メーカー/ショップ/ユーザーによって、工具に求める機能や見解は異なることがある。だが、作業の内容に応じて工具を選び実践する際には重視するポイントがあるはず。ここではフットワークパーツを手がけるアドバンテージのプロのこだわりと、サンデーメカニックにとって参考になる作業実践を紹介しよう。
●文:モトメカニック編集部(田口勝己) ●写真:栗田 晃 ●外部リンク:アドバンテージ
フットワークのプロショップを支える作業環境と使い勝手の良い工具
少々のガタや渋さがあっても、どうにか作業を進めることもあるサンデーメカニックに対して、僅かな妥協や雑な仕事が致命傷となることもあるプロの世界。アドバンテージのツールキャビネットには、大量のプライヤーが収まる引き出しがある。
「以前販売していた当社のディスクローターのピンはスナップリング止めで、これを装着する際はクニペックスの精密プライヤーがベストでした」
…と語るのは、同社の中西昇代表。当時一般的だったのはEリングだが、円周上の開口部が大きくリング溝が深く、スラスト方向の荷重に弱いため、スナップリング固定を考案。
クニペックス製プライヤーは、鍛造製法の本体剛性が高くジョイント部のねじれが皆無で、超硬チップの先端の耐久性も抜群。「ヤワいプライヤーだとリングが滑ってローターを傷つけることもあるので、組み立てには使いません」と中西代表。
アドバンテージを代表する製品であるサスペンションも同様だ。スプリング交換で使用する油圧ジャッキ仕様のコンプレッサーは、スプリングホルダー部分を独自にモディファイ。
リングナットを回すフックレンチも、レーザーカットされた専用品を用意するこだわりぶり。「レートの高いスプリングを着脱する際は、利便性より確実にホールドすることが重要で、フックレンチのわずかなガタでお客様の製品を傷つけるリスクがあるのなら、と専用品を作りました」
クオリティの高い仕事をするために精度の高い工具を使う。そこにプロならではの明確が姿勢がある。
工具とメンテナンスリフトはカスタムマシン製作の必須アイテム
組み立て治具もワンオフ製作
スナップリングの組み立てはクニペックス製プライヤー一択
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