「3Dプリンターすげぇ」バイクの燃料コック、ガソリン漏れをたった“1円”で直す方法【OリングDIY】

突然やってきた燃料コックからのガソリン漏れ。原因は中のOリングの劣化だけど、困ったことに交換部品がない! 時間もない! さてどうしたものかと思ったとき、使ってみたのが3Dプリンター。OリングのDIYってできるのか? 燃料コックのガソリン漏れを直すことができるのか? ご照覧あれ!
●文:[クリエイターチャンネル] DIY道楽テツ
燃料コックにも涙?
それはある日の出来事。バイクで走り出そうとガソリンタンクの燃料コックをオンにした時、指先に冷たいものを感じました。
何があるのかと覗き込んでみると・・・燃料コックが泣いているぅ~!
…もとい、コックレバーの根本からガソリンが漏れていました。これがじわじわ滲んでくるところの話ではなくて、2秒に大粒の1滴レベルでガソリンが漏れてくるので、ただ事ではないです。
…ってことで燃料コックを取り外して分解してみると、構造から察するに、どうやらここにはまっているOリングが劣化してしまっているようです。さて、どうしたものか?
Oリングってジャストフィットしないよね(あるある!)
幸いのことにOリングが大量に入っているセットを持っていたので、サイズを比べて適切なOリングを探してみたのですが・・・
ない! ちょうどいいサイズが1つもない! こんなにいっぱいあるというのになんということか。でもこれって、Oリングあるあるですよね。
いくらたくさんのサイズのOリングを持っていたとしても、必要なサイズにぴったり一致するなんてまれなこと。筆者の経験では100回中95回はジャストフィットしてない気がしますよ、大げさな話じゃなくて。
困った。マジで困った。今日中にバイクを走らせたいのですが、純正部品を探して、しかもそれを取り寄せるような時間がないのです。
ないなら作れのココロ!
かつて父はワタシに言いました。「ないなら作れ!」・・・と。まずはOリングのサイズを測って、パソコンを立ち上げて、3D CADで設計します。
設計と言ってもすっごいシンプルで、厳密なOリングは作れないので断面図が台形になるような形状にしてみました。
そして3Dプリンターで出力して、でき上がったのがこちら。
使用した材料はTPUフィラメント。このTPUというフィラメントはゴムではないもののとても柔軟性に富んだ樹脂で、しかも2週間ガソリンに浸しても変形や膨張をしないとても優れた素材なのです。もし、これでガソリンが止まったらメッケもんでしょう~。
Oリングが作れちゃったよオイ
自作したOリングをガソリンコックに取り付けて、組み立てます。
燃料タンクに取り付けて、ドキドキしながら燃料コックを「ON」に。
・・・! 漏れてない~!!!
中のOリングに燃料コックの切り替えバルブが押し付けられてる形状になるので動きが渋くなるのかと思いきや、意外にも操作性に変化はなし。
そして実用テストとして何度も何度も燃料コックのオンとオフを切り替えまくってみましたが、まったく漏れてくる気配はありません。
それから何日か経過した後の後日談。なんと、燃料コックからガソリンが漏れてくる気配はまったくありません。もちろん経年劣化のテストをしたわけではないので、この先何年も性能を保持するという保証はないのですが…。仮に劣化したとしても、そのたんびに3Dプリンターで作って交換すればいい話なので、さして問題ではないと筆者は思います。
2個で1円とか尋常じゃないコストパフォーマンス!
余談ですが、このOリングを作るのに必要な材料費について。TPUフィラメントが1kgで2507円で、Oリングを印刷するのに必要な量は、たった約0.2gとなってます。つまり、Oリング1個製作するためのコストは約0.5円。2個作っても1円! なのです。すっげぇ~安い!!
3Dプリンターの可能性
燃料コックのOリングを自作するというシンプルな作業を試してみましたが、他のOリングやパッキンも作れるようになれば、3Dプリンターの可能性は無限大です。
現行車なら純正部品を簡単に手に入れられますが、絶版車の場合はそうもいきません。それを自作できるとなると・・・考えるだけでワクワクします。これからも新しい可能性を追求していきますよ~!
この記事が皆様の参考になれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました!
