![[絶版バイクメンテ] カワサキGPz900R Ninja改:フロントフォークをオーバーホールしてみた](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2024/06/NTB_FrontFolk_Overhaul_01.jpg)
発売から40年を迎えたGPZ900R。今なお人気が高く、中古車市場はもちろんカスタムシーンも盛り上げている。ここで紹介する個体は、オーナーがカスタムを加え進化をし続けている個人カスタム車両だ。転倒して修理したが、どうしても走行中のシミー現象が気になるという。もしかしたらフロントフォークの歪みがあるかもしれないということで、確認も含めモトメカニック編集部でオーバーホールを行った。
●文/写真:モトメカニック編集部 ●外部リンク:丸中洋行
ホイールでもステムベアリングでもない、シミーの原因はタイヤ!? そんなことある!?
“タイヤの偏摩耗やホイールのアンバランス”は、シミーの原因として挙がる2大要因。だがタイヤは新品交換後数百kmで、明確な摩耗や傷はなく、ホイールもバランスウェイトなしでブレずに走っていたことから犯人ではないと判断していた。
そこで、ホイール/ステムに続きフロントフォークをオーバーホール。今回はその工程を紹介する。
最初に暴露してしまうのだが、フロントフォークの曲がりを心配し、チェックを含めての作業だったが、じつは作業後もシミーが続いた。そこで「もしや?」と考え、ダメ元でフロントタイヤを交換したところ、ものの見事に完治してしまったのだ!!
横方向に滑ったことで内部構造に何か異常が発生したのかもしれないが、まさに拍子抜け。タイヤ交換以外に行った作業も、転倒によるダメージの修復はもちろん、メンテナンスとしても有効だから無駄ではない。しかし、まさか原因がタイヤとは…。
インナーチューブのクランプ位置を変えてもアクスルシャフトは通るので曲がっていないと思うが、念のため単品でも確認した。ZRX1100のフロントフォークを流用しているので、丸中洋行が製作販売する純正同等の規格部品であるNTBのオーバーホールキットを調達。さまざまな機種用のキットが出ているのでありがたい。適応車種はこちらで検索を。→丸中洋行 オートパーツサーチ
NTBフロントフォークオーバーホールキットの入組は機種によって異なるが、ZRX1100用のFKK-11はオイルシール/ダストシール/スナップリング/ドレンボルトワッシャーが左右分各2個ずつ含まれている。
インナーチューブのスライドメタル/アウターチューブブッシュ/トップキャップのOリングはカワサキ純正部品を入手。オイルシール類に比べると交換頻度は少ない部品だが、これらも念のため新品に交換した。
ZRX1100は純正フロントフォークがカートリッジ式で、伸び側と圧側双方の減衰力調整が可能。またこのフォークはニンジャに流用するため延長キットが組み込まれ、ハイパープロのスプリングに交換されている。
ハンドル振れの原因として、フロントフォークでもっとも確認しておきたいのはインナーチューブの曲がり。転倒時に曲がるポイントとして一番多いのはアンダーブラケット直下。だが左右のチューブはぴったり密着する。
スライドメタルを取り外したインナーチューブを合わせながら回転させても、2本の間に隙間ができることはなく、曲がりはないことが確認できた。異常がないのは嬉しいことだが、同時に原因追求も頓挫することになる。
可能性としては低いが、ボトムケースの異常を確認するため、インナーチューブのみをストロークさせてみたところ、途中で引っかかることなくスムーズに作動した。組立時はインナーチューブ手前(上の写真内)のパーツを新調する。
ダンパーカートリッジをインナーチューブに通して、先端にオイルロックピースを取り付ける。その先のボルトで固定するイメージだ。ちなみにカートリッジとオイルロックピースはセット部品ですでに販売終了だ。
【市販の角パイプが特殊工具に変身!!】 カートリッジ上部に四角穴があり、ここにはまる角パイプを用意するとホールディングツール代わりに使えるというネット情報を頼りに、一辺19mmの角パイプを購入。ぴったりフィットして分解/組み立て双方で重宝した。
カートリッジ内部を通過するフォークオイル通路の一部となるため、ボトムケース下部から取り付けるボルトはブレーキバンジョーボルトのような穴あきタイプ。ボトムケース下部の圧側調整ダイヤルでオイル流量を調整する。
角パイプでダンパーカートリッジが回らないように押さえながら、ボトムケース下部のボルトを本締めする。カートリッジから減衰力調整用ロッドが突き出しているため、回り止めは四角棒でなく“パイプ状”でなければならない。
インナーチューブにビニール袋を被せて、オイルシールをセットする。このインナーチューブはアンダーブラケット下にも点サビがあるため、ボトムケース近くまでビニールでカバーしている。
NTBオイルシールをセットする前に、ボトムケースのブッシュとワッシャーをインナーチューブに通してある。それらはインストーラーでオイルシールを圧入する際に同時に打ち込まれていく。
オイルシールを打ち込むと、スナップリングが収まる溝が見えるはず。裏を返せば、ボトムケースにリング溝が見えないうちは圧入不足である。またオイルシールが傾かず、内面一周しっかり溝が見えているかも確認する。
