[’22前期版]国産新型バイクカタログ:251〜400cc小型二輪総まとめ#3(スクーター)

ビッグスクーターが一大ブームとなったのははるか昔。このクラスは現在、国内メーカーに限定するとラインアップはかなり限られる…のだが、だからこそ厳選された魅力的な車種が多い。海外市場ではこの1〜2年、ホンダが新型を次々導入。国内仕様化は…?


●文:ヤングマシン編集部(伊藤康司/田宮徹/宮田健一)

利便性と快適性に優れた個性派

「ビッグスクーター」に明確な定義はないが、一般的にはエンジンの排気量ではなく車格が大きな250ccクラスから上のスクーターをそう呼ぶことが多い。

日本では20年近く前に、このカテゴリーの大きなブームが到来。しかし10年以上前に流行は終焉し、その後は静かな状態が続いている。

とはいえこれは、ビッグスクーターに魅力がなくなった…ということではない。変速の必要がない操縦しやすさに加えて、ほとんどの車種がシート下に大きなトランクを備えていて積載性と利便性は抜群。タンデムライダーの居住性も高く、動力性能にも申し分ない。

国内メーカーの小型二輪(251〜400cc)としては、ホンダは欧州でADV350とSH350iを展開(国内未導入)、ヤマハは3ホイールのトリシティ300、スズキは唯一のフルサイズ400ccエンジン・バーグマン400を国内で販売中だ。

ホンダADV350:日本版250の開発にも期待したくなる新型登場

※写真は’22欧州仕様

「ADV350」は欧州向けの’22年モデルとして発表された新型。X-ADV/ADV150に続くシリーズ3作目で、アドベンチャーが持つアクティブな雰囲気とスクーターの利便性を融合したフルオートマチック変速モデルだ。開発ベースは、欧州などで販売中のフォルツァ350。外装類の専用化/フロントフォークの倒立化/リザーバータンク付きリヤツインショックへの換装/スポークが細い前後キャストホイールデザイン/ブロックパターン風タイヤの採用などで、独特な世界観を表現している。メーターも専用設計で、フルデジタル表示の液晶ディスプレイはスマホ連携機能付き。ブルートゥースでスマホだけでなくヘッドセットを接続すれば、ボイスコントロール機能も使える。フォルツァ350は、日本版250のベースになっている機種…と考えると、日本向けにADV250が登場することにも期待が高まる。

ホンダSH350i:欧州向けハイホイールスクーター

※写真は’22欧州仕様

走行安定性に優れる前後16インチの大径ホイールと、乗り降りしやすいフラットフロアボードデザイン、コンパクトな車体設計が特徴。’21年型で、それまでのSH300iから排気量が51cc拡大され、出力向上とユーロ5適合化も果たした。フルフェイスヘルメットも収納可能なシート下トランクには、タイプCのUSB充電ポートも搭載。モノクロフルデジタル表示メーターやスマートキーを採用する。

ヤマハ トリシティ300:安定感に優れる前2輪のATツアラー

日本では’20年9月に導入開始。フロントの足まわりには、平行を保とうとする2本のアームなどで構成されたパラレログラムリンクで片側2本ずつのテレスコピック式サスを支持する、ヤマハ独自のLMW技術が使われる。ナイケン譲りのアッカーマンジオメトリにより、自然なハンドリングと接地感を実現。スイッチ操作によりLMWの動きを電動ロックして、車両の自立をアシストする機能もある。取り回しやすさを確保するため、この状態でもサスの伸縮機能は維持される。開発ベースは欧州向け2輪スクーターのXMAX300だが、フレームをはじめ専用部品が多数。エンジンは環境性能に優れるブルーコア仕様で、リヤブレーキロック機構/45Lのシート下トランク/スマートキーシステムを備える。

スズキ バーグマン400 ABS:走りに余裕ある王道ビッグスクーター

スカイウェイブ400の後継として’17年型で新登場。400ccクラスの排気量上限となるエンジンを積み前後15/13インチホイールを履いた、スタンダードなビッグスクーターだ。42L容量シート下トランクに加え、左右合計で6.3L容量となるフロントボックスも装備。右側ボックスにはDC12V電源ソケットを内蔵する。カギは機械式ながらキーシリンダーはシャッター付きで、その左側にはノブが大きめで使いやすいパーキングロックレバーを搭載。ライダー側のバックレストは3段階調整式だ。’21年7月の熟成でエンジンがデュアルスパーク化。オンオフ式のトラクションコントロールと、ボタンワンプッシュでエンジン始動までセルが駆動するイージースタートシステムを新採用し、最新排ガス規制にも適合化された。


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