バイクで旅を楽しむための究極ツールとして、その機能を進化させたのがスポーツツーリングカテゴリー。ウインドプロテクションや乗り心地といった快適性はもちろん、安全性や利便性も大きく変わろうとしている。本記事では1000cc以下のモデルラインナップを紹介する。
●文:ヤングマシン編集部(伊藤康司/田宮徹/宮田健一)
カワサキ ニンジャH2 SX/SE:前車追従型クルーズコントロールでハイウェイ移動は楽々
バランス型スーパーチャージドエンジンを搭載するカワサキフラッグシップツアラー。’22モデルではエンジンパフォーマンスアップや電子制御の強化など進化を果たし、国産車初となるボッシュ製ミリ波レーダー支援システム=ARASを採用した。これにより前車追従型クルーズコントロール/死角検知/前方衝突警告といった先進安全装備を獲得。他にも坂道発進を容易にするビークルホールドアシスト/エマージェンシーストップシグナルなども追加された。フルカラーメーターはスマホ連動機能もグレードアップし、ボッシュがベースを開発したアプリ「カワサキスピン」に対応。さらにショーワのスカイフックテクノロジーを採用した電子制御サスペンションとブレンボキャリパーを装備した上級版のSEも設定されている。
スズキGSX-S1000GT:元気のいいエンジンと電脳充実のスポーツツアラー
ネイキッドのGSX-S1000とエンジンやメインフレームといった主要コンポーネンツを共用するスポーツグランドツアラー。S1000同様のトラクションコントロール/パワーモード/クイックシフターはもちろんのこと、電脳面はさらに充実しており、フルカラーTFTメーター/スマホ接続機能/クルーズコントロール/ETC2.0車載器などが標準装備だ。特にメーターは、スマホアプリとの連動でナビ画面の表示も可能なのが特徴。車体も新作シートレールやハンドルやステップへの振動対策など各所に手が加えられ、タンデムを含めたツアラーらしい快適性を高めるための工夫がなされている。
ヤマハ ナイケンGT:ヤマハ独自の3輪構造=LMWのフラッグシップ
フロント2輪にリヤ1輪を組み合わせたヤマハ独自のLMW(Leaning Multi Wheel)を採用したスポーツツアラー。最適な舵角を生み出すLMWアッカーマンジオメトリー技術で優れた旋回性能を発揮する。エンジンは先代MT-09譲りの並列3気筒で、排気量は845cc。電脳装備は2段階+オフのトラクションコントロール/3段階パワーモード/上方向クイックシフター/クルーズコントロールを持つ。’22国内では大型スクリーン/グリップヒーター/専用シート/タンデムグリップを標準装備した上級仕様のGTのみが受注生産で販売。色は赤い差し色が入ったグレーと金色フォークのブルーの2色だ。
カワサキ ニンジャ650/KRTエディション:スマホとの接続機能もあり
68psの扱いやすいパラツインを採用し、日常域からツーリングまで楽しめるフレンドリーな設定のモデル。ニンジャシリーズ共通の逆スラント顔やスマホ連携のインフォテイメント機能を持ったフルカラーTFTメーターなどが特長だ。国内仕様は’22モデルから最高出力&最大トルクは従来と同じとしたまま新排出ガス規制に適合。この結果、WMTCモード燃費の数値が従来の23.6km/Lから23.0km/Lへと変化した。外観形状や装備面への変更は行われていない。車体色はSTDのカラー&グラフィックが新しくなり、ライムグリーン×エボニーのKRTエディションは’21からの継続色となった。車両本体価格はどちらの色も共通となっているほか、ETC2.0車載器も標準装備だ。
ホンダCBR650R:ツーリングからスポーツまで、リーズナブルな直4ミドル
100万円弱で買えるフルカウル4気筒として人気のモデル。アッパーカウル左右のダクトから吸気するツインラムエアシステムを採用しており、648ccの直列4気筒は最大95psを発揮。オン/オフ2段階のトラクションコントロールも備えている。車体はスチール製ツインスパーフレームで、フロントにはショーワ製SFF-BP倒立フォークとラジアルマウントブレーキキャリパーを装着。急制動時にハザードを高速点滅させるESS機能も持つ。欧州では’22年モデルとして新たに2カラーが設定。グラフィックを変更したレッドと、オレンジのハイライトが入ったマットブラックの2色が用意されている。
ホンダVFR800F:ホンダ伝統のV4伝承者はこの先生き残れるか?
RC30やRC45直系のホンダ伝統90度V4エンジンを今に伝える生き証人。’18から変更なしで続くインターセプターカラーが現行型で、トラクションコントロールやETC2.0車載器も標準装備だ。バルブ休止機構のハイパーVTECも特徴だったが、ついに’22年10月で生産終了することが正式に発表された。
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