
皆様こんにちは!DIY道楽テツです。いつもYouTubeで古いバイクを直しているのですが、古~~いバイクに再会してフと思たことを今回はシェアいたします。
●文:ヤングマシン編集部(DIY道楽テツ)
昭和は自分でバイクを直せた時代?
筆者の肌感ですが、昭和の頃は、バイクも車も自分で直してしまう人が今よりずっと多かったものです。ドライブ中にエンジンが故障しても道端で直したり、ツーリング先でトラブルが起きてもそれほど大騒ぎにならなかったり、そんな話はいくらでも出てきます。JAFなんて呼ぶまでもなく、自分で直せちゃう。そんな人がゴロゴロしていた時代。
今からすれば、「やっぱり昔の人ってすごかったんだな」と思ってしまいますよね。もちろん、何でも自分でやってしまおうという当時のパワフルさもあったのでしょう。ですが、それだけではないと思うのですよ。
34秒でピストンが「コンニチハ」
たとえばこのエンジン。
ヤマハポッケのエンジンなのですが、2サイクルエンジンのしかも空冷なのです。それがつまりどういうことかというと、ものスゴく分解しやすい。シリンダーヘッド上部に4本のボルトがあるのですが(↓)
コレを外すだけで、シリンダーヘッド、そしてさらにシリンダーまで分解できてしまうのです。
4サイクルエンジンしか知らないと信じられないかもしれません。だって2サイクルだから、カムシャフトもバルブも、そしてカムチェーンもないし、なんたって空冷なのでシリンダーヘッドは「単なる蓋」に近い。
試しにやってみましょうか? せっかくなので時間も計ります。もちろん、やらせなしのガチ検証です。
工具はT型レンチを用意しました。タイマーをセットして、よーいドン!
グッとチカラを入れてクルクル回して・・・スポッとな。シリンダーヘッド取り付けボルトの1本目を外すのに約5秒。
そのまま2本目、3本目、4本目と外していき、4本のボルトを抜くのに約30秒。
そこでシリンダーヘッドに手をかければ
「ポコッ」 と外れる。
いきなりピストンの頭が見えます。しかも、これで終わりではありません。
続いてシリンダーをつかんで引き抜けば
「スポン!」
ピストンとご対面です。
ここまで要した時間、約34秒。はやっ!! みなさんに「すげー!」と言ってもらいたくて頑張ってみましたが、カットもズルもなしでこの時間です。
プラグ掃除ついでにピストン磨いてた高校時代
といっても、これはエンジン単体からの作業だったので、実際にはマフラーを外したり車種によってはタンクを外したりする必要もあるので、こんなに速攻で外せるわけではありません。
それでも、今のバイクからすると信じられないような手軽さでエンジンを分解できるのは紛れもない事実です。そもそもややこしいデバイスやセンサーや電子部品もなんもないので、隙間がいっぱいありましたからね。作業性はすこぶる良好だったのですよ。
事実、筆者が高校生だったころ、ちゃんとしたプラグレンチは持っていなかったくせに、なぜかラチェットレンチだけは持っていました(←プラグレンチは高い工具だと勘違いしてました)。
そのためスパークプラグを掃除したい時、なぜかプラグを外すのではなくシリンダーヘッドを外していたのです。
盛ってません。ガチです。
こうして簡単にシリンダーヘッドやシリンダーを外せるから、そのままの勢いでピストンまで外せる。
そこまでできるなら、ボアアップキットを買ってくれば排気量アップにも挑戦できてしまう。昭和のバイク少年がエンジンをいじりたくなるのも無理はありません。
もちろん、厳密には締め付けトルク管理も必要ですし、専門知識が必要な箇所でもあります。でも、空冷2サイクルというシンプルな構造ゆえに、雑誌やメンテ本を読んだだけのにわか知識でも、案外なんとかなってしまったんですよね。
【告白】ピコピコ事件
筆者の間抜け話をひとつ挙げるなら、洗車ついでにピストンを雑巾(←!)で磨き、エンジンを組み直してキック始動したときのこと。エンジンが始動した瞬間から 「ピコピコピコピコッ」 と妙な音がするのです。
「??」
なんだこの音は、と見ていたら、シリンダーヘッドが手ブレした写真みたいに極微量の上下動を繰り返しているではありませんか。…そうなんです。シリンダーヘッドを仮締めしたあと、最後の本締めを忘れていたのです。
それなのに、キックしたらエンジンがかかってしまった。そんな状態でも始動しちゃうのが、2サイクルエンジンのすごいところ…と言っていいのかどうかは微妙ですが、とにかく動いてしまった。
もちろんパワーなんて出ていないし、焼き付く危険だってあります。でも、そんなことにも気づかないお馬鹿な高校生が、ひとりでケタケタ笑っていたわけです。
そこでやっと「本締めって必要なんだな」って学んだわけですよ。でも、そんなミスをしてもなお壊れないエンジンに感謝しかなかったですね!
なぜ昭和は「メカ好き」を量産できたのか
同世代の人には懐かしい話かもしれません。けれど若い人にとっては、ちょっと信じられない「昭和エピソード」に聞こえるでしょう。ただ、こうして改めて空冷2サイクルエンジンを眺めていると、つくづく思うのです。これは“メカニックを育てるエンジン”だったんじゃないか と。
分解しやすいから、さわってみたくなる。気軽に分解整備できるから、もっとやってみたくなる。
あれこれチャレンジするから、たくさん失敗できる。
この「失敗できる構造」こそが大事だったのではないでしょうか。
エンジンがシンプルだったからこそ、自分のバイクを自分で整備する少年たちがたくさん育った。
そう考えると、あの時代の2サイクルは、ただのエンジンではなく“教材”でもあったのだと思います。
「シンプルバイク」を再び
そんなシンプルな2サイクルエンジンが消え、モンキーやスーパーカブのような“教科書的なバイク”でさえ電子制御が当たり前になった今、ひとつ思うことがあります。
メーカーさん、お願いです。内燃機関が環境対策の面で難しいことは重々承知しています。ならばせめて、これからの電動バイクはメンテナンスしやすい構造にできないでしょうか。
壊れたら修理代が高いから買い替える、ではなく、自分で整備しながら長く乗れる。そのほうが、本当の意味でエコに近いのではなかろうか・・・? そんなふうに思ってしまうのですが、いかがでしょうか。
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