バイク好きに激推し(!)する自転車用ヘルメットはコレだ!! アライの競輪用や特許技術を採用するMotoGPライダー愛用モデルも
●文:[クリエイターチャンネル] 風間ナオト ●写真:サイクルショップ タキザワ、Kabuto
この4月1日から自転車に乗る際のヘルメット着用が努力義務化され、もうすぐ1カ月が経ちますが、ヘルメット購入はまだこれからという方も少なくないのでは?
一見、帽子と見分けが付かないようなカジュアルなモデルが巷では人気とのことですが、バイク好きなら他人とはちょっと違った、こだわりの視点で選びたいところ。
そこで今回は “安全性” “プロ仕様” “レーシー” といった点にこだわって、自転車用ヘルメットをいくつかピックアップしてみました。
バイク用と基本構造が共通するアライの競輪用ヘルメット
まずご紹介するのは、アライの競輪用ヘルメット。
アライヘルメットはいわずと知れた2輪・4輪用ヘルメットの世界的なリーディングカンパニーですが、実は競輪選手用のヘルメットも作っています。
最高速度が70km/hを上回る世界で使われることを想定して開発されているだけにその安全性は抜群! NJS(日本自転車振興会)がJKA(Japan Keirin Autorace foundation)の競走車部品認定基準適合部品として認定した、まさにプロ仕様の逸品です。
特性の異なる素材を重ね合わせるcLcのような積層構造こそ採用していないものの、FRPの帽体に発泡スチロールの緩衝体(衝撃吸収ライナー)を組み合わせる基本構造はバイク用と共通。緩衝体に十分な厚みを持たせることで衝撃吸収性能を高めている。
重量606gと300g前後が標準的な自転車用ヘルメットの中では重い部類ですが、それも安全性を最重要視しているのが理由。競輪が人力による競技であることを考慮し、選手の負担にならないジェットヘルメットの約半分程度(550~650g)を目安に、強靭さと軽さを高次元で両立すべく開発されたそう。
使用する道具の性能差が結果に影響しないようにするという公営競技用ならではの事情もあってなのか、エアロダイナミクスは意識されていないようですが、全体に丸っこいシルエットは、“衝撃をかわす”R75シェイプにこだわるアライヘルメットならでは。
アスファルト路面や他車と接触した場合のことを考え、滑らかな曲率を与えられた帽体は、競技中に前傾姿勢で走る際の視野を確保するため、アーチを描いた独特なカットラインを採用する。
ベンチレーションも丸い穴がいくつか開いているだけで、ロードバイク用モデルに見慣れた方には物足りないかもしれませんが、暑さや汗対策として通気孔を大き目にしてあるとのことで、無骨で質実剛健なデザインがかえって魅力的に見えてきます。
「前頭部にアライのステッカーを貼ったら感じ出るかな?」と筆者も原稿を書きながら俄然欲しくなってきちゃいましたが、このヘルメットは競輪団体の各支部から注文を受けて製造しているため、アライヘルメットでは一般販売していないので注意。
競輪選手向けの商品を多く取り扱うサイクルショップ タキザワで、唯一、一般向けにも販売しているそうなので、気になる方はサイクルショップ タキザワのWEBサイトを確認してみよう。
■サイクルショップ タキザワ
http://www.takizawa-web.com/shop-track19/other/met_a.php
MotoGPのアレイシ・エスパルガロ選手が愛用するオージーケーカブト
競輪用ヘルメットは選手御用達のまさしくプロスペックの製品ですが、引き続いては、バイクレースにおけるプロ中のプロ、MotoGPライダーが愛用する自転車用ヘルメットです。
アプリリア・レーシングに所属するアレイシ・エスパルガロ選手は、2022年シーズン、優勝1回を含む計6回の表彰台でランキング4位を獲得。日本のオージーケーカブトと3年契約を結んで臨んだ2023年も好調を維持していますが、実はこのアレイシ選手、かなりの自転車好きとして知られています。
トレーニングの一環として自転車に乗るレーシングライダーは多いですが、かつて「自転車選手になるのが夢」と語ったこともあるアレイシ選手の自転車愛はちょっとレベチ! なんと太ももに自転車のタトゥーまで入れちゃってます。
愛だけでなく、その健脚は、本場ヨーロッパのプロツアー選手と一緒に練習でき、プロの自転車選手として走れるレベルだとか。
実際、プロ選手とも交流があり、自転車競技の分野でも実績があるオージーケーカブトには、契約を締結する以前から興味を持っていたそう。
契約も自転車用ヘルメットも含むものになっているとのことで、現在、『AERO-SP4』『AERO-R2』『IZANAGI』の3モデルを愛用。自転車トレーニングの様子も自身のSNSにたびたびアップしています。
空力性能を追及した『AERO-SP4』
それぞれのモデルに触れていきますが、風洞実験とCFD(数値流体力学)解析を繰り返し、空力性能を追求した『AERO-SP4』は、バイク好きなら思わず反応してしまうカーボン製。
マグネットで簡単に脱着できるシールドは、フラッシュサーフェス化され、滑らかな曲線を描く全体のフォルムは、まさしく漆黒の弾丸! カーボン繊維の織り目がなんとも渋いです。
トラック競技に向けた完全受注生産モデルですが、もしこれでストリートを駆け抜けたら目立ちまくること間違いナシ!!
ただ弾丸だけに、価格が46,200円と高いのがタマにキズかも?
バイク用ヘルメットの特許技術を採用する『AERO-R2』
そんなトラック競技用エアロヘルメットの遺伝子を引き継ぐ『AERO-R2』は、アレイシ選手がレースで使う『F-17』も採用する、走行中に発生する帽体付近の空気の流れをコントロールし、負荷を軽減する、特許技術の“ウェイクスタビライザー”を装備。
こちらも特許出願中の“エアトンネル構造”が、前頭部からヘルメット内部へと流入する気流を整えながら後方に流すことで、無駄な抵抗を抑制しながら空力性能を安定させます。
眼鏡対応チークパッド採用のバイク用ヘルメットをいち早く販売し始めたカブトらしく、眼鏡との干渉を考慮したシールドを標準で装備しているのも嬉しいポイント。価格は25,300円です。
高温多湿な日本の夏にピッタリな『IZANAGI』
最高の空冷性能を求めたという『IZANAGI』は、暑くなるこれからの季節にピッタリ。
高温多湿な日本の夏を意識し、ヘルメット内部に熱気がこもらないよう空気の流れをデザイン。効率よく冷気を取り込めるエアインレット位置、形状、開口サイズを導き出し、高い冷却効果を実現しています。
頭部全体からヘルメットを浮かせたフローティング構造の採用によって空気の通り道を確保。均一な締め付け加減が、手のひらで頭を包み込むようなフィット感をもたらします。
『AERO-R2』『IZANAGI』とも両サイドのヘッドレスト幅を2段階で調整できますが、『IZANAGI』はさらに頭頂部から後頭部にかけてのアジャスターアームが上下8段階になっていて、より細かく調整可能。こちらは39,600円となっています。
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