
2025年の鈴鹿8耐デモランに、なぜRCB1000が登場したのか? 最新モデルCB1000Fにも引き継がれている、CB-FのDNA。CB-F誕生の物語を、ここで振り返ろう。
●文:宮田健一(ヤングマシン編集部) ●写真:ヤングマシン編集部
ホンダの市場奪還を使命に1978年暮、デビューするCB-F
1969年に発売された「ドリームCB 750Four(K0)」は、当時革新的な4気筒エンジンによる圧倒的パワーと高い走行性能でその後の大型バイク市場の世界的潮流を決定づけた。
しかし、1970年代後半に入るとCB750Four(Kシリーズ)の伝統的なSOHC2バルブやワイヤースポークホイールという構成に対し、カワサキやスズキといった競合他社はより高性能なDOHC4バルブエンジンや軽量なキャストホイールを採用するモデルを次々と投入。ホンダのシェアを脅かしていったのである。
この状況を打破すべく、ホンダもヨーロピアンスタイルをまとったCB750Four-IIやAT機構を搭載したEARAを投入するが、どれも有効打にはならず。根本的な技術革新と新たなコンセプト導入が不可欠であることが明らかとなっていた。
このような背景のもと、ホンダは次世代フラッグシップモデルとしてCB-Fシリーズの開発に着手することとなったのである。
2025年、久々にサーキットへ帰ってきた耐久レーサーRCB1000。
左が1976年式で、右は1977年式。RCB1000は1976~1978までの3年間で26戦中24勝(うち2敗はノンタイトル戦。タイトル戦は全勝)という輝かしい戦績を残した。
タイトルゼッケン1を冠した2年目の1977年型。エンジンは997ccで120psを発揮した。カウルにオイルクーラー用エアスクープを新設。
カタログの表紙ではRCB1000と並べられ、レーシングテクノロジー直結のスポーツモデルであることを強烈にアピールしていた。
ワークスマシンRCB1000の活躍とCB-F
CB-Fの技術ベースとなったのはCB750FourのエンジンをベースにDOHC化&排気量をアップし、世界耐久選手権に向けて作られたのがワークスマシンRCB1000だ。
RCB1000は参戦初年度の1976年に5戦全勝、翌1977年には6戦全勝という快挙を成し遂げると浮沈艦や無敵艦隊と呼ばれて、サーキット勢力図を一気に刷新。欧州におけるホンダ市場奪還作戦の最前線として活躍していた。
これに倣い、CB-FはDOHC4バルブヘッドはもちろん、ジュラルミン鍛造のセパレートハンドル(北米向けはパイプハン仕様)、前2+後1のトリプルディスクブレーキ、ワイヤースポークのしなやかさとキャストスポークの高剛性を併せ持ったホンダ独自のコムスターホイール、速度に応じて減衰力を自動調整するFVQダンパー式リヤサスペンションといったスポーティな新技術が詰め込まれて、まずは1978年12月に欧州向けの900Fから投入。翌年には日本と北米向けに750Fが登場した。
CB-Fは発売されるや国内外で圧倒的人気を得ることに成功。タンクからサイドカバーを経てテールカウルまで流れるようにつながるフローイングラインもしくはインテグレーテッド・ストリームラインと呼ばれる美しいスタイリングと共に、80年代バイクブームの方向性を決定づけるマシンとなったのである。
1979 CB750FZ
1979 CB750FZ
フレディ・スペンサーの活躍で不動の人気に
さて、CB-Fの誕生を受けて耐久レーサーRCB1000もRS1000へとフルモデルチェンジ。さらにホンダは最大のマーケットである北米市場に向けて1980年からAMAスーパーバイクレースにもCB-F改レーサーでワークス参戦を開始する。
ライダーは若き天才、フレディ・スペンサー。当初はRS1000の耐久用エンジンがベースだったため年間タイトルはウエス・クーリーのヨシムラスズキGS1000Sに奪われてしまうが、翌年にはマシンをスプリント仕様にブラッシュアップ。エディ・ローソンのカワサキKZ1000Jと死闘を繰り広げていくこととなる。
中でも1982年にAMAでも屈指の人気を誇るデイトナ100マイルレースで優勝したときのスペンサー車はその後のネイキッドブームにおけるCBのアイコン的存在となり、俗にスペンサーカラーと称される銀ベースに青ストライプの車体色も数々のホンダ車に採用され人気を博すと、令和のCB1000Fにも受け継がれている。
1982年のデイトナ100マイルを制したスペンサーの#19号車。足回りにGPマシンNS500のパーツも使われるなど、究極のCBと称された。
900Fは北米でも1981年に発売。やはりカタログではAMAで活躍していたスペンサーを前面に押し出すイメージ戦略が採られていた。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(CB1000F)
歴代CBの面影と最新の走行性能を掛け合わせたストリートの覇者 2025年11月に待望のデビューを果たしたCB1000F、そして2026年1月に登場した上級仕様のCB1000F SE。スーパースポーツモ[…]
