国産&ロードスポーツ初となるミリ波レーダーシステムを搭載してモデルチェンジ。ホンダはアフリカツインをSUVにしたようなNT1100を電撃発表。スズキはGSX‐S1000Fを一気に電脳強化し、GSX‐S1000GTとして生まれ変わらせた。
他にもニンジャ1000SXやナイケンGT、ゴールドウィングといった個性あるモデルたちも存在。バイクブームでロングツーリングが大人の趣味として脚光を浴びる中、快適性とスポーツマインドを両立するこのカテゴリーはますます人気が出そうだ。
ホンダNT1100:コンセプトはまさに2輪版のオートマSUV
CRF1100Lアフリカツインの1082cc並列2気筒エンジンと基本骨格を譲り受け、前後17インチホイールでオンロード適性を高めつつ、外装にはX-ADV風のデザインテイストを導入。その結果、誕生したのが、都会的でありながらアウトドアな雰囲気も持ったSUV感覚の新世代スポーツツアラーで、アップライトなライディングポジションと高いアイポイントが開放感と扱いやすさをもたらしてくれる。
ヤマハFJR1300シリーズ:国内は今年で最後!
オートクラッチのYCC-Sを装備したASと、マニュアルクラッチとなるAの2モデルが揃う直4ビッグツアラー。さらにASにはコーナリングライトや電動調整サスペンションも装備されている。’22では誕生20周年を記念し、漆黒ボディに金ホイール&記念ロゴなどを配した特別モデルが登場。国内仕様のファイナルモデルとなる。
カワサキ ニンジャ1000SX:元祖スポーツ&ツアラーのいいとこ取りモデル
スポーツとツーリングの両性能をバランスよくまとめた「SX」の付かない先代モデルから、’20でツアラー性能面を強化して進化したフルカウルモデル。トラクションコントロールも連動する4種類のライディングモード/上下両対応のクイックシフター/クルーズコントロール/スマホ接続機能付きのフルカラーメーターといった電子装備を備え、141psを発揮する直4エンジンとともに楽しい旅と走りを提供する。工具いらずで角度を4段階に調整できるスクリーンも好評だ。カラーチェンジが行われた国内’22モデルは1月から発売開始。グリーン×ブラックとグレー×ブラックの2色というラインナップは’21モデルと同じだが、どちらもグラフィックが改められて新鮮なイメージとなった。
ホンダ ゴールドウイング/ツアー:ホンダの極上ツアラー決定版はやはりコレ
1833ccの大排気量水平対向6気筒を誇るホンダのフラッグシップグランドツアラー。そのエンジンはリバース機能付きのDCTでシフト操作を簡便化。フロントには通常のテレスコピックではなくダブルウィッシュボーンのサスペンションを用いることで、巨大な車重を支える強靭さと軽快なハンドリングを両立する。トップケースほか装備“全部入り”が上級版のゴールドウイングツアーで、’22モデルはこのツアーとSTDそれぞれに新色を設定するカラーチェンジを行っている。
スズキ ハヤブサ:メイン領域で歴代最高のパフォーマンスを目指した
’21で13年ぶりのモデルチェンジを果たした3代目のハヤブサ。エンジンや車体は先代のものをベースにユーロ5時代に合わせた徹底的なブラッシュアップが行われ、トラクションコントロール/電子制御スロットル/上下両方向対応のクイックシフターなど各種電子制御も一気に現代レベルまで引き上げられた。ピークパワーこそ先代より下がったが、中速域を徹底的に増強することで0-200mや0-100km/hの発進加速は先代を上回り、6000rpmまでのスピードは他のどのバイクよりも速い。国内仕様も設定され、最高出力は欧州仕様から2ps減の188ps、最大トルクは0.1kg-m減となっているが、これは測定方法の違いによるものでエンジン仕様はまったく同じとされる。なお、国内仕様にはETC2.0車載器も標準装備だ。
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アーカイブ〈’21後期〉大型スポーツツーリング
余裕ある排気量による快適ツーリング性能とワインディングを楽しめるスポーツ性能が同居する大型スポーツツーリングクラス。’21年はついに『ヤングマシン』誌が主催する『マシン オブ ザ イヤー』で9度も頂点に輝いた「ハヤブサ」が3代目となって登場し、このクラスの話題を独占した。
極上3代目ハヤブサが待望のデビュー! ZX-14Rをも呼び起こす?
