
●文:ライドハイ編集部(根本健) ●イラスト藤原 らんか
どうせ効かないから使わない、は間違い
「フロントブレーキの前のめりで後輪が浮きかかってるから、どうせリヤブレーキは効かない。だからリヤブレーキは使わない」
「フロントブレーキだけでも緊張してるのに、リヤブレーキまで気を遣う余裕はない」
キャリアがあってもビギナーでも、リヤブレーキの存在を半ば無視してるライダーは多い。しかし、それこそ限界を極めて走るMotoGPでは、右コーナーだとブレーキペダルが接地して踏めないため、左側にサム(親指)ブレーキという専用レバーを設け、使いまくってるのをご存じだろうか?
MotoGPライダーがなぜリヤブレーキを使いまくっているのかといえば、回転している後輪を制動すると、リヤサスペンションがその反力で縮む方向へ動こうとするからだ。
フロントブレーキをうまく操作していると、相対的に前のめりな動きでリヤサスペンションが伸びる動きをしてしまい、いっそう前のめりが大きくなってしまう。リヤブレーキングは、これを未然に防ぐ効果があるのだ。
そしてリーン寸前に、車体が傾いた瞬間から曲がり始める鋭い向き変えには、このリヤサスペンションが一瞬動きにくい状態が、動きにきっかけを与えるために都合が良いというのも大きな理由だ。
すぐABSが効いたりロックしやすいのは、支点がないから
そんなプロの頂点テクニックはさておき、リヤブレーキをちょっと強めに踏むと、ABS(アンチロックブレーキシステム)が働いて、後輪がガガッガガッと不穏な音を出してブレーキが効かなくなったり、ABSを装着していない世代のバイクだと、カンタンに後輪がロックして左右へテールスライドして肝を冷やす、といったパニックに陥りやすい。だから、それに懲りてリヤブレーキを使わなくなってしまうのだが……
※本記事は2022年5月17日公開記事を再編集したものです。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
ライドハイの最新記事
意表をついたZ1-RデザインがカワサキZの新しいトレンドに! 1972年に世界で量産されていなかった900ccのDOHC4気筒で大成功を収めたカワサキ。 しかし王座に君臨していられた時期が長く続いたわ[…]
燃料タンク部分に収納スペースと給油口はテールカウルの思いきった新しいデザイン! 1990年4月、スズキはいかにもエアロダイナミクスの良さそうなフルカバードボディの250cc4気筒をリリース。 最大の特[…]
カワサキZ1の次は2st.750スクエア4だったが頓挫 1969年に2ストローク3気筒500ccのマッハIIIで、とてつもないジャジャ馬ぶりの高性能で世界を驚かせたカワサキ。 そして1971年には同じ[…]
250A1、350A7に続く最速チャレンジャー真打ち登場!! 1966年に250ccA1サムライで、先行していたホンダCB72、ヤマハYDS3、スズキT20の性能を上回り、次いでボアアップした338c[…]
半クラッチは熱膨張で繋がる位置が変わる! ほんとんどのバイクは、エンジンのシリンダーよりちょっと後ろに丸い膨らみがある。これがクラッチ。 丸い膨らみの中には、エンジンのパワーを発生するクランクシャフト[…]
最新の関連記事(ライディングテクニック)
半クラッチは熱膨張で繋がる位置が変わる! ほんとんどのバイクは、エンジンのシリンダーよりちょっと後ろに丸い膨らみがある。これがクラッチ。 丸い膨らみの中には、エンジンのパワーを発生するクランクシャフト[…]
ハンドルで前輪を押えると曲がる機能を妨げてしまう! よくいわれるのが、肩や腕にチカラが入っていると曲がりにくくなるということ。 とはいえ、チカラが抜けていたほうが理想的かも知れないけれど、いうほど違い[…]
クラッチレバーをグリップに当るまでフルに切るのは丁寧なのではなく、ギヤに衝撃を与えるラフな操作になってしまう! 大切な愛車、バイクの運転はまだ慣れていないので上手くはないけれど、操作は慎重で丁寧であり[…]
