
ニッポンがもっとも熱かった“昭和”という時代。奇跡の復興を遂げつつある国で陣頭指揮を取っていたのは「命がけ」という言葉の意味をリアルに知る男たちだった。彼らの新たな戦いはやがて、日本を世界一の産業国へと導いていく。その熱き魂が生み出した名機たちに、いま一度触れてみよう。この記事ではZ1000Rの主要部品について紹介する。
●文:ヤングマシン編集部(中村友彦) ●写真:山内潤也/YM ARCHIVES ●取材協力:ZEPPAN UEMATSU
大幅な飛躍を実現した第二世代の空冷2バルブZ
第二世代の空冷Zとして、’81年から発売が始まったZ1000JとZ1100GPは、’73年型Z1に端を発する第一世代の問題点を解消し、ライバルに対するアドバンテージを広げるために生まれたモデルだった。重視されたのは軽量化とパワーアップだが(’80年型Z1000MkIIの乾燥重量/最高出力が245kg/93psだったのに対して、Z1000Jは230kg/102ps。
Z1100GPは237.5kg/108ps)、エンジンのラバーマウント化や気化器の刷新、ディメンションの全面見直しなどが行われた第二世代のZは、扱いやすさや快適性面でも大幅なレベルアップをはたしていた。
そしてその資質をさらに高めたのが’82/’83年に発売されたZ1000R…と言えなくもないのだが、Z1000Rのエンジン+フレームの基本設計はZ1000Jと共通で(ただしR2のカムシャフトはZ1100GP用がベース)、乗り味に極端な差があったわけではない。
とはいえ、カーカー製集合マフラーや段付きシートを標準装備し、キャブレターや前後ショックの設定を専用設計としたZ1000Rは、当時としては十分にレーシーな気分が味わえるモデルだったのである。
なおZ1000Rの乾燥重量は、Z1000Jより8kgも軽い222kgだが、これはカーカーの採用とセンタースタンドの撤去が要因で、左右出しマフラーとセンタースタンドを装備するR2のヨーロッパ仕様は、Z1000Jより6kg重い236kgだった。
ENGINE:全面新設計でも基本構成は不変
’81年型Z1000J/Z1100GPを起点とする、第2世代の空冷Zエンジンの大きな特徴は、静粛性に優れるハイボ式カムチェーンを採用したことと、軽量化のためにキックアームを廃止したことだ。DOHC2バルブの動弁系構成や、ボール/ローラーベアリングを用いた組み立て式クランク+コンロッド、ギヤ式の1次減速、ケース内の軸配置などは第1世代と同様だが、パワーアップを実現するため、バルブサイズとカムリフト量は大きくなっている。
【Z1系の強化版「J」系ユニット】左がZ1000Mk IIで、右がZ1000Rのクランク。’70年代は釣鐘型(Z1~Z900)→丸型(Z1000)→釣鐘+丸型(Z1000MkII)という変遷を辿った空冷Zのクランクウェブだが、’81年型Z1000J/Z1100GP以降は初期のZ1と同様の釣り鐘型で統一。
【キャブレターは新世代の負圧】第1世代のキャブレターが昔ながらの強制開閉式だったのに対して、第2世代は負圧式を採用。ただし旗艦のZ1100GPとGPz1100はインジェクションだった。
【KERKERを標準装備】集合マフラーはアメリカのカーカー製。昨今では珍しくないものの、アフターマーケットパーツをメーカーが標準採用するというのは、当時は異例のことである。
【 2次空気導入装置を採用】’70年代後半以降の北米市場で販売されたZシリーズは、排気ガス浄化のための2次空気導入装置をシリンダーヘッドに持つ。Z1000Rも同様だ。
【エンジンマウント2点をラバーマウント化】第1世代ではエンジンをリジッドマウントしていたZシリーズだが、高回転域の振動を緩和するため、第2世代はフロント側2点をラバーマウント化。ただしリヤ側はリジッドのまま。
FRAME & CHASSIS:レーサーとしての資質が大幅に向上
第2世代のZが採用したダブルクレードルフレームは、第1世代の基本構成を踏襲しながら前半部を中心に大幅刷新を敢行。ダウンチューブには左右を連結する2本のパイプを追加し、スイングアームピボットプレートは大型化。
ハンドリングを左右するキャスター/トレールは、第1世代は操縦性重視の26度/87~90mmだったものの、安定性の向上を意識した第2世代のZ1000JとZ1000Rでは、北米:29度/115mm、欧州:27.5度/98~99mmが標準値となった。
【剛性を高めるため板材とパイプで補強】左はZ1、右がZ1000R。第2世代のフレームは、ヘッドパイプ周辺に剛性向上を目的とした板材を多用。トップチューブと左右タンクレールを結ぶパイプはZ1は0本、MkIIは片側1本だったが、第2世代は片側2本。
【レーサーを意識した足まわり】集合マフラーはローソンが駆ったレーサーと同じ本物=カーカー製だったものの、ゴールドの前後ホイールはモーリスを意識したエンケイ製、ワークスパフォーマンス風のリヤショックはショーワが製作を担当した。
左サイドカバー下の突起内には、メーカー純正オプションの盗難防止用ワイヤーを収めることができた。
メッキ/バフ仕上げのパーツが目立った第1世代とは異なり、第2世代のZは多くの部品をブラックで統一していた。
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