
昭和の時代「熱血」で「モーレツ」だったのはサラリーマンだけではない。バイクも凄かったんですよ! 「ハイパワーマシン」と言うとどんなマシンが浮かぶでしょうか?ナナハン?今でいうSSのレーサーレプリカ(RR)??・・・いやいや、昭和生まれ的には「原付」が出てきてしまうのです。そう、原付。50cc。そんなわけでヤマハ「ポッケ」のレストア進捗レポートをいたしましょう。若者よ、昭和の原付はスゴいよ??(ニヤニヤ)
●文:ヤングマシン編集部(DIY道楽テツ)
ヤマハポッケをレストア中
ヤマハの小さなレジャーバイク「ポッケ」のレストアが進行中です。
元の状態は、まぁ控えめに言って半分“鉄くず状態”。詳しい様子はYouTubeで見ていただくとして、とにかく最初はなかなかのコンディションでした。固着、固着、そしてもひとつ固着。ボルトも動かない。部品も外れない。そんな感じで、なかなかに苦戦させられました。
それでも、どうにかこうにか「なんとか動く」ところまで復活。ならば一度走らせてみようじゃないか、ということで、クローズドのオフロードコースへ持ち込んでみることにしました。このポッケというバイク。実際に跨ってみると、驚くほど小さい。
「・・・ちっさ!」
ホンダ・モンキー(Z50J)の対抗馬的な存在だったとも言われていますが、跨った印象だけで言えば、モンキーよりさらに2割ぐらい軽く感じるほど。
なんでだろう。車体の小ささなのか。2ストエンジンだからなのか。それとも、この妙に詰まった寸法感のせいなのか。とにかく、見た目以上に軽い。そして、近い。ぎゅっと詰まったコンパクトさ。
「乗ってみな。飛ぶぞ?」
「そんじゃ、行ってみますよ?」
そう言ってアクセルを開けると・・・
「うひゃっ♪」
ポンッ! いきなりフロントが浮く。
さらに、ちょっと元気よくアクセルを開けると・・・
「ひゃっほうw」
クワッ! 今度は、まくれ上がる。
なんですか、コレは。
伝説のウィリー原付バイク
昔からポッケについては「すぐウィリーして、まともに走れない」なんて冗談交じりに言われていました。でも、今あらためて乗ってみるとよく分かります。大袈裟でもなんでもない。ホントに、すぐウィリーする。でもそれが、腹立たしいことにめちゃくちゃ楽しい。
まだ本調子ではないはずなのに、この有様。むしろ本調子になったら、いったいどうなってしまうのか。これはもう、可愛い顔をした危険物です。
ところが不思議なことに、カタログスペックだけを見ると、ポッケは決してハイパワーマシンではありません。むしろ数字だけなら、かなり控えめ。最高出力は、たったの3馬力です。
普通なら「なんだ、かわいいもんじゃないか」と思うところでしょう。でも、違うんです。このバイクの怖さは、馬力の数字ではありません。
車体の重量、ホイールベース、そして、ライダーが座る位置。この3つの関係性がとても重要で、このバランスこそがポッケを狂暴たらしめるのです。では、その“狂暴さの正体”を、スペックから確認してみましょうか。
ジャジャ馬になる(なってしまう)その理由
ちなみにコレ(↓)がポッケの主要諸元
ヤマハ ポッケ
型式認定番号:I-1398
モデル名: QA50
年式: 1980年(昭和55年)
全長 1,280 mm
全幅 690 mm
全高 920 mm
ホイールベース 885 mm
シート高 660 mm
乾燥重量 / 重量 52 kg
エンジン 空冷2ストローク単気筒
排気量 49 cc
ボア×ストローク 40.0 × 39.7 mm
最高出力 3.0 ps / 5,500 rpm
最大トルク 0.42 kgf・m / 4,000 rpm
タイヤサイズ 前後 3.50-6
エンジンは、名機GT50、通称ミニトレ譲りの空冷2ストローク単気筒。ただしポッケ用にデチューンされ、最高出力はわずか3馬力。…なのですが、これが侮れない。
最高出力が5,500回転で発生して、最大トルクはたった4,000回転です。高回転まで引っ張らなくても力が出る扱いやすい特性。そこへ、乾燥重量52kgという超軽量ボディ。さらにホイールベースは、驚異の885mm。
ビュン!と回るエンジンに、やたら短い車体。しかもライダーの着座位置は、ほぼリヤタイヤの真上。この車体バランスと2ストエンジンの組み合わせによって、アクセルを開けた瞬間フロントが軽々と浮き上がる。いとも簡単にウィリーする。…いや、「回転してしまう」と言ったほうが正しいかもしれません。
半クラ当てるまでもなく竿立ち可能
わっははなんじゃコリャ! 「すぐウィリーする」とは聞いていました。でも、これは冗談ではありません。本当にウィリーする。ぽんぽん浮く。
坂道発進なんて、もう完全に罠です。エンストするかウィリーするかの二択なんてありえないでしょう!? 現代のスーパースポーツとは、まったく違う「ハイパワー」な乗り物なのです。
トラコン? 知らんがな。電子制御? ナニソレ。ライダーの油断も、常識も、全部まとめて地平線の向こうへぶっ飛ばす。そんなマシンが、昭和には普通に存在していたのです。たったの50ccですよ?コレ・・・。
しかも、これでデチューンされたエンジン。それでいてこの有様ですよ。
令和では考えられないほど小さく、可愛らしいフォルム。それなのに、令和ではまず許されないようなパワー感と車体バランス。可愛い顔をした、とんでもないモンスターマシンなのです。
完成したら林道いっちゃうよ?
もう少しで公道仕様が完成するので、仕上がったら林道にも連れ出してみたいところ。うはは。これは絶対に楽しい。危険と快感が表裏一体という、乗る楽しさとちょっとした恐ろしさが常に背中合わせだった、あの頃のバイクという乗り物。若者たちを熱狂させたものの正体を垣間見れるそんな気がします。
もし触れるチャンスがあるなら、ぜひ一度乗ってみてほしい。ただし、くれぐれも油断は禁物です。そんなわけで、公道仕様として完成させるべくさらにレストアを進行中。完成したら今度は林道に挑んでみようかと画策中。
6インチという最小ホイールで凸凹を走った先にあるのは天国か地獄か? その悪戦苦闘っぷりをまた追ってレポートいたします。お楽しみにっ!!
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