
エンジン本体に異常がなくキャブレターの機能も回復したら、不動車復活に明るい兆しが見えたと言っても良いだろう。そうなると、次に点検しておくべきは発電と充電だ。新品バッテリーを搭載した直後は良かったが、放電一方でやがてバッテリー上がり…というのでは安心して走行できない。発電電圧と充電電流の2方向から電気の元気を確認しよう。
●文/写真:モトメカニック編集部 ●外部リンク:丸中洋行(BSバッテリー)
充電状況確認の基本は電圧と電流
長期不動だったGSX1100Sに搭載されたバッテリーは、1970〜90年代のビッグバイクの定番・14L-A2タイプ。始動確認はジャンプコードで接続した外部バッテリーで行ったが、エンジンもキャブも正常に機能したので、干上がった古いバッテリーは処分してBSバッテリーに交換した。
14L-A2に対応する製品には、純正互換の開放式と密閉式のメンテナンスフリー、さらに軽量高性能なリチウムバッテリーがあり、今回はMFタイプのBTX14AHL-BSを装着。
装着したばかりの新品バッテリーの調子が良いのは当然だが、重要なのはバイク側の発電と充電能力だ。このカタナが長期不動状態になった経緯は不明だが、もしバッテリー交換をしてもすぐに上がることに嫌気が差したのなら、適切に対応しなくてはならない。
もっとも簡単で確実なチェック方法は、バッテリー充電電圧の点検だ。サービスマニュアルでは、満充電時にヘッドライトをハイビームで点灯し、エンジン回転数を5000rpmに保った際の電圧が14〜15.5Vであれば、オルターネーターやレギュレートレクチファイヤは正常だ。
電圧と同時に測定しておきたいのが、充放電時の電流である。エンジンを始動して灯火類を使用した際に消費する電流と、充電で得られる電流のバランスによってバッテリーの性能は保たれる。簡単なチェックで電気系の動作は正常であることが分かったので、この先の復活作業も安心して進めることができる。
サーキットテスターは電気系の点検に不可欠だ。電圧のみを測定するなら簡便なアナログ式でも事足りるが、電流も測定するならクランプメーターが必要。さまざまな用途で活用するならクランプ式がおすすめ。
カタナのバッテリーはエアクリーナーボックスの下にあるので、スターターリレーのプラス端子とボディーアース間の測定が指定。だがメンテ中でボックスを外してあるため、バッテリーターミナルから直接測定できた。
アイドリングから少しだけ上の1500rpmで13.03V、3000rpmで13.76Vを記録。5000rpmまで上げることはなかったが、確実に14Vを超えるだろう。レギュレートレクチファイヤの不良には充電不能と過充電の2パターンがある。
バッテリーのプラスターミナルにつながる配線には、スターターリレーに向かう極太コードとその他の電気系に向かう細めのコードがある。充放電時の電流を測定する際は細いコードをクランプする。
クランプメーターで電流を測定する際は、目的の配線をクランプした状態で一旦リセットして、ゼロアンペア状態にしてからエンジンを始動して灯火類を作動。エンジン回転数を上昇させて電流の推移を確認する。
このGSX1100Sにはヘッドライトスイッチがあり、ライトオフ/オンでの電流変化が顕著に現れる。ライト点灯で電流が消費されるのは当然だが、レギュレーターによりそれ以上の充電電流が発生することが重要。
イグニッションキーオフからオンにすると、イグナイター/ニュートラルランプ/オイルプレッシャーランプに通電する。常時ヘッドライト点灯車はさらに消費量が増えるので、点けっぱなしには注意しよう。
キーオフ状態で電源配線をクランプしてリセットする。電流が流れる向きとクランプの方向が逆だと放電時にプラス表示、充電時にマイナス表示となる。その際はクランプを裏返してセットする。
エンジンを始動せずヘッドライト(ハイビーム)とブレーキランプを点灯すると、一気に8アンペア以上の電流が消費される。灯火類をLEDに変更すれば、消費電流をぐっと抑えることができる。
アイドリング状態でも充電電流が発生するので、ライトオフ状態でマイナス3アンペア程度の消費量にとどまる。走行状態を想定して回転数を3000rpmまで上げれば、プラス4アンペアで充電優位。バッテリーが満充電に近づくと充電電流は低下する。
オルタネーターの交流電流を直流化してバッテリーを充電するレギュレートレクチファイヤ。サービスマニュアルによれば、オルタネーターの交流電圧は無負荷5000rpm時に80V以上が正常値。
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