
2本目/3本目として持っておきたいラチェットハンドルとしておすすめなのが、ヘッドとハンドルの角度を任意に調整できる首振りタイプ。首振り機構には、小判型のヘッドの根元にジョイントがあるタイプと、丸型ヘッドに回転軸を持つスイベルタイプの2種類があり、どちらも狭い場所での使い勝手が良い。スイベルタイプは、ハンドルを立てることでソケット差込部と一直線になり、ドライバーのように使えるのも魅力。本記事ではソケットレンチ専門メーカー・コーケンのラチェットを紹介しよう。
●文/写真:モトメカニック編集部 ●外部リンク:山下工業研究所
ハンドルとソケットが一直線になる丸形ヘッドのスイベルラチェット
丸型ヘッドの中心に支点を置くことで、ハンドルを180度振れるスイベルラチェット。ハンドルと差込部を90度にすれば通常のラチェットと同様にトルクをかけられ、ハンドルを立てれば早回し作業で重宝する。
ただし、ハンドルの先割れ部分がヘッドの両側まで伸びるため、小判型の首振りタイプよりヘッドがかさばるのが弱点となる。
【コーケン スイベルヘッドラチェットハンドル 3776J】●税抜希望小売価格:1万4500円 【コーケン 首振りラチェットハンドル(ロック付) 3774PL】●同1万2900円 【コーケン 首振りラチェットハンドル(ショート) 2774JS-3/8】●同9300円
ヘッド根元からハンドルの角度が変わる3774PLに対して、3776Jは支点とソケット差込部が同一線上にあり、ドライバーのように使えるため、干渉物を避けるだけでなく早回しにも便利。丸型ヘッドのギヤは45歯で、外周のリングを回してL/Rの回転方向を決定する。ヘッド幅は3774PLの30.5mmに対して3776Jは44mmとやや広い。
本来は1/4用のラチェットヘッドに3/8インチの差込部を組み、狭い場所での使い勝手を向上させるとともに、首振り機構でさらに自由度をアップさせた2774JS-3/8。ハンドルを逃がすことでソケットの傾きも防止できる。
ディープソケット/ユニバーサルジョイント/エクステンションバーなど、ボルト/ナットとハンドルの距離を離す手段はいくつもある。ハンドルの角度を変える首振り機能も、作業効率アップの一手段だ。
固定ヘッドでも首振りでもコーケンラチェットの美点は共通
ソケットレンチ専門メーカーであるコーケンには、全長違い/プッシュボタンの有無/ロック機構の有無など、首振りラチェットハンドルにもさまざまなバリエーションがある。
3774PLは、差込角3/8では長めの全長265mmで、作業中に不意にヘッドが傾かないようロック機構が付く。ギヤ数は24歯で、言うまでもなく空転トルクは軽い。
【コーケン 首振りラチェットハンドル(ロック付) 3774PL】●税抜希望小売価格:1万2900円 【コーケン プッシュボタン式ラチェットハンドル 3753PB】●同8670円
首振りなしの3/8ハンドルが全長200mmデフォルトなのに対して、首振りタイプは265mmと長く、軸部は作業時に力が加わる回転方向を太くした独自の楕円形中間軸を採用している。首振りハンドルも良いが、下の3753PBは最初の1本として持っておきたい標準タイプの3/8ラチェットハンドル。コーケンはそもそも差込部とソケットのガタが少ないが、プッシュボタン式はさらに確実に確実にロックするのが特長。
作業スピードアップに役立つ12ポイントソケットを活用したい
ラチェットハンドルの首振り機能に加えて、ソケットを6角(6ポイント)にするか12角(12ポイント)にするかで作業性が左右されることもある。コーケンは6角も12角もボルトやナットの角部を傷めにくいにくいサーフェイスドライブを採用しており、12角は6角の半分の回転角度でアプローチできるため、狭い場所でも使いやすい。
【コーケン 12角ソケット レールセット RS3405M/8】 6角にするか12角を選ぶかは、ユーザーの好みによる部分も大きい。ソケットを指先で回して手探りでボルト/ナットにはめる作業では、12角の方がフィットしやすいのは確か。一方で角がナメそうなボルト/ナットに対しては、一辺が長い6角の方が安心して力が加えられる。●税抜希望小売価格:6640円
ラチェット機能がなくても、スピンナハンドルなら早回しも大得意
ソケット差込部とハンドルの角度を変えられるという点で、見逃せないのがスピンナハンドル。ラチェットがないと物足りなく感じるかもしれないが、きつく締まったボルトに強いトルクを加えながら早回しもできる利便性の高さは、一度体験すると目から鱗が落ちるはず。ラチェットヘッドがなくスリムなので、狭い場所も得意。
【コーケン スピンナハンドル(ロング) 3768P-380】●税抜希望小売価格:6200円 【コーケン スピンナハンドル 3768J-250】●同5140円
足まわりまわりやエンジンなど、締め付けトルクが高いボルト/ナットを緩める際に威力を発揮する、全長380mmのロングスピンナハンドル。スイベルラチェットと同様に、ハンドルを立てればドライバーのように使えるので、メガネレンチのように工具をかけかけ替えることなく、連続的に回せてストレスなく作業できる。また、差込角3/8/全長250mmのスピンナハンドルには、セレーション/総磨き/樹脂グリップの3タイプがある。握り心地がソフトで滑りにくい樹脂グリップは、ラチェットハンドルと並び使い勝手の良いアイテムだ。
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