
なんでもかんでもガルフカラーにすればいいってもんじゃない! 多くのクルマ好きはお嘆きかと思いますが、一方では「やたらカッケーから許す」とほおを緩めがち(笑)水色とオレンジの組み合わせがここまでカッコよく決まるのは、やはり輝かしい歴史という裏付けあればこそ。フォードはもちろん、マックイーンのポルシェまで、ガルフカラーの栄光というのは永遠不滅に違いありません。
●文:石橋 寛(ヤングマシン編集部) ●写真:RM Sotherbys
「アメリカだけは的に回すな」レースを席巻したド根性マシンフォードGT40
フォードGT40は映画「フォードvsフェラーリ」で脚光を浴びる以前から、クルマ好きのアイドルだったに違いありません。元をただせば1966年、買収を断ったとされるフェラーリを打ち負かすためにフォードとキャロル・シェルビーらが作り上げたアメリカのド根性マシン。その甲斐あって、1969年まで4年連続でル・マン優勝を遂げており、エンツォ・フェラーリをして「アメリカは敵に回すもんじゃない」と舌打ちさせたとされています。
それだけのレガシーですから、フォードがリバイバルしたくなるのも当然です。しかも、2世代にわたってリリースしているということは、それだけ市場のニーズも高かったのでしょう。とはいえ、GT40のリブートモデルとしてフォードGTが発表された際の前評判はさほど高いものではありませんでした。カタチこそ似ていながら、やはり「これじゃない」感を抱く方が少なくなかったかと。しかしながら、GT40と同じくフォードのリソースすべてを注いで開発されただけあって、そのパフォーマンスは現代版GT40と呼ぶにふさわしいものでした。
ガルフカラーが鮮やかな、343台限定「フォードGT 「ヘリテージエディション」
5.4リッターV8エンジンは、スーパーチャージャー装備で550ps/6500rpm、678Nm/3750rpmとトルクモンスターぶりを発揮。0-100km/h加速にしても3.3、ないし3.4秒程度と、当時としては破格のパフォーマンスだったのです。また、電子制御によるドライバーエイドをほとんど装備していなかったのもクルマ好きから喝さいを浴びました。乗り手の腕が試されるフォードGTは、(GT40のドライバーだった)ケン・マイルズ言うところの「男の乗り物」に違いなかったのです。
たしかに6速マニュアルミッションのみ、トラクションコントロールもなし、パワステやブレーキブースターこそ装備したものの、あえて重みを残したセッティングは21世紀最後のスーパーカーと呼んでも過言ではありません。惜しむらくは車高が40インチより少し高く44インチになったこと、あるいは左ハンドルのみのラインナップで、右ハンドル右シフトのプロトタイプ感が失われたことくらいでしょうか。それでも、予定販売台数4000台は瞬殺。新車価格はおよそ14万ドル(当時レートなら約1600万円)でしたが、生産台数が限られていたため、当時のディーラーでは「マークアップ(上乗せ金)」が発生し、実際には20万〜30万ドル(約2200万〜3300万円)以上で取引されることも珍しくありませんでした。
そんなプレミアモデルの中でも、343台の限定だったガルフカラーの「ヘリテージエディション」はお宝級といえるでしょう。標準モデルとの違いはボディカラーくらいのものですが、やはりフォードといえばこのカラーというわけでオークションでの落札価格も段違い。こちらのサンプルは近年100万ドルほど(約1億5000万円)で落札されたもので、標準モデルに比べて倍以上の値付けがされています。
ガルフカラーに加え、BBSホイール、キャリパーのグレイメタリック塗装、そしてボディサイドのゼッケンサークルといったオプションが追加されていますが、ヘリテージを選ぶオーナーのほとんどが選んでいたとのこと。特筆すべきは走行距離1万キロ程度であり、フォードのレーシングカー部門によれば「まだ慣らし運転中」というほどのコンディション。第二世代のフォードGTが妙にハイテク化されたことを考えれば、ガルフ好きはこのヘリテージ一択に違いありません。
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