私のYouTubeチャンネルのほうでは、「バイクを元気にしたい!」というコンセプトのもと、3日に1本ペースでバイクいじりの動画を投稿しております。よかったら遊びにきてくださいね~!★メインチャンネルはコチラ→「DIY道楽」 ☆サブチャンネルもよろしく→「のまてつ父ちゃんの日常」
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。
最新の関連記事(DIY道楽テツ)
アクセルワイヤーが長すぎた!というトラブル ハンドルを交換して長さが合わなくなってしまったり、はたまたケーブルそのものが痛んでしまったり。こうしたアクセルワイヤー(スロットルケーブル)を交換する際、「[…]
セルが弱くなったらバッテリー交換のサイン スクーターのバッテリーが弱ってきたのか、始動性がイマイチになってきました。 そういえば、このバッテリーもずいぶんずいぶん古くなってきたので、バッテリーを買い替[…]
新品タイヤが滑るその理由 新しいタイヤは滑ります。 滑りたくないから新しいタイヤに交換したというのに、なぜか新しいタイヤはマジで滑るんです(経験者は語る)。 なぜ滑るかというと、それはタイヤの製造過程[…]
場所によっては恒例行事なバイクの冬眠(長期保管) 「バイクの冬眠」…雪が多い地域の皆様にとっては、冬から春にかけて毎年恒例の行事かもしれませんね。また、雪国じゃなかったとしても、諸事情により長期間バイ[…]
ひと昔のバイクは一年中暖機運転が必須でした 昔のバイク…と行かないまでも、1990年代末ぐらいまでのバイクは、一年中エンジンの暖気が必要不可欠でした。とくに2サイクルエンジン車は、冬はなかなかエンジン[…]
最新の関連記事(メンテナンス&レストア)
エンジンがかかりにくい→完全停止へ 今回直したのはスズキのZZです。2000年代初頭に登場した50ccスクーターで、「通勤快速」として人気を博し、油圧ディスクブレーキやアルミホイールなど、当時としては[…]
大和ハウスグループが手がけたD-Wash 愛車を長持ちさせるためにも、大切にしたい「洗車」という作業。 汚れの放置はサビや各部品の劣化が進むことにもつながるし、洗車をしながら、緩んでいるボルトやパーツ[…]
“機械遺産”のコンディションをどう維持するか 電気自動車や電動バイクの普及が進めば進むほど、旧車や絶版車ムーブメントは一段と熱くなりそうだ。内燃機関に対する注目度が高まるのと同時に、ユーザー自身は“機[…]
擦らず拭くだけでOK。デリケートな素材も傷つけることなく赤サビを除去できる バイクや自動車の部品はもちろん、橋梁/建築物/工具/アウトドア用品の材料として当たり前のように使われている鉄素材。豊富な埋蔵[…]
スパナやレンチの長さが違うのはナゼ? 工具箱に並ぶスパナやレンチ。 10mm、12mm、14mm…サイズごとに全長が違うのは、当たり前の光景ですよね。これもそうだし。 コッチもそう。狭所作業用の短いス[…]
最新の関連記事(工具)
エンジンがかかりにくい→完全停止へ 今回直したのはスズキのZZです。2000年代初頭に登場した50ccスクーターで、「通勤快速」として人気を博し、油圧ディスクブレーキやアルミホイールなど、当時としては[…]
スパナやレンチの長さが違うのはナゼ? 工具箱に並ぶスパナやレンチ。 10mm、12mm、14mm…サイズごとに全長が違うのは、当たり前の光景ですよね。これもそうだし。 コッチもそう。狭所作業用の短いス[…]
【ご注意】本記事は、エンジンオイルの過剰注入がエンジンに与える影響を確認するための実験であり、一般使用車両での実施や再現を推奨するものではありませんのでご了承ください。 オイルの規定量は守らなくちゃイ[…]
エアインパクトレンチ:手のひらに収まるサイズで500Nmを発揮。狭い場所で活躍する力自慢 ガレージにエアコンプレッサーを導入したら、まず揃えておきたいのがエアブローガンとエアゲージ、そしてインパクトレ[…]
ソケットセット:ツールキャビネットの引き出しにそのまま収まるトレイ付きZ-EALセット ラチェットハンドルもソケットも、専門メーカーのノウハウを注入して開発されたZ-EAL。その代表的アイテムをセット[…]
人気記事ランキング(全体)
オートマ・AMT&ベルトドライブ採用の250ccクルーザー! 自社製エンジンを製造し、ベネリなどのブランドを傘下に収めることでも知られる、中国・QJMOTOR。その輸入元であるQJMOTORジャパンが[…]
懐かしのスタイルに最新技術をフル投入! 2025年3月の東京モーターサイクルショーで詳細が発表されたヨシムラヘリテージパーツプロジェクト。対象機種は油冷GSX-R750とカワサキZ1となっており、GS[…]
Z1、GPz900R、Ninja ZX-9Rから連なる“マジックナイン”の最新進化系 カワサキは、948cc並列4気筒エンジンを搭載したスーパーネイキッド「Z900」および上級モデル「Z900 SE」[…]
K-2439 フルメッシュロングジャケット:スタイルと機能を両立するツーリングジャケット 腰までしっかりと覆う安心感のあるロング丈でありながら、後襟から袖口へ流れるように入ったラインデザインと、ウエス[…]
涼しさの心臓部。それは「素材」と「構造」の魔法的組み合わせ うだるような暑さと、じっとりと肌にまとわりつく湿気。毎年繰り返されるこの季節に、多くの人が少しでも快適に過ごせる服を探し求めている。そんな中[…]
最新の投稿記事(全体)
2020年モデル概要:快適装備と電子制御を新採用 発売は、2020年1月15日。マイナーチェンジが実施され、「エキサイティング&イージー」のコンセプトを堅持しつつ、装備がイッキに充実した。2019年モ[…]
日本車と欧州車がおおよそ半々 マン島をバイクで訪れるには、リバプールやヘイシャムなどの港まで自走し、「スチームパケット社」が運行しているフェリーを利用するのが一般的だが、小型ボートをチャーターしてバイ[…]
先進の冷却機構を備えたフルフェイス カブトの展開するフルフェイスヘルメット「SHUMA」最大の特長は、「ウルトラクールシステム」と称される独自の冷却機構だ。その秘密は風洞実験によって作り上げられた、フ[…]
18時間耐久の優勝で「ヨシムラ」は全国区に 加えて、ホンダから市販車ベースのレース車両の開発依頼もあったものですから、ヨシムラは1965年に東京の福生に移転しました。私は高校1年生でしたので、卒業まで[…]
簡単取り付けで、強い日差しから愛車を強力ガード 「MotoBrella」の最大の特徴は、保護カバーとしての機能性と、気軽に持ち歩くことができる携帯性のバランスが優れていること。 シートの生地は、UVカ[…]