バイク業界の現在を知ることができる二輪車新聞では、2024年1月1日号で2023年のバイク新車出荷台数(125cc以下)/販売台数(126cc以上)の推定値を掲載した。ここでは小型二輪クラス(251cc以上)のうち、401cc以上の大型バイクについて販売台数ランキングをお届けする。
●文:ヤングマシン編集部(ヨ) ●出典: 二輪車新聞
- 1 国内メーカーではカワサキのみ前年から増だが、全体でも9万台以上の高水準をキープ
- 2 1位:Z900RS/カフェ/SE[カワサキ]5605台(前年6803台)
- 3 2位:ローライダーS/ST[ハーレーダビッドソン]3632台(前年1060台)
- 4 3位:レブル1100/DCT[ホンダ]3282台(前年3972台)
- 5 4位:CB650R/CBR650R[ホンダ]2318台(前年1584台)
- 6 5位:CB1300SF/SB[ホンダ]1778台(前年──台)
- 7 6位:ニンジャ1000SX / 40thアニバーサリー[カワサキ]1466台(前年──台)
- 8 7位:XSR900[ヤマハ]1440台(前年1010台)
- 9 7位:ボンネビルT120/スピードツイン1200/スラクストンRS/スクランブラー1200[トライアンフ]1421台(前年919台)
- 10 9位:ハヤブサ[スズキ]1344台(前年1363台)
- 11 10位:GSX-S1000/GT/カタナ[スズキ]1284台(前年1658台)
- 12 2023年 小型二輪(401cc~) 国内販売台数 TOP20(検査届出ベース)
国内メーカーではカワサキのみ前年から増だが、全体でも9万台以上の高水準をキープ
バイク業界の出来事を網羅する二輪車新聞は、1月1日号で2023年の二輪車総需要を総括した。これは毎年発表されるデータで、どの排気量クラスが盛り上がっているのか、売れた機種はなんだったのかを見ることができる貴重な特集号だ。ここでは二輪車新聞のデータをもとに、小型二輪のうち401cc以上のクラスにフォーカスした記事をお届けしたい。
251~400cc/401cc以上を分けたクラスごとの販売台数は不明のため、小型二輪クラス全体(251cc以上の全て)で見ると、前年比9.4%減(9489台減)の9万1400台。特にホンダは前年比23.7%減(7759台減)の2万5000台となったが、CB400SF/SBの生産が2022年をもって終了したことと、コロナ禍による受注一時停止でGB350/Sが2023年上半期に数字を伸ばせなかったことが大きく影響していると見て間違いない。とはいえシェアでは首位をキープしている。
これに続くのはシェア25.2%のカワサキで、台数は3.4%増の2万3000台。ヤマハはシェア9.6%(前年比16.3%減の8800台)、スズキはシェア8.0%(前年比7.1%減の7300台)となった。また、輸入車その他は前年比0.7%減ながら7300台でシェア29.8%と安定感を見せる。
小型二輪クラス全体では5年ぶりの前年割れだったが、9万台を超える高水準をキープ。販売台数を伸ばしたのはカワサキのみという結果ながら堅調といえそうだ。
以下に小型二輪[401cc以上]クラスの上位10傑を紹介していこう。記事末にはクラス20位までのモデルを含めたランキング詳細も掲載している。
※販売台数は全て二輪車新聞による推定値/前年台数は2022年TOP20圏内のモデルのみ記載
1位:Z900RS/カフェ/SE[カワサキ]5605台(前年6803台)
直列4気筒ストリートファイターのZ900をベースに、レジェンダリーな外装とワイヤースポークをイメージした専用ホイールで、見事なまでに往年のZ1/Z2イメージを再現した「Z900RS」シリーズ。’17年暮れのデビュー以来、大型自動二輪のトップセールス街道を爆進する超人気モデルだ。2段階+オフのトラクションコントロールとツーリングに便利なETC2.0車載器を標準装備。
2023年モデルではSTDと足まわりが豪華な「SE」に加えて、いくつかのアクセサリーを装着&専用色が与えられた“イエローボールエディション(正式色名:キャンディグリーン)”が登場した。燃料タンクは特別な技法で重ね塗りを施すことで艶やかさと重厚さを表現したキャンディカラーに塗装され、初代Z900RSの火の玉カラーと同じグラフィックパターンでキャンディグリーンとレモン色に近いイエローとされている。
2022年には排出ガス規制適合前のモデルと合わせて8000台以上が販売されたが、2023年はやや落ち着いた数字に。とはいえ6年連続首位をキープしている。
2位:ローライダーS/ST[ハーレーダビッドソン]3632台(前年1060台)
