
決勝ウィークに入ってから連日の雨天に見舞われた2026年のマン島TTは、6月6日の最終日のレースが雨のため中止となって終了した。予定されていた10レースのうち5レースしかフィニッシュできなかった今年のマン島TTの後半をレポートしよう。
●文と写真:山下剛(ヤングマシン編集部) ●外部リンク:ISLE OF MAN TT RACES
シニアTTは赤旗中断で1周目の順位がレース結果に
今年のマン島TTはつくづく悪天候に翻弄された。サイドカーTTは車体の空力に問題があり、予選も決勝も中止になったことはすでにお伝えしたが、結果としては2レースを予定していたスーパーストックTTも雨のために延期の末キャンセルとなり、まったくスタートできずじまいだった。
このほかにスポーツバイクTTレース2が中止となり、サイドカーを除く8レースのうち5レースしか消化できないまま、今年のマン島TTは幕を閉じたのだ。
主催者は気象庁と連携を組みつつ、天気予報をもとにしてレース日程を幾度となく組み直し、その都度変更を繰り返したが、そのほとんどが雨によって阻まれた。
そして6月3日、主催者は悪天候が予想される翌4日をレースのない休息日とし、5日にはスーパースポーツTTレース2、スポーツバイクTTレース1、シニアTTの3レース、6日にスーパーストックTTレース2をスタートさせる日程を発表した。
5日のマン島は連日の雨の隙をついた晴れ間で、スポーツバイクTTレース1までは計画どおりにレースが進んだが、歯車が狂ったのはシニアTTだった。ディーン・ハリソン選手(CB1000RR-R)がリーダーとなってレースを引っ張っていた2周目、後続ライダーが11マイルストーン付近でクラッシュしてコースに赤旗が掲示された。しかし18時すぎのスタートだったレースには時間的余裕がなく、そのまま中止となってしまった。
主催者は急遽日程を変更し、翌日開催としていたスーパーストックTTレース2を中止とし、その代わりとして再スタートとなるシニアTTとスポーツバイクTTレース2の開催を発表。しかし6日は折から天気予報は雨。当日のマン島は未明から雨が続き、主催者は早朝6時に3時間のディレイ(遅延)を発表。その後さらに2時間のディレイとしたが天候は回復せず、14時に今年のマン島TT終了が発表された。
再スタートが実現しなかったシニアTTは、1周目の順位がそのままレース結果となることも伝えられた(本来は6周だが、今年は日程変更により4周に短縮されスタートした)。
このようにして異例の事態のまま終了してしまったマン島TTは、あらためてモータースポーツとは天候次第、原則的には自然相手の競技である、ということをイヤというほど実感させられた。
そんな今年のマン島TTだったが、すばらしいトピックとしては中止が相次ぐなかにおいてもマイケル・ダンロップ選手が3勝を挙げ、TT通算勝利数を36に伸ばしたことだろう。ダンロップ選手に次ぐライダーは、現役ではジョン・マクギネス選手の23勝で圧倒的なリードを持っている。ダンロップ選手は偉大なる伯父であるジョイ・ダンロップ選手の記録である26勝を超えてなお、その勢いはとどまるところを知らない。
また、日本から出場している山中正之選手は、スポーツバイクTTレース1を見事に完走し、33位でフィニッシュした。今年は初めて走らせるパトン S1-Rに順応しつつの練習と予選走行となり、度重なる雨天で思うように走れない日が多かったが、2015年のマンクスGP(マン島TTの登竜門レース)に参戦以来、欠かさず毎年参戦してきた経験があってこその結果だ。
Supersport TT Race 1 Results (3 Laps)
| 順位 | ライダー | マシン | 総合タイム | 平均速度(mph) |
| 1 | マイケル・ダンロップ | パニガーレV2 | 53分46秒857 | 126.318 |
| 2 | ディーン・ハリソン | CBR600RR | 54分10秒327 | 125.367 |
| 3 | ピーター・ヒックマン | ストリートトリプル765RS | 54分33秒833 | 124.467 |
| 4 | ポール・ジョーダン | パニガーレV2 | 54分45秒406 | 124.029 |
| 5 | ジョシュ・ブルックス | GSX- R750 | 55分3秒948 | 123.332 |
| 6 | ドミニク・ハーバートソン | ストリートトリプル765RS | 55分10秒708 | 123.081 |
| 7 | ジェイミー・カワード | CBR600RR | 55分16秒744 | 122.857 |
| 8 | ショーン・アンダーソン | GSX- R750 | 55分17秒040 | 122.846 |
| 9 | イアン・ハッチンソン | パニガーレV2 | 55分19秒341 | 122.76 |
| 10 | マイク・ブラウン | YZF-R6 | 55分25秒500 | 122.533 |
