
カワサキのKLX230シリーズから、トレッキングモデルとして登場した「KLX230シェルパ」。ネパールの少数民族の名前であり、エベレストなどの登山隊の案内人や荷運びを請け負う仕事も意味する”シェルパ”を冠したモデルということもあり、獣道も難なくこなせそうな感じがスタイリングからも漂っている。その実力やいかに!
●文:ヤングマシン編集部(ヨ) ●写真:山内潤也、箱崎太輔 ●外部リンク:カワサキモータースジャパン
シェルパの名を復活させたブランニューモデル
カワサキは、KLX230シリーズのモデルチェンジ時点で、トレッキングモデル「KLX230シェルパ」をラインナップに加えた。シェルパの名を冠したバイクとしては、かつてカワサキがKLX250のDOHCエンジンを空冷化して搭載したスーパーシェルパがあり、日本では2007年モデルまでラインナップされていた。
KLX230シェルパは専用デザインの外装が与えられ、ハンドガードやアルミ製スキッドプレート、スタックパイプなどが追加されたもの。各種装備でトレッキングムードを高めるとともに、実際に獣道に分け入っていけそうな装備が心強さと安心感を与えてくれる。
シート高がほどよく全体的にコンパクト!
実車を目の前にすると、かなりコンパクトなトレールバイクという印象。ホイールベース1365mmはセロー250の1360mmに近く、シート高が取っつきやすいだけでなく全体にコンパクトだ。
跨ると、まず気付かされるのがシートの造りの良さだ。先代はシートがかなり薄く硬質で、よく言えば競技志向を感じさせたが、公道で普通に使用するには乗り心地がなかなかスパルタンだった。KLX230シェルパのシートはかなり厚みが増していて、体重81kgの筆者も余裕で受け止める。
また、前後ともサスペンションストローク(ホイールトラベル)が先代のKLX230S比でかなり増していて、跨って体重を載せるとけっこう沈み込むので、シート高の数値以上に地面が近く感じられる。前後に揺すってみるとダンピングも豊かな感じで、良好な乗り心地と安定性を予感させた。
KLX230シェルパのライディングポジション。身体が大きめの筆者でも窮屈さはさほどなく、一般的なトレールバイクの感じだ。足着き性には数値以上に余裕があるように感じられた。【身長183cm/体重81kg】
オンロードから感じられる車体の安定性と軽快さ
エンジンを始動して発進すると、最新排出ガス規制をクリアした空冷エンジンながら低速トルクは十分にあり、エンジンストールする気配はない。アイドリングがやや高めに設定されている影響もあるだろうか。
エンジン特性は中間域から高回転域の元気のよさが印象的で、約1万rpmに設定されているというレブリミッターまで一直線に吹け上がる。ハイパワーとは言えないが、街乗りやオフロードで元気よく走るには十分だ。スロットル操作に対する反応もよく、先代より増したパルス感と角のないトルクをともないながら車体を前に進めてくれる。
さっそく公道を走り始めると、まず車体の安定性が向上しているのを感じた。先代の無印KLX230は低い速度の直立付近で少し手応えが軽すぎるところがあり、ある程度寝かしたところから接地感が出てくるキャラクターだったが、KLX230シェルパは初期沈み込みが多めのサスペンションゆえか直立~傾け始めの領域でも安定感があり、安心して車体を寝かしていくことができる。これは公道のデイリーユースにおいて好ましい特性だ。
速度が増すと安定感も増し、アスファルト上でのダイナミックな走りにも対応。細身のタイヤは思ったよりグリップ力があるようで、カーブの途中で強めにリヤブレーキを踏むような意地悪をしてみても不安になるような挙動はまったく起こらない。
ハンドリングはかなりニュートラルで、着座位置への許容度も高い。ライディングフォームをリーンアウトにしたりリーンウィズにしたり、また前後に動いてみても安定した反応で、さまざまな体格の方が違和感なく乗ることができそうだと思えた。
リーンアウトフォームが馴染むライディングポジションまわりだが、なんならハングオフっぽいのもイケる。ハンドリングは安心感のあるものだ。
前後ブレーキは扱いやすく、制動力もトレールバイクとしては十分。サスペンションの前後のバランスも好ましかった。
ガチ系のオフローダーからするとユルく感じるかもしれないが、公道トレールバイクとしてはとてもいい塩梅だ。これなら通勤通学からツーリングまでバランスよくこなしてくれるはずだ。
KLX230シェルパはオフロードも無理なく楽しめる
じゃあオフロードではどうなのよ、とお思いでしょう。今回はガチ系オフロードではなく、一般的によくある未舗装路で試乗することができたので印象をお伝えしたい。
結論から言えば、筆者のような「オフロードの練習を頑張ったのは30年近くも前で、最後にコースを走ったのは何年前だっけ…」というライダーには絶妙にちょうどいいキャラクターだった。
ストロークが長く、初期沈みの大きめなサスペンションによって、グリップを失いそうなところでも追従がよく、多少滑ったとしても急激な感じがないので安心。ギャップの吸収性もよく、公道の未舗装路ぐらいだったら座ったままでも大丈夫そうだ。とくにリヤの安心感が際立っていて、これにはアルミ製になったスイングアームによるバネ下重量低減の恩恵もありそうだ。
ABSを後輪だけキャンセルできるのも好ましい。さほど頑張らない程度のブレーキングでもブレーキターン気味にリヤを流したり、シフトダウンとエンジンブレーキを使ってハーフロック気味に向きを変えながら進入したりしやすく、懐の深いリヤサスペンションのおかげでリヤタイヤにしっかり荷重を載せながらの立ち上がり加速にもスムーズに繋げていける。
トコトコ走りから少しアグレッシブな走りまで難なく対応。複数台ある試乗会の中で朝イチの試乗だったが、馴染むのにそれほど時間はかからなかった。
本気の走りを求めるガチ系のライダーはともかく、“ふだん使いしながらたまにオフロードも楽しむ”といったライダーに安心しておすすめできるのがKLX230シェルパだった。
KAWASAKI KLX230 SHERPA主要諸元
KAWASAKI KLX230 SHERPA[2025 model]
| 車名 | KLX230 SHERPA |
| 型式 | 8BK-LX232A |
| 全長×全幅×全高 | 2080×820×1150mm |
| 軸距 | 1365mm |
| 最低地上高 | 240mm |
| シート高 | 845mm |
| キャスター/トレール | 24.6度/96mm |
| 装備重量 | 134kg |
| エンジン型式 | 空冷4ストローク単気筒 SOHC2バルブ |
| 総排気量 | 232cc |
| 内径×行程 | 67.0×66.0mm |
| 圧縮比 | 9.4:1 |
| 最高出力 | 18ps/8000rpm |
| 最大トルク | 1.9kg-m/6400rpm |
| 始動方式 | セルフスターター |
| 変速機 | 常時噛合式6段リターン |
| 燃料タンク容量 | 7.6L |
| WMTCモード燃費 | 34.7km/L(クラス2-1、1名乗車時) |
| タイヤサイズ前 | 2.75-21 |
| タイヤサイズ後 | 4.10-18 |
| ブレーキ前 | φ265mmディスク +2ポットキャリパー |
| ブレーキ後 | φ220mmディスク +1ポットキャリパー |
| 価格 | 63万8000円 |
| 色 | ベージュ、緑、灰 |
| 発売日 | 2024年12月25日 |
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