かつてリヤ2本ショックのダイナ系にラインナップされていたが、2020年にソフテイル系の特別仕様としてリボーンしたローライダーSが登場。114(1868cc)エンジンを搭載していたが、2022年に大型カウル装備のSTが追加された際に1923ccのミルウォーキーエイト117を搭載してアップデート。さらに2022年秋にはローライダーSTをベースとした限定生産のプレミアム復刻シリーズ「ローライダー エルディアブロ」が登場した。
なお、2024年1月3日には早くも2024年モデルが発表されている。
3位:レブル1100/DCT[ホンダ]3282台(前年3972台)
CRF1100Lアフリカツインに使われている水冷パラレルツインエンジンに低中回転域重視の変更を加え、専用の鋼管フレームに搭載。日本では2021年3月にDCT、同年5月にMTがデビューした。低いシート高とムダを排除したボバースタイルを追求。35度のバンク角でスポーティなライディングに対する許容度も高めている。4タイプに切り替えられるライディングモードを装備。クルーズコントロールとグリップヒーターとETC2.0車載器も標準装備している。
2023年2月にツーリング仕様のレブル1100Tが追加された。なお、2024年モデルはホイール色など小変更を受けて2月22日に発売予定。
4位:CB650R/CBR650R[ホンダ]2318台(前年1584台)
2023年2月に令和2年排出ガス規制に適合&ニューカラー採用でマイナーチェンジ。フルカウルのCBR650Rは107万8000円、ネイキッドのCB650Rは100万1000円で買えるというリーズナブルな4気筒モデルとして人気だ。
写真のCBR650Rは、アッパーカウル左右のダクトから吸気するツインラムエアシステムを採用しており、2車共通の648ccの並列4気筒は95psを1万2000rpm発揮する。オン/オフ2段階のトラクションコントロールも備えている。車体はスチール製ツインスパーフレームで、フロントにはショーワ製SFF-BP倒立フォークとラジアルマウントブレーキキャリパーを装着。急制動時にハザードを高速点滅させるESS機能も持つ。
ネイキッド仕様のCB650Rは、ヘリテイジ要素を融合したネオスポーツカフェ。往年のヨンフォアことCB400FOURをオマージュしたエキゾーストパイプの取り回しがトレードマークだ。
5位:CB1300SF/SB[ホンダ]1778台(前年──台)
1992年にCB1000スーパーフォアがプロジェクト ビッグワン(PROJECT BIG-1)』の名のもとに誕生し、1998年にCB1300SFへとフルモデルチェンジ。さらに2003年に現行モデルのベースとなるCB1300SFがフルモデルチェンジで誕生し、2005年にはハーフカウルを装備したスーパーボルドール=SBが誕生した。
2022年には30周年となったことを受けて記念モデルが登場し、2022年末~2023年1月にかけてレギュラーモデルの「CB1300スーパーフォア」「CB1300スーパーフォアSP」「CB1300スーパーボルドール」「CB1300スーパーボルドールSP」が発売された。写真のシルバーは、1982年にフレディ・スペンサーがデイトナ100マイルで優勝したCB750Fベースのスーパーバイクをオマージュしたカラーリングだ。
6位:ニンジャ1000SX / 40thアニバーサリー[カワサキ]1466台(前年──台)
スポーツツアラーの代表格ともいえる、並列4気筒エンジン搭載のニンジャは、1984年に誕生した“Ninja”シリーズの最新世代。2023年11月にはニンジャ誕生40周年の記念カラー車が登場し、日本でも同時発売された。
この記念モデルは、1985年型GPZ900Rに採用されたファイアクラッカーレッドとエボニーを用い、シルバーのストライプやアウトライン入りの「Kawasaki」タンクロゴを実装。900Rのものを再現した「Ninja」の車名ロゴや、カウルサイドに配された「Liquid Cooled」のロゴなども当時を再現したものとされている。なお、STDモデルは159万5000円だ。
7位:XSR900[ヤマハ]1440台(前年1010台)
MT-09をベースとしたネオレトロモデルで、1980年代レーサーをオマージュしたようなスタイリングに仕立てられている。バーエンドミラーやブレンボ製の純ラジアルマスターシリンダー、専用セッティングのフルアジャスタブル倒立フロントフォークといった装備を誇り、各種電子制御のほかクルーズコントロールなども搭載している。
2023年10月に価格改定を受けたほか、燃料タンクのYAMAHAエンブレムのカラーが変更されている。下記写真は2022年モデルだ。
7位:ボンネビルT120/スピードツイン1200/スラクストンRS/スクランブラー1200[トライアンフ]1421台(前年919台)