Supersport TT Race 2 Results (3 Laps)
| 順位 | ライダー | マシン | 総合タイム | 平均速度(mph) |
| 1 | マイケル・ダンロップ | パニガーレV2 | 53分11秒722 | 127.669 |
| 2 | ディーン・ハリソン | CBR600RR | 53分37秒849 | 126.632 |
| 3 | ピーター・ヒックマン | ストリートトリプル765RS | 53分51秒386 | 126.102 |
| 4 | マイク・ブラウン | YZF-R9 | 54分10秒803 | 125.349 |
| 5 | ポール・ジョーダン | パニガーレV2 | 54分11秒731 | 125.313 |
| 6 | ジョシュ・ブルックス | GSX-R750 | 54分13秒396 | 125.249 |
| 7 | ドミニク・ハーバートソン | ストリートトリプル765RS | 54分31秒073 | 124.572 |
| 8 | ジェイミー・カワード | CBR600RR | 54分46秒844 | 123.974 |
| 9 | ショーン・アンダーソン | GSX-R750 | 54分51秒820 | 123.787 |
| 10 | イアン・ハッチンソン | パニガーレV2 | 55分05秒033 | 123.292 |
Sportbike TT Race 1 Results (2 Laps)
| 順位 | ライダー | マシン | 総合タイム | 平均速度(mph) |
| 1 | マイケル・ダンロップ | S1-R | 36分29秒328 | 124.082 |
| 2 | マイク・ブラウン | S1-R | 36分58秒103 | 122.472 |
| 3 | ポール・ジョーダン | RS660 | 36分58秒767 | 122.436 |
| 4 | ピーター・ヒックマン | YZF-R7 | 37分26秒382 | 120.930 |
| 5 | ジェイミー・カワード | S1-R | 37分40秒420 | 120.179 |
| 6 | ジョー・ヤーズリー | YZF-R7 | 37分57秒100 | 119.299 |
| 7 | ドミニク・ハーバートソン | デイトナ660 | 38分08秒037 | 118.729 |
| 8 | バズ・ファーバー | YZF-R7 | 38分14秒641 | 118.387 |
| 9 | ミハル・ドコウピル | RS660 | 38分15秒960 | 118.319 |
| 10 | マイケル・スウィーニー | RS660 | 38分25秒586 | 117.825 |
Senior TT Results (1 Lap)
| 順位 | ライダー | マシン | 総合タイム | 平均速度(mph) |
| 1 | ディーン・ハリソン | CBR1000RR-R | 16分44秒900 | 135.166 |
| 2 | ピーター・ヒックマン | M1000RR | 16分57秒360 | 133.510 |
| 3 | ジョシュ・ブルックス | CBR1000RR-R | 17分02秒997 | 132.775 |
| 4 | イアン・ハッチンソン | M1000RR | 17分10秒643 | 131.789 |
| 5 | マイケル・ダンロップ | CBR1000RR-R | 17分14秒045 | 131.356 |
| 6 | ジェイミー・カワード | CBR1000RR-R | 17分24秒789 | 130.005 |
| 7 | デイビッド・ジョンソン | ZX-10R | 17分25秒689 | 129.893 |
| 8 | ネイサン・ハリソン | CBR1000RR-R | 17分27秒178 | 129.709 |
| 9 | マイク・ブラウン | CBR1000RR-R | 17分27秒428 | 129.678 |
| 10 | コナー・カミンズ | M1000RR | 17分27秒479 | 129.671 |
スポーツバイクTTでパトン S1-Rを駆って勝利したマイケル・ダンロップ選手。※写真は予選走行中に撮影したもの
2レース行われたスーパースポーツTTで2連勝を決めたマイケル・ダンロップ選手(ドゥカティ パニガーレV2)
シニアTTで優勝したディーン・ハリソン選手(ホンダ CBR1000RR-R)
マンクスGPに2回、マン島TTに8回出場し、マン島レース経験を積み重ねてきた山中正之選手は、スポーツバイクTTレース1で33位完走を果たした
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(レース)
レースを戦うために研ぎ澄まされた、妥協なきスペック 「最新の電子制御と、エンジンを限界まで回し切る快感を両立した生粋のサーキット用レーシングマシンが欲しい」。そんなハードコアなスポーツ走行愛好家にとっ[…]