作業中の見栄えは悪いが、ビニール袋は点サビ部分を越える位置まで被せておくことが重要。せっかくオイルシールやダストシールを交換しても、サビでリップを傷つけてしまえば本末転倒だ。
減衰力調整用ロッドがインナーチューブ内に落ち込まないよう、針金などを巻き付けた状態でフォークオイルを注入する。今回はZRX1100用ハイパープロスプリングキット指定のオイルを使用した。
インナーチューブフルストローク状態で、油面高さ200mmが指定の標準セッティング。ここではシミー症状の解決が本題なので、フォークオイルレベルゲージも200mmにセット。
フォークオイルを多めに入れて、ダンパーロッドをストロークさせると、カートリッジ内にオイルが行き渡って明確な減衰を感じるようになる。その後、余分なオイルをシリンジで吸い上げる。
ダンパーロッドを引き上げて、密巻き側を上にしてスプリングを組み込む。中空ダンパーロッドの内部に減衰力調整用ロッドを挿入して、カラーやトップキャップを正しい順序で復元する。
インナーチューブとボトムケースにダメージがない時点で、フロントフォークはシミーの原因でないことに気づいていたが、これも無実だった。ほぼ無傷のタイヤが元凶だとは最後まで信じられなかったが、事実は小説よりも奇なり、である。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。
バイクいじりの専門誌『モトメカニック』のお買い求めはこちら↓
モトメカニックの最新記事
愛車の保管に困った時に頼りになるレンタルガレージ。モトジョイならバイクのメンテナンスまで依頼できる!! 自宅にバイクを置くスペースがない、共同駐輪場に置けるバイクは一人一台など、さまざまな理由からレン[…]
摺動部のコンディションをチェック フロントフォークのレストアで大切なのは「シールと摺動部」のサビ状況。今回紹介する車両はいずれにしても、分解メンテナンスとインナーチューブは、磨き込みが必要不可欠な車両[…]
水没W1フレームを「美しい黒フレーム」に 水没W1を分解して各部詳細を点検していく中で、現車コンディションが徐々に明らかになってきた。決して悪くないエンジンコンディションは不幸中の幸い。懸念されるのは[…]
収納力と作業性を両立するワイドな天板。オシャレなステンレスパネルも魅力 ガレージの使い勝手を左右するカギを握っているのは収納だ。今は手持ちの工具が少なくても、ガレージでできる作業が増えれば必要な工具も[…]
最新の関連記事(メンテナンス&レストア)
始まりは車検の不合格 ごめんなさい。25万キロもの間、放置してしまい申し訳ありませんでした・・・! でもね。車ってエンジンが丈夫すぎるから、知らず知らずのうちに「放置」しちゃったりしていませんか? 我[…]
摺動部のコンディションをチェック フロントフォークのレストアで大切なのは「シールと摺動部」のサビ状況。今回紹介する車両はいずれにしても、分解メンテナンスとインナーチューブは、磨き込みが必要不可欠な車両[…]
“過剰性能”というコンセプト 第18回モンキーミーティングの会場を沸かせたリトルカブベースのカスタムマシンがある。その核となるのは「過剰性能」という明確なコンセプトだ。通常の車両開発では、性能は用途に[…]
水没W1フレームを「美しい黒フレーム」に 水没W1を分解して各部詳細を点検していく中で、現車コンディションが徐々に明らかになってきた。決して悪くないエンジンコンディションは不幸中の幸い。懸念されるのは[…]
最新の関連記事(名車/旧車/絶版車)
“過剰性能”というコンセプト 第18回モンキーミーティングの会場を沸かせたリトルカブベースのカスタムマシンがある。その核となるのは「過剰性能」という明確なコンセプトだ。通常の車両開発では、性能は用途に[…]
様々な可能性が試された個性の時代 現代から過去を振り返って見ると、今に連なるメインストリームのマシン達が当然のように歴史を作ってきたように錯覚してしまう。しかし時代の王道を行くマシンの影には、無数の異[…]
浪漫の塊だったレプリカ 年末、あるいは正月にフランスのパリをスタートし、アフリカ大陸を走破してセネガルのダカールを目指す「パリ・ダカールラリー」(2009年からはコースを南米に移して開催)。1978年[…]
再現という行為の本質 第18回モンキーミーティングの会場には数多のモンキー系カスタムが集まり、綺羅星のごとく会場を埋め尽くしたカスタムモンキーの中に一際目を惹く1台があった。 それは伝説的名車であるホ[…]
特殊シリコーン被膜で穴を埋めてサビを防ぐメッキングの可能性を追求 平滑で均一に見えるクロームメッキ被膜には無数の穴があり、そこから浸入した水分によりサビが生じるメカニズムに注目し、特殊シリコーン被膜で[…]
人気記事ランキング(全体)
スロットル操作でシフトダウン!? 電子制御CVT「YECVT」の衝撃 「スクーターはアクセルをひねるだけで楽だが、スポーツ走行ではどうしても物足りない」。そんなライダーの不満を過去のものにするのが、ア[…]
ワークマンプラス上板橋店で実地調査! これからの「猛暑」あるいはそれを飛び越えた「酷暑」と呼ばれる夏の時期、上着なしの薄着でいたくなるのも確か。しかしバイクに乗る以上、「転倒」というリスクには常に備え[…]
