
「もう二度と、新車の2ストロークエンジンで公道を走ることはできないのだろうか」。そんな世界中のライダーの諦めを打ち砕いたイタリアの奇跡ともいえるフルカウルマシンが、ついに日本の地を踏んだ。2022年に発表され予約受付を開始したVINS(ヴィンス)の「ドゥエチンクアンタ ストラーダ」だ。ネイキッドモデルを制作したランゲンへのエンジン供給を優先していたため自社モデルの生産が遅れていたが、沈黙の4年間は決して無駄ではなかった。度重なるアップデートを経て凄みを増した、至高のハンドメイド・モーターサイクルの全貌に迫る。
●文:ヤングマシン編集部 ●写真/外部リンク:モータリスト
83馬力へと進化した、完全新設計の2ストロークVツイン
まず注目したいのは、なんといっても現代の環境規制に適合しながら公道を走れる完全オリジナルの水冷2ストローク250ccVツインエンジンだ。
ヴィンスのエンジニア陣は、予約開始からの4年間でマシンの熟成を徹底的に進めてきた。ハイパワー2ストロークの弱点である熱対策のためシリンダーの設計を全面的に見直し、クランクケースやリードバルブ、燃料供給システムにも改良を施したのだ。
その結果、当初発表されていた最高出力75HPから、実に83HP(1万1700rpm)へのパワーアップを果たしている。谷間なく吹け上がるエンジン特性と分厚いトルクは、ストリートからワインディングまで、かつての2ストロークマシンの記憶を凌駕する強烈な加速体験をライダーに提供してくれるに違いない。
フルカーボンがもたらす車重105kgの衝撃
フェラーリのエンジニア出身である創業者が立ち上げたブランドだけに、車体構成も常識を覆している。
メインフレームには、ヨットレースの最高峰「アメリカズ・カップ」の双胴船から着想を得たというフルカーボン・モノコック構造を採用。驚くべきことに、フロントのダブルウィッシュボーンフォークからリアスイングアーム、さらには前後ホイールに至るまでカーボンコンポジットで編み上げられているのだ。
公道仕様に必要なすべての保安部品を備えながらも、車両重量はわずか105kg(ガソリン抜き)に抑え込まれている。83馬力のパワーとこの羽のような軽さが組み合わさることで、ライダーの意のままに車体を操る、これまでにない異次元のコーナリングを楽しめそうだ。
究極のオリジナリティを所有する喜び
日本に上陸したプロトタイプ1号車は、すべての保安部品が装着され、実際に公道走行が可能な仕様へとセットアップされている。2022年発表時の時点で、国内希望小売価格は990万0000円だった。為替変動や輸送費の高騰もあり、現在の価格については、商談時に確認が必要とのこと。
簡単に手が出せるマシンではないが、既存のエンジンやフレームの流用ではなく、シャシーからエンジンまですべてが自社でゼロから生み出されたという圧倒的なストーリーには、価格以上の価値が宿っている。妥協を許さないイタリアの職人魂が結実したこのドゥエチンクアンタは、選ばれたオーナーのバイクライフを至高のものへと変えてくれることだろう。
VINS Duecinquanta Strada DETAILS
VINS Duecinquanta Strada SPECS
| エンジン型式 | VINS製水冷2サイクル90度Vツイン 電子制御燃料噴射 |
| 総排気量 | 249.5cc |
| 最高出力 | 83HP/1万1700rpm |
| シャシー | カーボンファイバー製モノコック |
| フロントサスペンション | ダブルAアーム式カーボン製フロントフォーク / モノショック |
| リアサスペンション | プッシュロッド式並行配置モノショック / カーボンファイバー製リアスイングアーム |
| タイヤ(前/後) | 120/70-17 / 150/60-17 |
| 車両重量 | 105kg (ガソリン抜き) |
| 国内希望小売価格 | 990万0000円(税込) ※2022年7月当時の予定価格 |
| 日本デリバリー時期 | 2026年7月 |
