
“リチウムイオン系の二輪車始動用のバッテリーは低温環境下に弱い”…なんてイメージがついてしまっているようだが、エリーパワーの『HY battEliiy Pシリーズ』の製品仕様を見ると、使用温度範囲は、“-10℃~65℃”なんてことが書いてある。ホントかなぁ~? ということで、ガチテスト企画大好きなフリーランスライターの谷田貝 洋暁が、年越し宗谷岬アタックでエリーパワー『HY battEliiy HY93-C』の始動性を確かめてきたぞ!!
●文/写真:谷田貝洋暁(ヤングマシン編集部)
ウソかホントか!? 年越し宗谷岬アタックで実走テスト!!
愛機ヤマハ・WR250Rで年越し宗谷岬アタック中のフリーライター・ヤタガイヒロアキ。今回は北海道では上陸後、道内6泊して朝イチ1発目の始動性をテスト。リチウムイオンバッテリー『HY93-C』の実力やいかに!?
2024年11月からエリーパワーのリチウムイオンバッテリー『HY93-C』を使い始めたフリーラインスライターの谷田貝です。どうもね、リチウムイオンバッテリーの低温時の始動性がどうなのか? 実際のところが気になって仕方がないんだよね~。
巷では “リチウムイオンバッテリーは低温に弱い!!” なんてことが通説になっていて、ネットを開けば実際に冬季に始動できなかった事例もちらほら……。でもね、エリーパワーのホームページを見ると、『HY battEliiy Pシリーズ』の使用温度範囲は“-10℃~65℃”なんてことが書かれてる。これが本当なら冬場に始動できなくて困るなんてことがまず起きないハズなのだが……。いったいホントのところはどうなんだろうか?
1年以上、リチウムイオンバッテリー『HY93-C』を使用している印象としては、“関東でなら寒い朝でも全く問題なく始動できている”という感じ。ただ、“もしも”ってことがあるじゃない!? もし出先で裏切られたら……なんてことを考えるとオチオチ冬季に遠出もできやしない。
とにかく心配なのは、冷え切っている朝1発目の始動である。写真は道内1泊目の滝川で迎えた出発シーン。気温は体感でギリギリマイナスに行くか行かないかくらいだと思われるが、屋根付き駐輪場だったこともあり難なくエンジンを始動できた(気象庁発表による滝川・朝8時の気温は+0.3℃)。
ならば! 毒を食らわば皿までってことで、2025-2026年越し宗谷岬アタックにリチウムイオンバッテリー『HY93-C』を連れ出すことにしたってワケ。年末年始の北海道は場所によるけど-10℃くらいの気温もざらでバッテリーの始動テストにはもってこい。この状況でトラブルを起こさないなら、リチウムイオンバッテリー『HY93-C』は低温環境でも十分信用できるってことになるのではなかろうか?
2泊目の朝は海沿いの羽幌。この日を境に年始にかけて気温は一気に低下。前日の雨で鍵穴が凍ってしまい。お湯をかけて無理やり始動することになったが、セルスターターは元気よく周り一発始動!(気象庁発表による羽幌・朝8時の気温は-3℃)。
零下気温の中を走行するとイグニッションはONのまま凍るため、常にエンジンかけっぱなし。給油時にはお湯をもらって鍵穴を溶かしてOFFにする。フューエルタンクもいちいちお湯で溶かして開けることに……。
上陸後、日本海側へ出た増毛あたりまで日中の最高気温はプラス気温だったようだが、大晦日から脱出までの行程の日中平均気温はだいたい-4℃くらい。
北海道上陸後の宿泊ポイントは、滝川(29日)、羽幌(12/30)、稚内(12/31)、門別(1/1)、帯広(1/2)、札幌(1/3)という感じ。記録用に持って行った温度計が予想外の雨で壊れてしまい正確な始動時の気温は記録できておらず(……トホホ)。
元旦の朝は稚内。ガレージ付きだったので夜な夜な頑張って鍵穴を直す。他の旅人から「お湯で溶かしたら間髪入れずアルコール度数の高いお酒を鍵穴に注入すると、とりあえず走れる」なんてことを聞いて試してみたら見事鍵穴が凍らなくなった!!…が、なんだかイグニッションはヌルッとしたフィーリングに(笑)。まぁ、回らないよりはいい。もちろんバッテリーに関しては問題なく、エンジンは一発始動だ。(気象庁発表による稚内・朝8時の気温は-7.8℃)。
1月2日の朝はオホーツク海側の紋別。このあたりはなんだか空気が湿って雪も滑る。鍵穴問題は、立ち寄った給油所で鍵穴凍結防止スプレーをお借りしたら、一発解決。この頃になるとリチウムイオンバッテリー『HY93-C』の低温始動性を全く心配しなくなっている。(気象庁発表による紋別・朝8時の気温は-3.0℃)。
走行中、最も寒さが厳しく感じたのが稚内から紋別までの区間。特に陽が傾いてからは底冷えして手足がちぎれそうに感じた。ただし、道中のエンジン始動に関しては全く問題なかった。
実は一発始動でなかったことが一度だけあった!
一番寒かった朝は間違いなく十勝平野の帯広で、早朝の空気の張り詰め方がそれまでの雰囲気から一転。乾燥しているのだろう空気中の音の伝わり方からして違う感じである。前日の天気予報では最低気温-15℃とのことだったが、朝8時の始動時の気温はおそらく-10℃を下回っていたと思われる。
帯広の朝8時。地形的に積雪は少ないようだが、とにかく冷える。それに空気も乾燥していて、いかにも内陸性の気候という感じだった。(気象庁発表による帯広・朝8時の気温は-10.7℃)。
流石に帯広での朝一クランキングは、一発始動とはいかず、3秒間ずつ2回ほとセルスターターモーターを回したところで一旦イグニッションOFF。5秒待って再びセルスターターを回したところで、ようやくエンジンに火が入った。
この始動の悪さがバッテリー由来のものか(ただし、セルスターターモーターは元気に回っていた印象がある)、燃料もしくは点火系が原因なのか定かではないが、気象庁発表によれば-10℃を下回っていたようなので、バッテリー由来だったとしても製品仕様に偽りなしといったところ。ただ、一度エンジンをかけてしまえば、それ以降の始動で不具合は全く感じなかった。
最終日、札幌での始動も一発だった。写真はその後向かった中山峠。(気象庁発表による札幌・朝8時の気温は-3.0℃)。
リチウムイオンバッテリー『HY93-C』の低温環境下での高い始動性のおかげで、僕のWR250Rは、無事年越し宗谷岬アタックを完走することができた!
実は“もしも”のことを考えて、重たい鉛バッテリーも荷物に忍ばせてきたりしたのだが、結局使うことなく、年末年始の北海道を走りきることができてしまった。この年越し宗谷岬アタックの完遂の結果をもってリチウムイオンバッテリー、少なくとも“エリーパワーの『HY93-C』に関しては低温下での始動性も優れている”というふうに言ってしまっていいだろう。
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