
1980年代に巻き起こったバイクブーム、およびその源流となった2ストレーサーレプリカブーム。そのうち今回は、レプリカ時代の礎を築いたRG250Γから5年を経て登場したスズキRGV250Γについて振り返ろう。※本記事はヤングマシン臨時増刊『ニッポン旧車烈伝 昭和のジャパン・ビンテージ・バイク323選』からの転載です。
●文:ヤングマシン編集部
シュワンツとともに駆け抜けた夏
レプリカ時代の礎を築いたRG250Γの登場から5年。強力なライバルから覇権を奪還すべく、ついにスズキの次世代機が姿を現す。
RGV250Γの名が示す通り、並列2気筒に代わって完全新設計の90度V型2気筒を搭載。
スズキは1982年からWGPのワークス活動を休止していたが、1988年からV型4気筒のRGV-Γ500を引っ提げて本格復帰。新作のV型250ガンマもこれに合わせて投入された格好である。
低中速トルクの増強を目的に1シリンダーあたり2つの排気デバイスや、市販車としては異例のラウンドラジエター、ボックス構造のアルミツインスパーフレームなど意欲的な装備を満載。
NSRやTZRと一線を画すスラントノーズのフロントカウルも新時代を感じさせた。
乗り味は、控えめな低中速域に対し、炸裂するような高回転パワーで「ジャジャ馬」との異名をとった。
また、当時スズキのエースとして活躍したケビン・シュワンツに憧れるライダーも多く、レプリカブーム佳境期を盛り上げた。
1993年までほぼ毎年バージョンアップを繰り返すも、レプリカブームの沈静化に伴い、沈黙。
ところが、1996年に突如フルチェンジを敢行する。なんと新作の70度Vツインや、剛性を2倍に高めたフレーム、セルスターターなど、2ストレプリカの完成形と呼ぶべき出来映えだった。
結果的にこれが最新&最後の国内2ストレプリカとなったが、言わばガンマが開拓したレプリカ時代をガンマが幕引きした形。不思議な巡り合わせである。
【1988 SUZUKI RGV250Γ】発売当時、WGP500にシュワンツがペプシカラーのRGV-Γで参戦。そのレプリカであるSPには日本GP2連覇の記念グラフィックが入る。■水冷2ストV型2気筒 ピストンリードバルブ 249cc 45ps/9500rpm 3.8kg-m/8000rpm ■128kg ■タイヤサイズF=110/70R17 R=140/60R18 ●発売当時価格:59万9000円 ※写真は1989年式SPモデル
【扱い切れるかクロスミッション】他車に先駆けていち早くSP仕様を投入したVガンマ。減速比が接近したクロスミッションはシフトが忙しく、乗りこなすには腕が必要だった。
1990年のフルチェンジで右2本出しサイレンサーに倒立フォークなど、スズキワークスRGV-Γ500(右)により近く刷新された。
1990年からスズキワークスのメインスポンサーが煙草のラッキーストライクに。これに合わせてレプリカが登場した。1994、1996にも存在。
優勝かリタイヤか。豪快な走りでファンを魅了したケビン・シュワンツ。ヤマハのレイニーとは長年のライバルで、熾烈な争いを展開した。1993WGP500で年間タイトルに輝き、2年後に引退。ゼッケン34はWGP初の永久欠番となった。2013年には鈴鹿8耐に参戦して3位フィニッシュ。
スズキRGV250Γの系譜
1988~1989 スズキRGV250Γ:V型に転換! 車体も完全に一新
新設計の90度Vツインを極太のDCALBOXフレームに搭載。先代から格段に進化を遂げた。レース向けのSPも同年登場。1989年は外観こそ変わらないが、出力特性や電装系を変更してマイチェン。
1990~1995 スズキRGV250Γ:倒立フォークに湾曲スイングアーム
フルモデルチェンジで倒立フォークや右2本出しサイレンサー、湾曲リヤアームなどを採用し、戦力アップ。トリプル排気デバイスも備えた。1993年に40psとなり、トラス形状のスイングアームを獲得した。
1996~2000 スズキRGV250Γ:90度Vから70度Vへ
規制で2スト車の存続が危ぶまれる中、フルチェンジ。位相クランクの70度Vツインやラムエア、エアロカウル、軽量セルなどを与えた野心作で、扱いやすい上に凄まじく速い。SPのみの設定。
【1993 HONDA NSR250R SP】自主規制により40psとなったが、片持ち式のプロアームや、カードメモリキーを採用。以降はカラーチェンジを繰り返し、1999年に発売された1000台限定のレプソルカラーSPが最後のNSRに。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事([連載]青春名車オールスターズ)
ホンダの“R”だ! 可変バルブだ‼ 1980年代に入ると、市販車400ccをベースにしたTT-F3やSS400といった敷居の低いプロダクションレースの人気が高まってきた。ベース車として空冷直4のCBX[…]
