ビッグバイクの中で、今もっとも人気が集まるヘリテイジクラス。往年のバイクが持つ魅力と現代の技術がもたらす性能が、高いバランスでユーザーニーズにマッチする。’22年の注目はカワサキZ650RSだ。
●文:ヤングマシン編集部(伊藤康司/田宮徹/宮田健一)
カワサキZの牙城を崩すマシンは出るか? 発売以来、400cc以上の小型二輪市場でトップセラーの座に君臨し続ける大人気のカワサキZ900RSをはじめ、世間は往年の名車をモチーフにしたネオレトロモデルが一[…]
カワサキ Z650RS/50thアニバーサリー:アニキより約30kgも軽量! スリムな快速ツインZ
’18年の登場以来、大ヒットを続けているZ900RSの弟分。兄貴分は並列4気筒だが、こちらは並列2気筒エンジンを積むストリートファイター・Z650がベースで、鋼管トレリスフレームのシートレール角度をRSに最適化。スポークホイールを想起させるホイールも専用品だ。並列2気筒エンジンは、日常でもっとも多用する3000〜6000rpmの性能とフィーリングを最重視しており、それ以上の回転域でも180度クランクらしいスムーズな吹け上がりを味わえる。最大の魅力はカワサキZのDNAを受け継ぐオーセンティックなスタイルで、パラツインのメリットを活かしたスリムな仕上がりも美点。車重はZ900RSより28kgも軽く、軽さと良好なバランスで大型車を食う走りを見せた初代Z650・通称ザッパーの再来と言っていい存在。’22モデル最大の注目作だ。
ヤマハ XSR700:カジュアルなレトロスター。名車RZカラーも復刻
レトロな装いながらスポーツ性能の高い”スポーツヘリテイジ”XSRシリーズの次兄。ベース車・MT-07の扱いやすくもリニアな走りはそのままに、丸1眼ヘッドライトやオーセンティックな外装、厚みのあるダブルシートで落ち着いた雰囲気を醸し出す。また各部に金属パーツを多用するのも特色。タンクサイドカバー/ヘッドライトステー/ラジエターサイドカバーなどをアルミ製とすることで質感を追求している。海外で発表された’22モデルでは、現行MT-07と同様、ユーロ5に対応。新たにLEDヘッドライトを獲得したほか、2ストスポーツの名車として名高いRZ350譲りのゴロワーズカラーも採用し、一段と魅力をアップしている。
カワサキ W800シリーズ:空冷のままユーロ5も乗り越えて安泰の構え
650-W1に始まるカワサキWシリーズのDNAを現代に受け継ぐ空冷バーチカルツインのクラシックモデル。ベベルギヤとシャフトでカムを駆動する独特のOHC機構が特徴だ。ベーシックな「ストリート」と、ビキニカウルとローハンドルでスポーティな「カフェ」、フロント19インチでもっともクラシカルイメージな無印STDと3バリエーションが用意されている。海外では’21の段階でユーロ5に対応していたが、国内モデルも’22から新排出ガス規制に適合する型式認定を取得。同時に車体色も3バリエーションそれぞれ新色となった。また、カワサキPLAZA店にて1か月点検に加え3年間の定期点検とオイル交換を無償で行う「カワサキケアモデル」扱いとなった。
カワサキ メグロK3:カワサキは伝統を守り抜く
カワサキWシリーズの先祖となる「メグロ」ブランドが、最後に生産された「500メグロK2」から55年ぶりとなる’21に復活。W800シリーズをベースに、燃料タンクには銀鏡塗装や小傷を自動修復するハイリーデュラブルペイントを施し、熟練工の手作業で塗られたエンブレムや美しいクロームメッキなどで車体各部が装飾されたスペシャルモデルとして登場した。’22ではその美しい車体色はそのままに国内の新排出ガス規制に適合した型式認定を取得。空冷ながら、規制に負けず伝統をけっして途絶えさせないというカワサキの意志を見せた。グリップヒーター/ETC2.0車載器/センタースタンド/ヘルメットロックも引き続き標準装備されている。
スズキ SV650X:よりスポーツ成分濃厚なカフェバージョン
プレーンなVツインネイキッドのSV650に、サイドスリット入りのビキニカウル/ローハンドル/タックロール入り専用シートを与え、カフェレーサーに仕上げたモデル。ライディングポジションは前傾姿勢となり、しっかりフロント荷重で攻められる。STDにはないフォークトップのプリロード調整機構も走りを意識した装備だ。’18年のデビュー以来カラー変更を重ね、’21モデルは、金色のフレームとマフラーエンドやステッププレートまでブラックでまとめたカラーを採用。’22モデルチェンジで令和の排出ガス規制に適合し、最高出力は76.1psから72psに、車重は2kg増の199kgとなった。
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アーカイブ〈’21後期〉国産大型ヘリテイジクラス(〜801cc)
日本車大型ヘリテイジクラス ラインナップ(〜800cc)
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