トライアンフを代表するモダンクラシックシリーズの頂点。1200ccの水冷2気筒を搭載し、オーソドックスなボンネビルT120、ややスポーツ寄りのスピードツイン1200、カフェレーサーのスラクストンRS、そしてオフロードもガッツリ走れるスクランブラー1200がラインナップされる。ちなみに900ccの兄弟シリーズはラインキング16位に入った。
2023年7月にはモダンクラシックシリーズ全体で13色のニューカラーが投入され、2024年モデルとして発売されている。
9位:ハヤブサ[スズキ]1344台(前年1363台)
2023年に誕生25周年を迎えた、スズキのフラッグシップモデルがハヤブサだ。かつてはライバルのZZR1400らとともにメガスポーツと呼ばれたことも。
2021年にエンジン、車体を全面改良し、電子制御を多く取り入れた三代目「Hayabusa」が登場。エンジン、車体の部品を全面的に見直しつつもメインフレームは初代から基本を継承し、トラクションコントロールシステムや双方向クイックシフトシステムなどの電子制御システム「S.I.R.S(スズキインテリジェントライドシステム)」を採用したことにより、パワフルでありつつも制御しやすい、「The Refined Beast」を体現するモデルとなった。
2023年6月には限定300台(国内)の25周年記念モデル(下の写真)が登場。また、レギュラーカラーの灰×赤、黒×艶消し黒、白×青の車体色をベースに、それぞれの差し色となっている外装アクセントパーツやホイール色が入れ替え可能なカラーオーダープランも実施されている。
10位:GSX-S1000/GT/カタナ[スズキ]1284台(前年1658台)
ネイキッドのGSX-S1000が先行して新型に切り替わり、これをベースとしたGTが2022年に新登場。KATANAもベースを共有することから同一機種としてカウントされる。
写真のGSX-S1000GTはスポーティなグランドツアラーで、2023年秋に価格据え置きでカラーチェンジが実施された。GSX-S1000同様のトラクションコントロール/パワーモード/クイックシフターはもちろんのこと、電脳面はさらに充実しており、フルカラーTFTメーター/スマホ接続機能/クルーズコントロール/ETC2.0車載器などが標準装備だ。特にメーターは、スマホアプリとの連動でナビ画面の表示も可能なのが特徴。車体も専用に新作されたシートレールやハンドルやステップへの振動対策など各所に手が加えられ、タンデムを含めたツアラーらしい快適性を高めるための工夫がなされている。
2023年 小型二輪(401cc~) 国内販売台数 TOP20(検査届出ベース)
順位 | メーカー | 機種名 | 台数 |
1 | カワサキ | Z900RS/カフェ/SE/(’22~) | 5605 |
2 | ハーレーダビッドソン | ローライダーS/ST(’22~) | 3632 |
3 | ホンダ | レブル1100/DCT(’21~) | 3282 |
4 | ホンダ | CB650R/CBR650R(’23) | 2318 |
5 | ホンダ | CB1300SF/SB(’21~) | 1778 |
6 | カワサキ | ニンジャ1000SX(’22~) | 1466 |
7 | ヤマハ | XSR900(’22~) | 1440 |
8 | トライアンフ | ボンネビルT120/スピードツイン1200/etc. | 1421 |
9 | スズキ | ハヤブサ(’21~) | 1344 |
10 | スズキ | GSX-S1000(’21~)/GT/カタナ(’22~) | 1284 |
11 | ハーレーダビッドソン | ナイトスター(’22~) | 1200 |
12 | スズキ | SV650/X ABS(’22~) | 1141 |
13 | カワサキ | Z650RS/50thアニバーサリー(’22~) | 1088 |
14 | ハーレーダビッドソン | FLHCS/FLFBS/FXBRS/etc.(’21~) | 1072 |
15 | ヤマハ | MT-09/SP ABS(’21~) | 1051 |
16 | トライアンフ | ボンネビルT100/スピードツイン900/etc.(’22) | 986 |
17 | ヤマハ | トレーサー9GT(’21~)/トレーサー9GT+(’23) | 912 |
18 | ヤマハ | YZF-R7ABS(’22~) | 870 |
19 | ホンダ | NC750X/DCT(’21~) | 859 |
20 | カワサキ | W800/ストリート/カフェ/メグロK3(’21~) | 850 |
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