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(新型スーパースポーツ)
製造工程の見直しで熟成!スペック維持で登場した最新「2027年モデル」 ヤマハ発動機は、3気筒スーパースポーツフラッグシップ「YZF-R9 ABS」の最新仕様となる2027年モデルを発表した。プロダク[…]
2021年モデルで国内導入が終了した過給モンスターが帰ってきた! 2015年に登場したNinja H2は、「誰も経験したことのない走行体験を実現する」という目標のもと、川崎重工業グループのガスタービン[…]
サーキット専用「AMB 001」を経てついに解禁!公道を駆けるロードスター 英国の四輪ラグジュアリーブランドであるアストンマーティンと、伝統の二輪メーカーであるブラフシューペリアの提携が生み出した「A[…]
レース由来の超軽量鍛造ホイールと専用コックピットがもたらす旋回性能 新型パニガーレV2 MM93およびパニガーレV2 FB63は、ベースモデルとなるパニガーレV2 Sの基本設計を受け継ぎつつ、サーキッ[…]
R1のDNAとYCC-Tを凝縮。クラス最軽量149kgを掲げたYZF-R2の全貌 インドで世界初公開されたヤマハの新型YZF-R2は、急成長を続ける200ccプレミアムスーパースポーツセグメントに向け[…]
人気記事ランキング(全体)
「プロジェクトBIG-1」が生んだ400ccネイキッドの基準「CB400SF」 1992年4月、ホンダは「新しい時代にふさわしいホンダのロードスポーツモデルはどうあるべきか」を追求した「プロジェクトB[…]
サビて固着したネジやナメて外せなくなったネジを簡単に外せる デイトナから発売されている「バイク用ショックドライバーセット(品番:95392)」は、錆びついて固着したボルトや、ネジ緩み止め剤が塗布された[…]
荒野を駆け抜けた友情と青春!『機甲創世記モスピーダ』が放つタイムレスな魅力 1983年10月から1984年3月まで全25話が放送されたタツノコプロ制作のTVアニメ『機甲創世記モスピーダ』。謎の宇宙生命[…]
タイムレスなクラシックスタイルと現代的実用性の融合 「クラシックのエッセンスは決して時代遅れにならない」というデザインコンセプトのもと、コロンビア/フィリピン市場で展開されるスズキの「GN 160」。[…]
従来の2気筒から新設計3気筒へ!劇的進化を遂げた新型「Ryker」 BRPジャパンが国内に展開するカンナムシリーズの中で、よりカジュアルに3輪アドベンチャーを楽しめるモデルとして支持されてきた「Ryk[…]
最新の投稿記事(全体)
ティザー画像だけでは、もぉ我慢できない! 復活することがわかった空冷スポーツスター。ハーレーダビッドソン米国本社が新型として再登場させることを成長戦略のひとつとして明らかにし、日本法人ハーレーダビッド[…]
深緑のマットボディに刻まれた公道の血統 ベースとなるのは、BMWのレーステクノロジーを結集した最強フラッグシップ「M 1000 RR Mコンペティション」。1939年にゲオルグ・マイヤーが伝説の「シュ[…]
Screenshot バイクの洗車が面倒なら水無し洗車をしてみよう 愛車をきれいに保ちたいけれど「洗車やコーティングに時間をかけられない」「自宅が水洗いできる環境にない」という理由で敬遠しているライダ[…]
ゲーム世界からの降臨。熱烈なリクエストが動かしたスズキの決断 2026年3月、両国国技館で開催された『ストリートファイター6』の世界大会「CAPCOM CUP 12」および「ストリートファイターリーグ[…]
製造工程の見直しで熟成!スペック維持で登場した最新「2027年モデル」 ヤマハ発動機は、3気筒スーパースポーツフラッグシップ「YZF-R9 ABS」の最新仕様となる2027年モデルを発表した。プロダク[…]
- 1
- 2





































