
クリームクレンザーでアルミ部品を磨くことはできるんだろうか?・・・いや、もとい。磨けます。てか磨いてます。しかもかなり強力なのですよ。さすがは鍋の焦げ付きをも落とす台所用洗剤、その威力たるや推して知るべしですが、「バイクの部品磨きには不向き」という話も聞こえてきます。何がいけないのか?逆にどこまでは使えるのか?実際に磨きながら考えてみたいと思います~!
●文:ヤングマシン編集部(DIY道楽テツ)
実は使ってます、カネヨン
まず結論から言うと、筆者は使ってます。バイクのアルミ部品磨きに、クリームクレンザーを使うのです。
たとえば(↑)腐食して白く粉を吹いたようになってしまったアルミ部品。ちょっと古いバイクのレバーなどは、ほぼ例外なくこうなっちゃいますよね。
これを磨こうと思ったら、普通ならアルミ磨き用のケミカルか、もしくはコンパウンドを使うところですよね。アルミ磨きの代表格といえば、やっぱりピカール。日本の家庭の代表的コンパウンドで、昭和の時代は一家に一本あったものです。
もちろん筆者も使ってます。だけど、腐食が強めに出てしまったアルミ部品を相手にすると、ピカールだけではちょっと力不足になってしまうことも。
たとえばコレ(↓)
艶がなくなったとか、ちょっと腐食してきたどころのハナシじゃないレベル。こうなるとピカールでは歯が立ちません。
そこで登場するのが、クリームクレンザー「カネヨン」。なぜ使うのか?
理由はシンプルです。研磨力が強いから。ピカールよりも、圧倒的に削る力があります。ここで注意書きとお願いをば。
※カネヨンなどのクリームクレンザーは、思っている以上に研磨力の強い洗剤です。アルマイト、メッキ、塗装面、樹脂パーツ、鏡面仕上げの部品には基本NG。使うなら「多少削れてもいい腐食アルミ」に限り、まずは目立たない場所で試して、使用後は洗剤成分が残らないようしっかり洗い流してください。
以上をご理解いただいた上で、話を進めますね。
論より証拠ってことで実際に磨いてみましょう。
クリームクレンザーをウエスに適量とって、
磨く!
ゴシゴシと擦って様子を見ると・・・
うん、磨けますね! 落ちるとわかったらしめたもの。遠慮なく磨くと、
こうなりました!
ピカールやほかのアルミ磨きとは、仕上がりの質感が違うのがお分かりいただけると思います。
研磨力は強い分、表面の艶は少なめなので、ピカールに比べてもちょっとつや消しな感じ。だけど、最初のザラザラの腐食から考えたら十分すぎるほどの光具合なのです。
クリームクレンザーは中に研磨剤が入っているので、「磨く」・・・というより「削る」感覚で、表面の腐食もろとも一皮剥いてくれちゃうカンジです。
どうです。強力でしょ?? ピカールでじっくり磨いていたらそこそこ時間がかかりそうな腐食でも、クリームクレンザーならかなり早い段階で変化が見えてきます。
これは気持ちいい。そして何より、クリームクレンザーは安い。昔からある洗剤あるあるですが、「安い」「量が多い」そして「台所でも使える」この三拍子。長く愛されているものには理由があるのです。ところがです。ネットで調べてみると、アルミ部品にクリームクレンザーは使わないほうがいい、という話も出てきます。では、なぜダメと言われるのか?理由は大きく分けて2つあります。
でも「使わないほうがいい」と言われる理由
ひとつ目は、アルマイト加工が剥がれる可能性。アルミ部品には、アルマイトと呼ばれる陽極酸化処理が施されているものがあります。これはアルミの表面に作られた保護層のようなもので、腐食を防いだり、見た目を整えたりする役割があります。
そこを研磨力の強いクリームクレンザーでゴシゴシ擦ればどうなるか。削れます。そりゃそうだ。
鍋の焦げ付きも落としちゃうほどの研磨剤入りだから当然ですよね。なので、きれいなアルマイト仕上げの部品には基本的に向きません。磨いているつもりが、保護層や色まで落としてしまう可能性があるわけです。てか、簡単に落ちます(←経験者)
ただし。筆者が使っているのは、すでに腐食してしまった古いアルミ部品。とっくに表面は荒れているし、見た目もくすんでいる。そんな部品を相手にしているので、アルマイトどころか、むしろ「この腐食をまず落としたいんだっ!」という場面で使っているわけです。
もうひとつの注意点は「アルカリ性」
そして2つ目の理由が「アルカリ性による腐食」の恐れ。
カネヨンは弱アルカリ性の洗剤です。実はアルミという金属は、表面の酸化皮膜によって守られている一方で、強い酸性やアルカリ性の成分にはあまり強くありません。洗剤成分が残った状態が続くと、腐食や白サビの原因になることがあります。
そのため、アルカリ性の成分が残ったままになると、表面や隙間に入り込んだ洗剤成分が原因となって、逆に腐食を招く可能性があるのです。つまり、こういうトコ(↓)
隅っこや合わせ目、ネジ穴、リブの裏側などにクレンザーが残ってしまうと、そこから後々「白い粉」が吹いてきてしまうということです。
なので、磨いたあとの洗浄はかなり大事。
洗浄の方法としては、食器洗いに使う中性洗剤でかなり落とせます。洗ってみると汚れが出てくるのでよくわかるハズ。それでも部品の凹みや隙間にアルカリ成分を残したくないという場合は、中性洗剤で洗ったあとにパーツクリーナーでの洗浄もオススメです。
ちゃんと洗ったつもりでも、スプレーの圧力で「おっ」て思っちゃうぐらいの汚れが出てきます。そのあとにまた洗剤で洗っておけばなお安心でしょう。
ガサガサ腐食アルミを磨いてみる
クリームクレンザーは、研磨力が強すぎてアルミの表面を削ってしまう。逆に言えば、強い研磨力が求められる腐食に対しては武器になる。
ってことで、今度はこのスイッチボックスを磨いてみましょう。
腐食が発生してるどころじゃない有様。表面がもうザラッザラ。こりゃあ磨き応えがありそうですな~!
