[’22前期版]国産大型ヘリテイジ総まとめ#1(801cc〜)【快進撃Z900RSの牙城を崩せるか|新型バイクカタログ】

['22前期版]国産大型ヘリテイジ総まとめ#1(801cc〜)

ビッグバイクの中で、今もっとも人気が集まるヘリテイジクラス。往年のバイクが持つ魅力と現代の技術がもたらす性能が、高いバランスでユーザーニーズにマッチする。絶好調・カワサキZ900RSの対抗馬は現れるのか?


●文:ヤングマシン編集部(伊藤康司/田宮徹/宮田健一)

カワサキZの牙城を崩すマシンは出るか?

発売以来、400cc以上の小型二輪市場でトップセラーの座に君臨し続ける大人気のカワサキZ900RSをはじめ、世間は往年の名車をモチーフにしたネオレトロモデルが一大旋風。新型コロナ禍の影響でバイク趣味にリターンしてきたライダーたちが、そのブームをさらに後押ししている。

’22年はそのZ900RSの上級版となるSEが原材料不足による生産延期を経てようやく1月にに発売。このZシリーズには弟分となるZ650RSも新たに仲間入りした。

もちろん他メーカーも黙ってはいない。ヤマハはXSR900&700を独自のデザイン解釈で、よりモダンクラシックな姿に仕立て上げてモデルチェンジ。スズキのKATANAは電子制御を軸とする性能熟成と車体色の一新で新たなステージを目指す。

残念なのは唯一の大排気量空冷4気筒となっていたホンダのCB1100シリーズがついに終焉を迎えたこと。その一方で同じく空冷のカワサキWシリーズは、復活させたメグロ含めて新規制に対応し、こちらは今後も安泰。海外勢ネオクラシックの攻勢も激しく、このカテゴリーは’22年もホットだ。

カワサキ Z900RSシリーズ

Z900RS SE:伝説のイエローボールのスペシャル仕様だ

国産車一番人気のZ900RSに上級仕様のSEが追加された。オーリンズ製のS46リヤショックが装着され、それに合わせてフロントフォークもゴールドアウターとセッティング変更。フロントブレーキはM4.32モノブロックキャリパーをはじめディスクもブレンボ製システムとなり、マスターシリンダーにはニッシン製専用径のラジアルポンプ。ホースもステンメッシュとなりコントロール性に磨きをかけた。車体色は’73年の欧州仕様Z1のみで発売された伝説の”イエローボール”で、ホイールもゴールド、ラジエターサイドカバーおよびFIカバーはブラックアルマイト加工、サイドカバーエンブレムもSE専用など、至るところが特別仕様だ。

Z900RS/カフェ/50thアニバーサリー:往年のZスタイルでトップセラー驀進王

※写真はZ900RS 50thアニバーサリー

スポーツネイキッドのZ900をベースに、シートレールを改修してネオレトロな外装を装着。ワイヤースポークをイメージした専用ホイールも履くことで見事なまでに往年のZ1のイメージを現代に再現したのがZ900RSだ。姿はレトロでも中身は最新なので、2段階+オフのトラクションコントロールといった電子制御も完備。またツーリングに便利なETC2.0車載器も標準装備となっており、インジケーターはメーター内に備えている。

’22モデルは’21年9月から発売されており、STDの車体色には通称“玉虫”系と呼ばれるブルーとブラックの2色をラインナップ。さらにZシリーズの50周年を記念したアニバーサリー仕様も発売された。

ローハンドルを合わせたビキニカウルとシングル風段付きシートを持つカフェは、シルバーストライプが入るブラックの1色が設定されている。

ホンダ CB1100RS/EXファイナルエディション:貴重な空冷直4に涙の終止符

環境規制が厳しい21世紀に入った後に、わざわざ新規開発で作った空冷直列4気筒エンジンを搭載したホンダCBシリーズのヒストリー的なネオクラシックモデル。角っぽいタンク形状の無印STDの他に、もっともクラシック色が色濃いEXと前後17インチホイールなどでスポーティな走りを実現したRSの3タイプで展開されていた。しかし時代には抗いきれず、無印のSTDはついに’21早々に生産を終了。RSとEXも’21年10月に登場したファイナルエディションをもってその歴史に終止符を打った。このファイナルエディションにはそれぞれ専用車体色やタンク上面に特製ステッカーが奢られ、最後を飾るにふさわしい佇まいを表現。長く乗り続けたくなる仕上がりを見せる。受注生産として予約が開始されたが瞬速で予定台数の1600台は埋まってしまい、今からの入手は至難の業だ。

ヤマハ XSR900:’80sレーサーを思わせるスタイリングとカラー

ヤマハのヘリテイジモデル・XSR900がユーロ5対応とともにフルモデルチェンジ。’21でひと足先にモデルチェンジしたMT-09に倣い、845→888ccへと排気量アップした新エンジンとツインスパーのニューフレームを採用し、電子制御まわりもフルライドバイワイヤー化で進化した。そしてデザインも’80年代のレースイメージを色濃く採り入れた斬新なものに変化。まさしく”あのころ”のタンク形状にシングル風シート、極めつけは往年のゴロワーズカラーの復刻とも言える青×黄の車体色と、マニア泣かせの雰囲気だ。引き続き丸形1灯となるヘッドライトはウインカーとともに待望のLED化を果たし、テールランプはシート後端に内蔵するカスタムチックなデザインが採用されている。走りの面ではスイングアームを専用設計のロングなものとし、前後サスペンションにはフルアジャスタブルタイプを奢って正統派スポーツらしさに磨きをかけた。

スズキ カタナ:電子制御強化&車体色を一新

’19に復活したKATANAは、初のモデルチェンジとなる’22モデルがEICMAで公開された。エンジンは、電子制御スロットル化や吸排気系の再設計などでユーロ5に対応しつつ最高出力を2psアップ。従来はスリッパー機能のみだったクラッチには新たにアシスト機能も追加されている。また、従来は3段階+オフだったトラクションコントロールが5段階+オフとなり、ドライブモードセレクターも採用するなど電子制御面が進化。クラッチミード時の回転落ち込みを抑制して発進しやすくするローRPMアシストや、上下両方向で作動するクイックシフターも標準装備となり、より様々な条件下での走りに対応できるようになった。車体色は青とグレーの完全新色でイメージチェンジが図られた。

ホンダCB1300シリーズ:ユーロ5も乗り越えた!

ユーロ5も何のその。’21で見事に適合を果たすモデルチェンジをしてみせた。電子制御スロットル化により電脳デバイスは進化を遂げ、トラクションコントロール/ライディングモード/クルーズコントロールを獲得。さらにオプションで上下両方向のクイックシフターにも対応した。またマフラーは従来の4-2-1から4-1集合となり、4気筒ならではの伸び感のあるサウンドを実現している。また前後にオーリンズ製サスペンションを装着し、ブレーキもブレンボ製の4ポッドラジアルマウントキャリパーをフロントに装備した上級版のSPをスーパーフォアとスーパーボルドールの双方に設定。こちらはマスターシリンダー径の調整やホース剛性のカスタマイズでコントロール性を追求している。


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