
「寒いとタイヤが滑りやすい…」と感じたことはありませんか? それ、気のせいじゃなくて本当に危ないのです。では、どうすれば安全にタイヤを温めて、滑らない走りができるのでしょうか? この記事では、寒い時期にタイヤのグリップを確保するための「安全にタイヤを温める方法」と「ライディングで気をつけるべきポイント」を考えてみたいと思います。
●文:ヤングマシン編集部(DIY道楽テツ)
冷えたタイヤは滑りやすいよね!
暦上は春を迎えても、まだまだ寒い日がありますね~。みなさん、元気にバイクに乗っていますでしょうか? 寒い日にバイクに乗っていると、「タイヤが滑りやすい」と感じることがありますよね。
なぜ滑りやすくなっているかというと、タイヤのグリップ力(摩擦係数)は温度によって大きく変化するからです。
一般的なストリートタイヤは20℃から30℃が適正温度でグリップが安定するといわれています。また、ハイグリップタイヤなどのスポーツタイヤの適正温度は50℃から80℃で安定する設計。つまり、路面温度が0℃近くになる冬場ともなると、低温ゆえにゴムが硬化してグリップが大幅に低下しがちというわけです。
これは、実際に手で触ってみるとよくわかります。夏場にスポーツ走行などをした後は、素手で触れないぐらいにタイヤ表面が熱々になっていることがありますが、冬の寒い朝にタイヤ表面に触れてみると、爪を立てても凹まないぐらいに硬くなっているのを感じることができるはずです。
いぐらいいタイヤを履いていたとしても、気温が低い状態では理想的なグリップ力を得られないのです。つまりは“滑る”ということ。そんな状態では安心して走ることはできないですよね~。
タイヤを温める方法あれこれ
サーキット走行やレースなどでは、タイヤウォーマーを使うのが一般的です。これはタイヤ用の電気毛布のようなもので、電気ヒーターが内蔵されたカバーをタイヤに巻き付けて、一定温度まで温めることで、グリップ力を最適化。ウォームアップラップ不要で、即座に全開走行ができるというスグレモノ。
そんなものがあれば、まさに怖いものなしなのですが、一般家庭で持っている人はほとんどいないですし、通勤前にタイヤウォーマーを使うのは現実的ではないですよね。では、どうするか? ドライヤーでタイヤ温めるのも手間がかかるし、日の当たる場所に長時間置けば効果的だけども場所が限られてしまうし・・・。
現実的で有効な方法はきちんとあります。それは暖機運転をした後、走り始めのちょっとの間、ライディングを気をつけるというもの。これだけでも、タイヤを温めることが可能なのです。
タイヤを温めるおすすめの走り方
タイヤが滑るのが怖いですし、バイクを倒し込むのは勇気がいりますが、バンク角があまりにも浅いと、タイヤの側面を温めることができません。逆効果となってしまいます。そこで、おすすめしたいのが、「リーンアウト」による走行です。
「リーンアウト」走行とは、バイクの旋回時にライダーの上半身を車体の外側(コーナーの外側)に起こす乗り方のこと。バイクをバンク(傾斜)させる際に、ライダーの重心を外側にずらす乗り方で、おもにオフロード走行や低速のUターン時などで使われる乗り方です。教習所で、8の字走行などをする際、教わった方も多いかもしれません。
この「リーンアウト」は低速での安定感に優れていて、バイクの挙動が不安定になった時でもバランスを崩しにくいという特性があります。
また、前寄りに座ってガソリンタンクをしっかりニーグリップすることによってバイクの重心に近づけるので、万が一スリップしても自分がその回転の中心に近いため、スリップ時の恐怖心が少ないというメリットもあるのです。
走り始めてからしばらくはリーンアウトで走って、交差点などでタイヤのサイドまで使って走ることによって、タイヤをかなり温めることが可能です。
もし可能であれば、バンク中により体を外に逃がすと、意図的に深めのバンク角を得られやすいので、よりタイヤの広い面積を地面に当てることができます。こうして、タイヤをしっかり使うことを意識するだけで、結果として摩擦熱を得られるのですが、この効果が侮れないのですよ。
しばらく走ってからタイヤを触ってみれば、その効果を実感できるはず。思ったより温まっていて、驚くかもしれません。
「急」のつく走行は避けてご安全に!
とは言っても、やはり気温が寒い日はタイヤのグリップ力が低くなりがち。急ブレーキや急加速、急旋回などの、「急」がつく動作は避けるようにしましょう。
寒い日に転倒してしまうと、本当に痛く感じてしまうものですから・・・(経験者)。これからどんどん暖かくなって、楽しいツーリングの季節がやってきますから、しっかり装備を整えて安全運転でバイクライフを楽しんでください。
この記事が皆様の参考になれば幸いです。今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました~!