「私自身もブラックを予約しているんです」 「“CB”はクリエイティブ・ベンチマーク(Creative Benchmark)として、その時代ごとにおけるバイク作りの基準であるべき」とは若手だった頃に、今[…]
新型『CB1000F』のイメージってどんなもの? 長年、Honda『CB』を象徴してきた「CB1300」シリーズが30年以上の歴史に終止符を打ち、その後を継ぐかのように登場した新型『CB1000F』と[…]
昔風の硬派なルックス、中身は超絶フレンドリー CB1000 HORNETをベースに開発され、ʼ25年11月にデビュー(SEはʼ26年1月)したのが、かつてのCB750Fを思わせる外観が与えられたCB1[…]
昔ながらの直4っぽさに速く走る楽しみをプラスだ やっぱりCBはストリート=公道のヒーローだった。まず何が素晴らしかったかと言えば、低速域におけるトルク感とかあのドロドロっとした大排気量直4CBならでは[…]
最新の関連記事(名車/旧車/絶版車)
スズキの良心。4ストマルチ250の最高意欲作 今回紹介するバンディット250は、1989年6月に登場したバンディット400の同時開発モデルになります。 バンディット250は、400から半年遅れになる同[…]
高校の裏で見かけたFが僕をバイクの世界に導いた 僕が“CB”と初めて出会ったのは、高校生だった頃。学校の裏に停めてあったバイクに心を奪われてしまったんだ。第一印象は「とにかくデカイ!」。車名もエンジン[…]
モンキーを中心に4ミニが560台超も集まる 新緑の香りが心地よく残る東京サマーランドの特設会場。今年もこの場所に、日本全国から規格外の情熱を持ったミニバイクたちが集結した。熱いモンキー愛を持つオーナー[…]
ホンダNSR50が、12インチの景色を変えた 前後輪12インチの50ccロードスポーツバイクといえば、ホンダ「NSR50」「NSR80」を思い浮かべるバイクファンは多いことでしょう。それというのも、こ[…]
ホンダの“R”だ! 可変バルブだ‼ 1980年代に入ると、市販車400ccをベースにしたTT-F3やSS400といった敷居の低いプロダクションレースの人気が高まってきた。ベース車として空冷直4のCBX[…]
人気記事ランキング(全体)
二輪のふらつきにサヨナラ。四輪がもたらす圧倒的な安心感 自転車や二輪の電動モビリティに乗っていて、低速時や荷物を積んだ時のふらつきにヒヤリとした経験はないだろうか。特に歩道走行モードのような低速域では[…]
長距離ツーリングの退屈さを打ち破る、圧倒的なオーラ 「長距離を走れるツアラーは快適だけれど、デザインがどれも似たり寄ったりで刺激が足りない」。そんな不満を心の奥底に抱えながら、ガレージに収める特別な1[…]
スリムな設計で取り付け場所の自由度がUP! スマートな防犯用アイテム登場 出先でのヘルメットの盗難抑止に重宝するヘルメットロックだが、近年のバイクはスマートフォンホルダーや各種コントローラーなどでハン[…]
単なる足代わりで終わらない。シグナスXが誇る「本気」の走り ただのスクーターと侮るなかれ。シグナスXの根底に流れているのは、紛れもないヤマハのレーシングDNAだ。心臓部にはVVA(可変バルブ機構)を採[…]
12インチホイールと103kgの軽さが生み出す無類のファンライド ホンダのグロムは、12インチの小径ホイールと車両重量103kgという圧倒的な軽さにより、初心者からベテランまで純粋な走る喜びを味わえる[…]
最新の投稿記事(全体)
このまま発売して欲しい! ハーレーダビッドソンが「RMCR Café Racer Concep (RMCR カフェレーサーコンセプトバイク)」を発表し、SNSなどでは「カッコイイ」「このまま発売して欲[…]
レトロなスタイルは好きだが、急ブレーキの不安は消したい 「クラシックなデザインのバイクに乗りたいけれど、安全装備がついていないのは不安だ」。雨の日のマンホールや、パニックブレーキでのタイヤロックにヒヤ[…]
イベント前に届く。熱中症対策を兼ねたオリジナルグッズの事前販売 隼駅まつり実行委員会主催の「2026年 第16回 隼駅まつり」が、2026年8月2日(日)に開催される。会場となるのは、鳥取県八頭郡八頭[…]
未塗装樹脂パーツ、白っぽくなっていませんか? 最近のバイクでは必ずといって良いほど採用されている素材が「未塗装樹脂パーツ」です。 未塗装樹脂パーツとは文字通り塗装していない樹脂製パーツのことです。黒や[…]
第5戦フランスGPで勢力図激変。最強ドゥカティを襲う異変とは? 小椋藍くんの3位表彰台によって、アプリリアは第5戦フランスGPで同社最高峰クラス史上初の1-2-3を達成した。第5戦フランスGP終了時点[…]
- 1
- 2















































