
友人のカワサキ250TRをを受け取った時に「フロントフォークのインナーチューブは、磨きでキレイになるかな!?」といったお話しがあった。正直、蛇腹ブーツが取り付けられているので、摺動部のコンディションは、ブーツを外してみないとわかりません……。露出部分の点サビは、決して深くなさそうなので、磨けばキレイになりそうだった。
●文/写真:モトメカニック編集部 ●外部リンク:丸中洋行(NTB部品)
摺動部のコンディションをチェック
フロントフォークのレストアで大切なのは「シールと摺動部」のサビ状況。今回紹介する車両はいずれにしても、分解メンテナンスとインナーチューブは、磨き込みが必要不可欠な車両だった。
フォークを外すにはジャッキアップがもちろん必要だ。メインスタンドが無いバイクの場合は、メンテナンススタンドやフロント周りを持ち上げられるジャッキが必要になる。今回は、ガレージ常備の絶版車用メンテスタンドと、直列2連ジャッキでフロント周りを持ち上げることができた。
「NTBバイクパーツサーチ」で検索すると、250TRに適合するフォークシールキットがあった。注文すると消耗部品のオイルシール、抜け止めクリップ、ダストシール、ドレンガスケットが1 台分のセットだった。
ヘッドライトステー周辺のインナーチューブが露出した部分は、ハードクロームメッキの輝きが一切無く、赤い点サビが目立つ寂しいコンディションだった。それでもサビは浅そうに見えた……
メンテナンススタンドで直立させて、直列2連ジャッキでフロント周りを持ち上げた状態でアクスルシャフトを引き抜くと、サビは無いものの油分ゼロのシャフトが抜き取れた。この程度ならまだ良好だ。
フロントアクスルシャフトとベアリング内輪がサビで固着していると、シャフトを抜き取るだけでも一苦労のケースがある。前輪を取り外したら、同時に確認しておきたい部分はいくつもある。
前輪を取り外すと2本のフロントフォークが宙に浮いた状況になった。ボトムケースを鷲づかみにして、前後に振ったときにガタが無いか!? ステアリング操作したときに、可動途中で引っ掛かりが無いか!?
ステアリングの作動性に問題は無く、ガタも無かった。三つ又とトップブリッジの固定ボルトは、ジャッキアップ前にトルク抜きをしておくことで、後々の作業性と安定性が良くなる。試してみよう。
インナーチューブを抜き取ったらそのままにしないで、水道管の細い樹脂パイプやインナーチューブの代用になるパイプを差し込み、ガムテープなどでトップブリッジに貼り付けておくと良い(落下に注意)。
ダミーを差し込んでおくことで、各種ケーブルやハーネス類の復元が容易になる。250TRは本数が少なくて楽だが、モデルによっては相当数のワイヤーケーブルやハーネスが取り回されている。いよいよ現状把握。
カスタムパーツで取り付けられていたインナーチューブ用蛇腹プロテクターを取り外すと、インナーチューブとオイルシールの摺動部に点サビは無く、インナーチューブに目立ったキズも無かった。これはラッキー!!
口幅150ミリの大型万力にインナーチューブチューブのライトステー周辺を固定して、ヘキサゴンソケットのトップボルトを取り外した。やはり車載状態でトップボルトのトルク抜きをしておくと作業性が向上する。
ダンパーオイルをできるだけこぼさないようにカラーやスプリングを抜き取り、直立状態でフルボトムにしてから油面 (インナーチューブの上端からオイル面までの距離) を測定した。現状確認のためだ。
インナーチューブの中にコップ一杯程度の洗い油を流し入れ、内部をシェイクしてから洗い油を排出。それから分解に取り掛かった。先行で内部を洗っておくことで、オイルが滴たらず、作業性は良くなる。
ボトムボルトを取り外してボトムケースを固定し、インナーチューブをスライドさせながらスコンスコンと抜き取った。ドブのような臭いにおいが無かったので、過去にオイル交換されていたようだ。
アジャスタブル機能を一切持たないスタンダード仕様の正立式フロントフォーク。走り込みが激しい車両はインナーとアウターのスライドメタルが擦り減っている。そんなときには純正部品オーダーでメタル交換しよう。
ボトムボルトを締め付けるダンパーシートパイプが空回りすると、ボルトが外せず分解できなくなってしまう。そんなときにはダンパーシートパイプの回り止め特殊工具が必要だ。ロングTレンチと組み合わせよう。
単品になったインナーチューブは旋盤にチャッキングして回した。このときに、オイルを塗布しながらサンドペーパーで磨き込むのだ。このような作業時にあると便利なのが旋盤=夢の工作機械である。
旋盤段取りができたら、CRC556スーパーを吹き付けながらインナーチューブ表面の点サビや汚れを除去する。旋盤で回転させることで、インナーチューブの曲がりも同時に確認点検することができる。
CRC556スーパーを吹き付けながら、1000番の耐水ペーパーから磨き始め、1200番、1500番と番手を細かくしながら磨き進めた。作業は必ず素手で行い、耐水ペーパーを巻き付けて行おう。
1000番の耐水ペーパーで磨き、次の番手へ移る前にキレイなウエスでインナーチューブを拭き取り状況確認してみた。輝きは増し、全域で点サビが落ちていることを確認できた。これでひと安心~♪
インナーチューブを磨き終えたら、2本を寄せ合わせて曲がりが無いか確認してみよう。蛍光灯や外光に向けて、チューブ間にすき間が無くピッタリ重なっているか? 寄せ合わせながらチューブを回し確認しよう。
組み立て復元時はオイルシールドライバーを利用し、シートパイプはセンターリングしながらしっかり締め付け、フルボトム周辺でスムーズに作動するか確認しよう。アクスルシャフトへのグリス塗布もお忘れなく。
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