ナナハン並みの極太リヤタイヤに見惚れた〈カワサキ GPZ400R〉 レーサーレプリカブーム真っ只中の1985年。技術の進化に伴い、各社はレースで培ったテクノロジーをフィードバックさせたモデルを多く打ち[…]
ヤマハXJ400:45馬力を快適サスペンションが支える カワサキのFXで火ぶたが切られた400cc4気筒ウォーズに、2番目に参入したのはヤマハだった。FXに遅れること約1年、1980年6月に発売された[…]
ヤマハFZR400:極太アルミフレームがレーサーの趣 ライバルがアルミフレームで先鋭化する中、ついにヤマハもFZの発展進化形をリリースする。 1986年5月に発売されたFZRは、前年に発売されたFZ7[…]
スズキ バンディット400:GSX-Rのエンジン流用ネイキッド 59psというクラス最強のパワーを持ち、1984年に華々しく登場したGSX-R。 レーシーに設定されたこのマシンの心臓部の実用域を強化し[…]
最新の関連記事(名車/旧車/絶版車)
空冷4気筒の限界に挑戦 CB1000Rを大別すると前期/後期の2種で、もう少し細かく分類すると、RB1/RB/RC/RDの4種。ただし、各モデルのおもな相違点は足まわりと外装類で、フレームとパワーユニ[…]
地道な改良は多岐に及んだが基本構成は不変 1971/12 GT380(通称BO) ’71年12月から発売が始まった初代の特徴は、フロントのドラムブレーキ。ディスク仕様の登場後もしばらく併売された。 1[…]
3台のレーサーレプリカがブームの基盤を構築 当時は誰もそんなことは言わなかったけれど、’80年前後の大排気量車の世界では、ちょっとしたレーサーレプリカブームが起こっていた。具体的には、’79年にドゥカ[…]
1気筒4バルブ、100年前にOHVメカニズムを確立 まずはその心臓部が驚きの塊です。排気量1000ccの空冷V型2気筒エンジンなんですが、なんと1気筒あたり4バルブ、前後合わせて計8つのバルブを持つO[…]
ニューヨークステーキに挑む異端児タルタルステーキ 世の中のあれこれ以外に、バイクの世界にもたくさんの「タラ・レバ」があります。「あの時、〇〇だったら、〇〇であれば」がそれ。もしも発売されてい「タラ」世[…]
人気記事ランキング(全体)
三輪ソーラーEV「スリールオータ」 スリールオータは、電気だけで動く極めて実用的な小型三輪モビリティだ。ドアがない仕様は「側車付き軽二輪車登録」、ハードドアを装備した仕様は「ミニカー登録」と、ユーザー[…]
大人気バイクが8年目のフルチェンジ。ルックスからは解らない進化とは ──2017年の東京モーターショーで世界初公開されたZ900RS。名車Z1をイメージさせるティーザー動画なども相まって、登場前から鳴[…]
アドベンチャースクーターというジャンルを確立したホンダ「X-ADV」 平日の通勤ラッシュを快適にすり抜け、週末はそのまま林道ダートへと滑り込む。そんな贅沢な夢をこれ以上ない形で具現化したのが、2017[…]
樹脂カバーとは一線を画すスチール製12Lタンクの実用性 1970年代から多くのレジャーバイクファンに愛されながらも、絶版して久しいホンダの名ファンバイク「ゴリラ」。その独特な塊感と愛らしい佇まいを、現[…]
フェラーリF1直系の超軽量カーボン構造。先入観は今すぐ捨てるべし このマシンを開発したのは、元フェラーリF1のエンジニア、ヴィンセンツォ・マッティア。2017年にVINS社を立ち上げつつ、すでに201[…]
最新の投稿記事(全体)
今のバイクはマフラー作りも大きな苦労 念のために触れておくけれど、2025年〜2026年にかけてあったCB1000Fのリコールについて。これに関しては、オイル点検方法などユーザーができる必要なことはY[…]
ショップに設置された特設什器でサウンドを体感して最新インカムをゲット! 応募手順は超シンプル。全国の対象ショップに設置された特設什器でサウンドを体感し、その什器をスマホでパシャリ。専用フォームから写真[…]
真空断熱ケースが実現する「1日中続く」保冷力 ステンレス製卓上用品・キッチン用品の企画・製造・販売を行う株式会社アトラスから、「長時間冷却ボトルインアイスパック」が発売された。本製品は、肌に優しくフィ[…]
オートバイの走行性能を大きく左右する重要なパーツのひとつが、リアサスペンション オートバイの走行性能を大きく左右する重要なパーツのひとつが、リアサスペンションです。エンジンオイルやタイヤとは異なり、サ[…]
スキルライダートレーニングとは? スキル向上を目指すハーレー乗りたちを対象にしたライダートレーニングで、受講者のレベルに応じて弱点や苦手意識の克服から、さらに高度なライディングテクニックの指導を受ける[…]
- 1
- 2















