走行風を最大の冷却力に変える、新発想の次世代アンダーウエア 真夏のバイク走行において、メッシュジャケットを着ていても「涼しさを感じない」という経験を持つライダーは多い。それは汗が乾ききってしまい、気化[…]
気温45℃再現ブースで驚異の-30℃冷却能力を体感してみた ウインドコア ICE&HEATERペルチェベスト こちらはICE&HEATERペルチェベスト。身体を直接冷やす、-30℃の冷[…]
「リアル峰不二子」が魅せる、相棒との優雅な休日 トライアンフのブランドアンバサダーを務めるダレノガレ明美さん。2026年1月の就任以来、彼女のバイク愛は深まるばかりだ。今回、InstagramとXに投[…]
最新の投稿記事(全体)
WSSPで活躍する岡本祐生選手のレプリカ発売! RX-7Xにこのたび追加されるレプリカモデルは、WSSP(スーパースポーツ世界選手権)で活躍中の岡本祐生選手が愛用しているグラフィックだ。全日本ロードレ[…]
安宿での睡眠不足はツーリングの大敵。音の悩みを和らげる専用設計 宿泊費を極力抑え、その分をガソリン代や現地の美味しい食事に回したい。そう考えるライダーにとって、カプセルホテルやネットカフェは非常にあり[…]
58馬力の直4エンジンが放つ、突き抜けるような高揚感 「ヨンヒャクでも胸のすくような直列4気筒エンジンの吹け上がりを、フルカウルモデルでとことん味わい尽くしたい」。そんなスポーツ志向のライダーの渇望を[…]
歴代モデルが浜松に集結する「KATANAミーティング」の魅力 「KATANAミーティング」の最大の魅力は、新旧様々な排気量のKATANAが一堂に会する圧倒的な光景にある。昨年開催された「KATANA […]
美しい仕上がりと高い保護性能。HUGCUSTOMステッカーの施工開始! 人とは違う、自分だけの個性あふれる外装に仕上げたい。けれどペイントは費用がかさみ、飽きたときに簡単には変えられない。そんな悩みを[…]
- 1
- 2


![NTB|オーバーホールキット|[絶版バイクメンテ] カワサキGPz900R Ninja改:フロントフォークをオーバーホールしてみた](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2024/06/NTB_FrontFolk_Overhaul_02-768x512.jpg)
![NTB|オーバーホールキット|FKK-11|[絶版バイクメンテ] カワサキGPz900R Ninja改:フロントフォークをオーバーホールしてみた](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2024/06/NTB_FrontFolk_Overhaul_03a-768x512.jpg)
![フロントフォークオーバーホール|カワサキ純正部品|[絶版バイクメンテ] カワサキGPz900R Ninja改:フロントフォークをオーバーホールしてみた](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2024/06/NTB_FrontFolk_Overhaul_04-768x512.jpg)
![フロントフォークオーバーホール|ZRX1100純正フロントフォーク|[絶版バイクメンテ] カワサキGPz900R Ninja改:フロントフォークをオーバーホールしてみた](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2024/06/NTB_FrontFolk_Overhaul_05-768x512.jpg)
![フロントフォークオーバーホール|インナーチューブの曲がりを確認|[絶版バイクメンテ] カワサキGPz900R Ninja改:フロントフォークをオーバーホールしてみた](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2024/06/NTB_FrontFolk_Overhaul_06a-768x512.jpg)
![フロントフォークオーバーホール|インナーチューブの曲がりを確認|[絶版バイクメンテ] カワサキGPz900R Ninja改:フロントフォークをオーバーホールしてみた](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2024/06/NTB_FrontFolk_Overhaul_07a-768x512.jpg)
![フロントフォークオーバーホール|インナーチューブ手前パーツを新調|[絶版バイクメンテ] カワサキGPz900R Ninja改:フロントフォークをオーバーホールしてみた](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2024/06/NTB_FrontFolk_Overhaul_08-768x512.jpg)
![フロントフォークオーバーホール|ダンパーカートリッジ|[絶版バイクメンテ] カワサキGPz900R Ninja改:フロントフォークをオーバーホールしてみた](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2024/06/NTB_FrontFolk_Overhaul_09-768x512.jpg)