ウインドプロテクションに優れたフルカウルを身にまといロングツーリングを快適に駆け抜けつつ、峠に入れば高いワインディング性能で気持ちのいい汗を流すことができる。そんな大型ツーリングクラスの近年は、快適性とスポーツ性のバランスがほど良い1000cc前後の排気量帯に人気が集まっていた。しかし、’21年はかつてこのクラスを牽引してきたメガスポーツの雄であるハヤブサに待望の3代目が登場。国内でも発売が開始され大きく注目を浴びることとなった。
これに対し、メガスポーツのもうひとつの雄であったZX-14Rは、’20限りで国内&欧州での発売を終了しているものの、北米ではまだ継続中。新ハヤブサの登場で大型フラッグシップが再び脚光を浴びるなか、ユーロ5に対応し復活の噂も消えない
。
一方でカワサキは現在このクラスの頂点となったニンジャH2 SXには電子制御サスペンションを装備したSE+も投入して迎撃態勢を強化。さらに次期型にはレーダー装備との噂もある。カワサキは北米で’22モデルを続々発表中。全体の布陣が見えるのももうすぐだ。ホンダ&ヤマハに積極的な動きはない。
日本車大型スポーツツーリングクラスの最新潮流
- 新ハヤブサが国内デビュー
- 新型ZX-14Rの線は消滅せず
- 次期型ニンジャH2 SXはレーダー装備か?!
- ナイケンがGTに一本化
- ニンジャ650に北米’22新色登場
日本車大型スポーツツーリングクラス ラインナップ
排気量1001cc以上
排気量751〜1000cc
排気量401〜750cc
アーカイブ〈’21前期〉大型スポーツツーリング
高速クルージングとスポーツ性能を併せ持つ大型ツアラークラス。近年は軽快な1000ccクラスに人気が移行していたこのクラスだが、’21年はいよいよオーバーリッターのハヤブサが復活。メガスポーツの復権なるか、見逃せない1年になりそうだ。
大型スポーツツーリング:いよいよハヤブサ復活。’21最大の注目となるか
余裕ある排気量とウインドプロテクションに優れたカウリングで、高速道路やワインディングで快適な走りを提供してくれるスポーツツーリングクラス。かつては大排気量でもメガスポーツとも呼ばれる1200ccオーバーのマシンたちが花形だったこのクラスだが、最後まで残っていたZX-14Rも’20年限りで生産終了となってしまい、ここ最近は1000cc前後でスーパースポーツに迫る軽さと運動性能を持ちながらアップライトなポジションで楽に速く走れるモデルに人気が集まるようになっていた。
だが、’21年はZX-14Rの終了と入れ替わるように、’18年限りで国内から消えていたハヤブサがユーロ5対応のニューモデルとなって復活! メガスポーツの復権となるか、目下’21ニューモデル全体の中でも最大の注目株となっている。
これを迎え撃つのは、’20年に改良を受けた”楽っ速”モデルの代表であるニンジャ1000のほか、スーパーチャージャー搭載のニンジャH2 SX、LMWのナイケンなど個性的な面々。ミドルクラスにもCBR650Rなど扱いやすさで魅力的なマシンが控えている。
’21最新潮流
- ついに新ハヤブサが登場!
- CBR650Rが小変更
- ZX-14Rの国内販売が終了
- ホンダ伝統のV4を搭載するVFR800Fは現行型が最後に
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