力むとライダーの荷重がタイヤに対し遅れて上下! よくバイクに乗るときは、力んだりせずにチカラを抜いてリラックスするようにいわれる。 もちろん緊張をほぐして余裕をもって操作しようという気持ちの部分もある[…]
使わないのは「どうせ利かない」もしくは「踏んでもよくわからない」…… リヤブレーキをかけているライダーは、驚くほど少ない。 ブレーキペダルを踏んでも利いているかわからない、すぐABS(アンチロック)が[…]
最新の関連記事(ビギナー/初心者)
A:どちらも不具合。後ろはアフター、バックは戻ると覚えるべし 未燃焼ガスがシリンダー外で燃えるという意味では、どちらも同じ”不調”を表している。アフターファイアーはマフラー側に流れた未燃焼ガスが引火す[…]
交換するだけで愛車がスポーツバイクにもツーリングバイクにもなる タイヤは、すごい。バイクのパーツで唯一路面に接しており、その接地面積は、たったクレジットカード1枚分と言われる。たったこれだけでバイクを[…]
半クラッチは熱膨張で繋がる位置が変わる! ほんとんどのバイクは、エンジンのシリンダーよりちょっと後ろに丸い膨らみがある。これがクラッチ。 丸い膨らみの中には、エンジンのパワーを発生するクランクシャフト[…]
トレッドのグルーブ(溝)は、ウエットでタイヤと接地面の間の水幕を防ぐだけでなく、ドライでも路面追従性で柔軟性を高める大きな役割が! タイヤのトレッドにあるグルーブと呼ばれる溝は、雨が降ったウエット路面[…]
ハンドルで前輪を押えると曲がる機能を妨げてしまう! よくいわれるのが、肩や腕にチカラが入っていると曲がりにくくなるということ。 とはいえ、チカラが抜けていたほうが理想的かも知れないけれど、いうほど違い[…]
人気記事ランキング(全体)
4気筒CBRシリーズの末弟として登場か EICMA 2024が盛況のうちに終了し、各メーカーの2025年モデルが出そろったのち、ホンダが「CBR500R FOUR」なる商標を出願していたことがわかって[…]
空冷Zと日産のL型エンジンに特化したパムス カワサキのZ1やZ2など空冷Zのオーナー、あるいはファンの方にとってパムスは有名すぎるほどのファクトリーに違いありません。 レース畑だった私(今井伸一朗)で[…]
2023年モデル概要:400クラス唯一のクルーザーとして登場 カワサキ「エリミネーター/SE」の初公開は、2023年3月17日に開催された大阪モーターサイクルショーでのこと。発売はその約1ヶ月後となる[…]
ネットで注文できる1サイズ&1プライスガレージ。完成状態で運搬されてクレーンで据え置きされる サンデーメカニックなら誰もが知る工具ショップ・アストロプロダクツのホームページ上に「BIKE小屋」という商[…]
※価格や発売時期は独自の情報に基づく本紙予想です。販売店へのお問い合わせはご遠慮ください。 ターゲットはZ900RS。プライスも真っ向勝負?! 5年前に「CB-Fコンセプト」を目にした時の歓喜は忘れら[…]
最新の投稿記事(全体)
※写真はMotoAmerica Mission King of the Baggers ハーレーダビッドソン「ロードグライド」のワンメイクレース! ツーリング装備をサイドバッグに絞った仕様の“バガー”[…]
昔の日本で大型輸入車に乗れるのは非常に限られた人だけ 現在の日本では様々な輸入車が当たり前のように走っているけど、昔は世界で1番厳しいとされた認証型式の取得や車検制度という高い壁があり、日本を走る外車[…]
バイク同様に開放感を楽しめるオープンカー、屋根を開けた状態での雨対策はどうなっている? ごく一部の特別なモデルやカスタムされたマシンを除くと、バイクは雨の中を走ったからといってトラブルが起きないように[…]
1948年の本田技研工業設立から77年で達成 1948年に創業したホンダは、「技術で多くの人々の生活をより便利にしたい」というブレないコンセプトで多くの国や地域のユーザーニーズに合った製品やサービスを[…]
ビヨンド・ザ・タイム(時を超えて) 「かわす性能」でライダーの頭を護り続けるアライヘルメットが、オールラウンドフルフェイス「アストロGX」の新グラフィックモデル「アストロGXビヨンド」を発売する。 ア[…]