![フロントフォークオーバーホール|市販の角パイプ|[絶版バイクメンテ] カワサキGPz900R Ninja改:フロントフォークをオーバーホールしてみた](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2024/06/NTB_FrontFolk_Overhaul_10-768x512.jpg)
![フロントフォークオーバーホール|カートリッジ内部|[絶版バイクメンテ] カワサキGPz900R Ninja改:フロントフォークをオーバーホールしてみた](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2024/06/NTB_FrontFolk_Overhaul_11-768x512.jpg)
![フロントフォークオーバーホール|ボトムケース下部ボルトを本締め|[絶版バイクメンテ] カワサキGPz900R Ninja改:フロントフォークをオーバーホールしてみた](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2024/06/NTB_FrontFolk_Overhaul_12-768x512.jpg)
![フロントフォークオーバーホール|オイルシールをセット|[絶版バイクメンテ] カワサキGPz900R Ninja改:フロントフォークをオーバーホールしてみた](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2024/06/NTB_FrontFolk_Overhaul_13-768x1152.jpg)
![フロントフォークオーバーホール|ボトムケースのブッシュとワッシャー|[絶版バイクメンテ] カワサキGPz900R Ninja改:フロントフォークをオーバーホールしてみた](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2024/06/NTB_FrontFolk_Overhaul_14-768x1152.jpg)
![フロントフォークオーバーホール|スナップリングが収まる溝|[絶版バイクメンテ] カワサキGPz900R Ninja改:フロントフォークをオーバーホールしてみた](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2024/06/NTB_FrontFolk_Overhaul_15-768x512.jpg)
![フロントフォークオーバーホール|ビニール袋を被せる|[絶版バイクメンテ] カワサキGPz900R Ninja改:フロントフォークをオーバーホールしてみた](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2024/06/NTB_FrontFolk_Overhaul_16-768x1152.jpg)
![フロントフォークオーバーホール|フォークオイルを注入|[絶版バイクメンテ] カワサキGPz900R Ninja改:フロントフォークをオーバーホールしてみた](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2024/06/NTB_FrontFolk_Overhaul_17-768x512.jpg)
![フロントフォークオーバーホール|油面セッティング|[絶版バイクメンテ] カワサキGPz900R Ninja改:フロントフォークをオーバーホールしてみた](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2024/06/NTB_FrontFolk_Overhaul_18-768x1152.jpg)
![フロントフォークオーバーホール|余分なオイルの吸い上げ|[絶版バイクメンテ] カワサキGPz900R Ninja改:フロントフォークをオーバーホールしてみた](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2024/06/NTB_FrontFolk_Overhaul_19-768x1152.jpg)
![フロントフォークオーバーホール|スプリングの組み込み|[絶版バイクメンテ] カワサキGPz900R Ninja改:フロントフォークをオーバーホールしてみた](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2024/06/NTB_FrontFolk_Overhaul_20-768x1152.jpg)
![フロントフォークオーバーホール|完成|[絶版バイクメンテ] カワサキGPz900R Ninja改:フロントフォークをオーバーホールしてみた](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2024/06/NTB_FrontFolk_Overhaul_21-768x512.jpg)






































