遠藤自動車(群馬県太田市)の製作するカスタムは、ビンテージスタイルのボバーやチョッパー。そのどれもが実に個性的ではあるが、シンプルかつコンパクト。そしてゴージャスであることも大きな特徴だ。そんな中、偶然にも取材当日が納車日というタイムリーなオーナーに巡り会った。
●文/写真:ウィズハーレー編集部(森下光紹) ●外部リンク:遠藤自動車サービス
24年ぶりの愛車に選んだのはビンテージボバー
Iさんは、鹿児島からはるばるやって来た。納車されるのは、まさしく遠藤スタイルと言うべきビンテージボバーである。スプリンガーフォークにリジットフレーム。ショベルモーターに組み合わされるのはハンドチェンジの4速ミッションで、もちろんフットクラッチのオープンプライマリー仕様だ。
「まさか、今日乗って鹿児島まで帰るわけではないですよ。ナンバーが付いたから嬉しくて来たんです。ほら、乗り方も教えてもらわなくちゃならないし」
実はIさん、バイクを決めてからもう何度も遠藤自動車まで足を運んでいるという。過去、遠藤自動車が出展したカスタムショーにはご自身購入のモデルが展示されることになり、お店のスタッフとともに会場入り。他にもなにかとネタと見つけては、鹿児島から飛行機で駆けつけているのだ。
以前はスポーツスターに乗っていた経験があるというIさんだが、結婚のタイミングとともにバイクから離れた。しかし元々バイク好き。父親もバイク乗りだったという血が騒いで、24年のブランクからとうとう覚めたということだった。
「妻の許可はもちろん取りましたよ。もう50歳も過ぎたし、仕事は今まで一生懸命にやってきましたから、彼女からのご褒美なのかもしれません。だからもう一生乗るハーレーをと思って、この遠藤カスタムに決めたんです」
自分にとっての唯一無二の存在を選ぶのだから、どこにも妥協したくない。それはスタイル/サウンド/細かいパーツの選択までだが、初めて遠藤自動車を訪問した時には、そのインパクトは想像を超えていたという。
「何しろずらりと並んでいますからね。こんなお店見たことがなかったから驚いてしまいました。それで最初2階に展示されていたモデルがお気に入りで、それに決めようかと思っていたんですが…」
1階に降りたときに目に入ったボバーが、一瞬でその思いを変えた。ひらめきは大切で、それは恋愛と同じだ。そして自分で決めた選択は必ず正解なのである。
取材当日、Iさんはエンジンのかけ方から各種装備/スイッチ類の確認など細かい説明を受けて、公道デビューを果たした。走行したのは遠藤自動車の裏手にある短い直線道路だが、30分ほどの練習時間で切り上げた。
「なかなか手強い。でも楽しい。たぶん今晩は筋肉痛です。無駄な力がいっぱい入っていますからね。鹿児島に送ってもらったら、どんどん乗りますよ」
九州はバイク乗りにとってパラダイスだ。もちろん四季を通して乗れるし、行きたい場所は山ほどあるだろう。食べ歩きという趣味も楽しめるに違いない。
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