まずはウエスに適量取って磨いてみます。
ゴシゴシゴシ・・・う。こりゃ手強い。さすがに簡単には落ちませんな。
とはいえ、磨いたところは表面のザラザラが取れてツルツルの曇り状態にはなってくれたので、十分磨けることはわかります。
ここからは根気勝負だなっ!! ウエスにクリームクレンザーつけてゴシゴシゴシ・・・またウエスにクリームクレンザーつけてゴシゴシゴシ・・・・・・
形状が複雑だったりしてウエスで磨けないところには、古ハブラシにクリームクレンザーをつけて磨いていきます。「歯ブラシなんかで磨けるの?」って思っちゃうところですが、これがなかなか侮れない。伊達に歯を磨くために作られた道具じゃないってことですね。これが意外にもいい仕事してくれちゃうんですよ。
歯ブラシにクリームクレンザーつけて、シャカシャカシャカ・・・ウエスにクリームクレンザーつけてゴシゴシゴシ・・・ラジオ聞きながら20分ぐらい磨いたでしょうか。
ウエスで拭ってみると・・・
おお! やったぜカネヨン!
ガサガサに腐食したスイッチボックスをクリームクレンザーで20分磨いた状態です。こんなカンジ!
いかがでしょうか?
あくまで手磨きなので、隅っこまではなかなか磨けないですし、クリームクレンザーなのでピカッと鏡面になるわけじゃありません。だけど。だけどですよ? あそこまで腐食していた表面が、ここまで綺麗になれば相当なものではないでしょうか??
クリームクレンザーは「超粗目の」コンパウンド
けっきょくのところ、クリームクレンザーは「使い方次第」だと思っています。
研磨力が強い(強すぎる)、弱アルカリ性なので、成分が残ると腐食のリスクがある。この特徴を理解したうえで使えば、けっこう頼れるケミカルになります。
ピカールとクリームクレンザーは、同じ「磨く」でも役割が違います。クリームクレンザーは、腐食やくすみを大きく落とすのが得意。一方で、ピカールは仕上げの艶出しが得意。
なので、筆者的にはこうです。
まずクリームクレンザーで、あらかた腐食を落とす。そのあと、ピカールで仕上げる。この流れが正解に近いと考えます。
いきなりピカールで全部やろうとすると時間がかかる。逆にクリームクレンザーだけで終わらせると、鏡面にはなりにくい。だったら、それぞれ得意なところを担当してもらえばいい。
粗落としのカネヨン。仕上げのピカール。適材適所ってやつですね!
要注意だけど「使え」ます
まとめておきますね。クリームクレンザーは研磨力の強い“超粗目の液体コンパウンド”的に使える洗剤です。
メッキ部品、塗装面、樹脂パーツ、アルマイト仕上げの部品、鏡面仕上げの部品。こういったものには基本的におすすめしません。研磨力があるということは、汚れだけでなく表面そのものも削るということです。
クリームクレンザーは弱アルカリ性です。アルミに対してアルカリ性の成分が残ったままになると、表面や隙間に入り込んだ洗剤成分が原因となって、せっかく磨いた後にかえって腐食を招く可能性があります。そのため、洗浄は欠かせません。つまり、きれいな部品を維持したい場合や、アルマイトや塗装を守りたい場合には、使わないほうが安全です。
だけど、すでに腐食してしまった古いアルミ部品を相手にするなら話は別。特性をふまえて使い分ければ、昔ながらの家庭用洗剤が、なかなか優秀なガレージケミカルに化けるわけです。
安い。手に入りやすい。研磨力が強い。そして、使用範囲も広い(台所でも使える)!
カネヨン、なかなかやるじゃないか。この記事が皆様の参考になれば幸いです。今回も最後まで読んでいただきありがとうございました~!
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