バイクらしい普遍のスタイルと最新技術が融合した、ネオレトロとも呼ばれるヘリテイジなモデル群。カワサキZ900-RSシリーズを筆頭に、今やスーパースポーツを差し置いて人気の上ではトップカテゴリーに成長した。
●文:ヤングマシン編集部(伊藤康司 田宮徹 宮田健一)
国産大型ヘリテイジクラス最新潮流:勢いを強めるカワサキ。対抗馬になるのはどれだ!?
’21年以来、折からの原材料不足に加えて降って湧いたようなバイクブームに供給が追いつかず、入手困難のモデルが相次いでいる2輪車市場。その中でも筆頭となるのが、400cc以上の大型二輪クラスでトップセラーの座に君臨し続けるカワサキZ900RSだ。このマシンをはじめとする懐古スタイルのヘリテイジモデルが世界的に人気を集めており、’22モデルではさらに売り上げを伸ばさんとZ900RSも上級版のSEやZ50周年記念車を投入。また、弟分となるZ650RSも遂に登場した。
カワサキに対抗する他の国産メーカーも、ホンダはロケットカウルの新機軸カフェレーサー・ホーク11を発表。ヤマハはXSR900&700兄弟をリニューアルデザインで送り込む。スズキは電脳装備を強化し新色を採り入れたカタナと新排出ガス規制に対応したSV650Xの2本立てで対抗だ。
だが、カワサキにあるのはZだけではない。メグロK3ともどもW800シリーズを新排出ガス規制に適合させて、空冷バーチカルツインの覇権を狙う。その勢いを変えられるマシンはどれだ!?
カワサキZ900RSシリーズ:言わずと知れた超人気モデル
直列4気筒ストリートファイターのZ900をベースに、レジェンダリーな外装とワイヤースポークをイメージした専用ホイールで、見事なまでに往年のZ1/Z2イメージを再現した「Z900RS」シリーズ。’17年暮れのデビュー以来、大型自動二輪のトップセールス街道を爆進する超人気モデルだ。2段階+オフのトラクションコントロールとツーリングに便利なETC2.0車載器を標準装備。
’22モデルではSTDと足まわりが豪華な「SE」に加えて、Z生誕50周年を記念する特別仕様車がラインナップされた。初代Z1/Z2の火の玉カラーをモチーフとし、特別な重ね塗り技法による深みあるキャンディカラーを実現。ホイールもゴールド色となるほか、サイドエンブレムやタンクトップのロゴなどに専用装飾が施されている。
「カフェ」は、Z900RSに弱ローハンドル/ビキニカウル/シングル風の段付きツートーンシートを与えて、カフェレーサースタイルとしたマシン。マフラーはシックなヘアライン仕上げだ。’22モデルはシルバーストライプの入ったブラックの1色を設定。エンジンスペックはZ900RSと同じで、ETC2.0車載器やヘルメットロックも同様に標準装備だ。
ホンダ ホーク11:大人の時間を楽しむためのカフェレーサー
’22年春に正式発表された、日本市場のために作られたというホンダのネオレトロ。CRF1100Lアフリカツインの並列2気筒エンジンとフレームをベースに、前後17インチの足まわりとカフェレーサースタイルの外装が与えられた。最大の特徴となるロケットカウルは、造形を重視してFRPの一体成型で作られているため、分割合わせ面が存在しない。カウルマウントステーから横方向に配置されたバックミラーも、ホンダらしからぬカスタムチックなものとなっている。経験豊かなベテランライダーをターゲットとしているため、DCT仕様はなく6速マニュアルのみの設定となり、電脳サポートは4つのライディングモード/トラクションコントロール/ESS=エマージェンシーストップシグナルを装備。またETC2.0車載器も標準装備だ。
ヤマハXSR900:’80年代レーサーのネイキッドカスタム風味
’22でユーロ5に対応するフルモデルチェンジ。排気量を845→888ccへと拡大し、フレームも新設計のツインスパーに置き換わった。電子制御まわりもフルライドバイワイヤー化で進化している。デザインは’80年代レースイメージを色濃く採り入れた斬新なものとなり、TZやYZRを思わせるタンク形状やシングル風シート、極めつけは往年のゴロワーズカラーの復刻とも言えるブルー×イエローの車体色を採用した。丸形1灯のヘッドライトはウインカーとともに待望のLED化を果たし、テールランプはシート後端に内蔵するカスタムチックなデザインだ。前後サスペンションにはフルアジャスタブルタイプを奢って、正統派スポーツらしさに磨きをかけている。
スズキKATANA:電子制御強化&車体色を一新。待望のクイックシフターも!
’19に復活した新型KATANAは、’22で初のモデルチェンジ。エンジンは電制スロットル化や吸排気系の再設計などで新排出ガス規制に対応しつつ最高出力を2psアップ。従来はスリッパー機能のみだったクラッチには新たにアシスト機能も追加された。また、従来は3段階+オフだったトラクションコントロールが5段階+オフとなり、ドライブモードセレクターも採用するなど電子制御面が進化。クラッチミード時の回転落ち込みを抑制して発進しやすくするローRPMアシストや、上下両方向で作動するクイックシフターも標準装備となり、より様々な条件下での走りに対応できるようになった。車体色は新色のブルーが登場。シルバーもグラフィックやアクセント色が変更された新色だ。
ホンダCB1300シリーズ:伝統ジャパニーズネイキッドの至宝
弟分のCB400SFや空冷のCB1100は生産終了となるが、1300は’21で見事にユーロ5適合を果たして存続。正統派CBの伝統を繋ぐ。電子制御スロットル化により、トラクションコントロール/ライディングモード/クルーズコントロールを獲得。さらにオプションで双方向クイックシフターにも対応するなど、まだまだ進化中だ。マフラーは4-1集合となり、4気筒ならではの伸び感のあるサウンドを実現。また前後にオーリンズ製サスペンションを装着し、ブレーキもブレンボ製4ポッドラジアルマウントキャリパーをフロントに装備した上級版のSPを、スーパーフォアとスーパーボルドールの双方に設定する。SPではマスターシリンダー径やホース剛性の調整で、コントロール性もこれまで以上に追及されている。
ホンダCB1100EX/RSファイナルエディション:生産終了。空冷直4よ永遠なれ
’21年10月に登場したRS&EXのファイナルエディションをもって、その歴史に終止符を打つこととなった空冷直列4気筒のビッグネイキッド。このファイナルエディションにはそれぞれ専用車体色やタンク上面に特製ステッカーが奢られ、最後を飾るにふさわしい佇まいが与えられている。エンジン自体は、21世紀に入った後にわざわざ空冷で新規開発されたものだけに、非常に惜しい存在だ。前後18インチのワイヤースポークホイールで、クラシック色がより色濃いモデルがEX。前後17インチキャストホイールと別体リザーブタンク付きリヤサスで、スポーティな走りを実現したのがRSだ。タンク形状の異なるベーシック版の無印STDは、’21早々の段階で先に生産を終えていた。
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