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(ニュース&トピックス)
「背肩シート・セットで蒸れんゾ・インテグラ―レ」とは? これまで多くのライダーが夏の「熱」や「蒸れ」に対して様々な対策を講じてきた。高機能なインナーウェア、メッシュ構造のジャケット、あるいは空調ウェア[…]
夏の避暑地としても人気の山中湖エリア 山梨県南都留郡山中湖村に位置する山中湖は、東京からもっとも近い森と湖のリゾート地として人気だ。富士五湖の中でもっとも富士山に近く、湖越しに望む雄大な富士山の姿は圧[…]
州知事や政府関係者のほか、従業員も参加し祝う 四輪車はもちろん、ビジネスジェット機でも知られ、最近では再使用型ロケットでも話題のホンダ。その始まり、つまり「祖業」は二輪車にある。 スタートは自転車用補[…]
Paceプロジャケット:高い安全性と通気性を両立 前面のMロゴがスポーティな印象を与える新作ジャケット。伸縮性と耐摩耗性に優れたアウター素材が、ワインディングからロングツーリングまであらゆるシーンで動[…]
K-2439 フルメッシュロングジャケット:スタイルと機能を両立するツーリングジャケット 腰までしっかりと覆う安心感のあるロング丈でありながら、後襟から袖口へ流れるように入ったラインデザインと、ウエス[…]
最新の関連記事(ビギナー/初心者)
シリーズ第6回は「小回り&Uターン」。ボテゴケ体質を改善だ! 白バイと言えばヤングマシン! 長きにわたって白バイを取材し、現役白バイ隊員による安全ライテク連載や白バイ全国大会密着取材など、公道安全運転[…]
雨の日の滑るポイント「滑るMAXな四天王+1」 バイクが雨の日に滑る場所って、だいたい決まってます。もうわかりますよね? ライダーならみんな一度はヒヤっとしたことある、あの“定番トラップ”たちです。滑[…]
バイクに憧れて免許取得 初めてのスクーター体験 最初に乗ったのは「リード125」。 高い燃費性能と動力性能を兼ね備えた人気のスクーターです。 実はミクさん、公道でスクーターに乗るのは今回が初めて。試乗[…]
「危険なら道路を改善しないの?」との疑問を感じるが…… 市中の道路を走っていると「事故多発交差点」と書いた立て看板を見かけることがあります。 その交差点で交通事故が多発しているので気を付けて運転してほ[…]
「バイクのスプロケットの交換タイミングはいつなんだろう?」 これは、バイク仲間や先輩、バイク屋さんやバイク雑誌などでも昔からとずっと語られてきたことで、今ではインターネット検索すればいくらでも情報が出[…]
人気記事ランキング(全体)
オートマ・AMT&ベルトドライブ採用の250ccクルーザー! 自社製エンジンを製造し、ベネリなどのブランドを傘下に収めることでも知られる、中国・QJMOTOR。その輸入元であるQJMOTORジャパンが[…]
懐かしのスタイルに最新技術をフル投入! 2025年3月の東京モーターサイクルショーで詳細が発表されたヨシムラヘリテージパーツプロジェクト。対象機種は油冷GSX-R750とカワサキZ1となっており、GS[…]
K-2439 フルメッシュロングジャケット:スタイルと機能を両立するツーリングジャケット 腰までしっかりと覆う安心感のあるロング丈でありながら、後襟から袖口へ流れるように入ったラインデザインと、ウエス[…]
日本を代表するツーリングロードのティア表だっ! 「次のツーリングは、どこへ行こう?」 そんな嬉しい悩みを抱える全てのライダーに捧げる、究極のツーリングスポット・ティア表が完成した。 ……いや、そもそも[…]
機能豊富なマルチパーパスフルフェイスのシールドを外した、さらに身軽なフォルム 『TOUR-CROSS V』は、アライヘルメットが’23年6月に発売したマルチパーパスヘルメットだ。高速走行時の空気抵抗を[…]
最新の投稿記事(全体)
遂に50ccクラスへ足がかりをつくる! 1980年にドイツのIFMA(ケルンショー)で、カワサキがAR50/80とオフロード車のAE50/80を発表したとき、世界のバイクメーカーに衝撃が走った。 なぜ[…]
「背肩シート・セットで蒸れんゾ・インテグラ―レ」とは? これまで多くのライダーが夏の「熱」や「蒸れ」に対して様々な対策を講じてきた。高機能なインナーウェア、メッシュ構造のジャケット、あるいは空調ウェア[…]
シリーズ第6回は「小回り&Uターン」。ボテゴケ体質を改善だ! 白バイと言えばヤングマシン! 長きにわたって白バイを取材し、現役白バイ隊員による安全ライテク連載や白バイ全国大会密着取材など、公道安全運転[…]
夏の避暑地としても人気の山中湖エリア 山梨県南都留郡山中湖村に位置する山中湖は、東京からもっとも近い森と湖のリゾート地として人気だ。富士五湖の中でもっとも富士山に近く、湖越しに望む雄大な富士山の姿は圧[…]
バイク駐車場の拡充に取り組む千葉市 千葉市内には6区で50の鉄道駅がある。中でも千葉駅は千葉県の中心駅として、JR東日本の在来線6線と京成電鉄、さらに千葉都市モノレールが乗り入れている。 都心や成田空[…]
- 1
- 2