まさに最強の盾と矛! ヤマハの本気度がヤバい ホルヘ・マルティン: 言わずと知れた2024年の世界王者。その圧倒的な一発の速さと、限界を超えて攻め抜くメンタリティは、現在のMotoGP界でも間違いなく[…]
小椋藍が最高峰で魅せた!王者マルケスを脅かす「25歳」の覚醒 MotoGP第9戦は小椋藍選手がポールポジションを獲得し、スプリントレース、決勝レースともに2位という素晴らしい成績を収めたレースです。決[…]
小椋藍、チェコGPで日本人6年ぶりのPPを獲得。フィニッシュでも2位! 見えてきた「夢の頂点」への課題 小椋藍選手(SuperFile Trackhouse MotoGP Team)が大活躍したMot[…]
今年に入ってからの成長速度は拍車がかかっている 2026年シーズン、開幕から長島哲太(DUNLOP Racing Team with YAHAGI)が好調を維持している。もてぎで2位。SUGOで4位と[…]
最新の関連記事(ニュース&トピックス)
ドゥカティしか実現できない豪華絢爛なゲストライダー陣 WDW(イタリア語ではヴーディーヴーと発音する)は、ドゥカティにとってホームともいえるミサノ・サーキットで行われる。ここは「ミサノ・ワールド・サー[…]
歴代モデルが浜松に集結する「KATANAミーティング」の魅力 「KATANAミーティング」の最大の魅力は、新旧様々な排気量のKATANAが一堂に会する圧倒的な光景にある。昨年開催された「KATANA […]
時代を超えて響く1000cc空冷Vツインの美学「XS-V1 Sakura」 ヤマハが企業理念である「感動創造」をモーターサイクルという形で具現化し、アートの世界観で乗り物の楽しさを表現したコンセプトモ[…]
6月下旬~7月上旬:Kabuto「SHUMA SKALION」 走行開始30秒で涼しさを体感できるKabutoの「SHUMA」に、サソリとトライバル模様をあしらった新色「スカリオン」が追加された。ヘル[…]
523ピースがもたらす、至福の「没入タイム」 日々の仕事や慌ただしい生活の中で、私たちは何かに無心で取り組む時間を失いがちだ。そんな現代の大人にこそおすすめしたいのが、この「CAMブロック ホンダ C[…]
人気記事ランキング(全体)
58馬力の直4エンジンが放つ、突き抜けるような高揚感 「ヨンヒャクでも胸のすくような直列4気筒エンジンの吹け上がりを、フルカウルモデルでとことん味わい尽くしたい」。そんなスポーツ志向のライダーの渇望を[…]
夏のツーリングを快適に変えるプロ仕様の冷却技術 猛暑のなかでのライディングは、想像以上に体力を消耗する。ジャケット内にこもる熱や、肌にまとわりつく汗のベタつきは、集中力を削ぐ大きな要因だ。快適な走行を[…]
58馬力を絞り出す新設計の直列4気筒エンジン 「もう一度、あの甲高い直4サウンドを響かせて走りたい」。そんなライダーの切なる願いに、ホンダの技術陣は新設計の399ccエンジンで完璧に応えてみせた。 最[…]
スロットル操作でシフトダウン!? 電子制御CVT「YECVT」の衝撃 「スクーターはアクセルをひねるだけで楽だが、スポーツ走行ではどうしても物足りない」。そんなライダーの不満を過去のものにするのが、ア[…]
ワークマンプラス上板橋店で実地調査! これからの「猛暑」あるいはそれを飛び越えた「酷暑」と呼ばれる夏の時期、上着なしの薄着でいたくなるのも確か。しかしバイクに乗る以上、「転倒」というリスクには常に備え[…]
最新の投稿記事(全体)
1986年、異端児の誕生。「融合」の名を持つスクーター ホンダの250ccスクーター「フュージョン」は1986年に登場しました。フュージョンは1970年代後期にかけて流行したジャズとロック、ラテンなど[…]
PMCが販売するADVANTAGE KYBフォークはカワサキZ系のレストアやカスタムに最適 逆輸入絶版空冷4気筒車が大人気となった1990年代初頭、フロントには倒立フォーク、リヤはアルミスイングアーム[…]
目を奪われる新色「マットファントムブルー×フルーレッド」の衝撃 「フルカウルのスポーツバイクに乗るなら、誰とも被らない個性的なカラーリングで個性を主張したい」。そんなライダーの所有欲を強烈に刺激するの[…]
ドゥカティしか実現できない豪華絢爛なゲストライダー陣 WDW(イタリア語ではヴーディーヴーと発音する)は、ドゥカティにとってホームともいえるミサノ・サーキットで行われる。ここは「ミサノ・ワールド・サー[…]
熊の出没が急増する季節、ライダーに求められる「万が一」への備え 熊の被害や出没件数は、これからの夏から秋にかけてまさに「本番」のピークを迎える。特に秋は冬眠に向けた過食期に入り、熊の行動が活発化するた[…]
- 1
- 2







































