その洗浄力に死角なし! やっぱりスゴいぞ「超音波洗浄機」キャブレター編
超音波洗浄機の可能性を追及しています。これまでドライブチェーン、燃料コックと掃除してきましたが、やっぱりスゴいのよ、便利なのよ、超音波洗浄機! 眼鏡やネックレスを洗っている場合じゃない。バイクのメンテナンス用品として扱っても良いんじゃないかというレベルです。てことで、今回は超音波洗浄の真骨頂、キャブレターの大掃除をやってみたいと思います~!
●文:[クリエイターチャンネル] DIY道楽テツ
今回のターゲットはキャブレターです
どもども ≪超音波洗浄の無限の可能性≫ を確信して布教活動をしているDIY道楽のテツです。今日のターゲットはこれ、古き良き時代のスクーター「パッソル」
・・・の、キャブレターです。
てか、汚いですね~! しばらく放置していたらエンジンがかからなくなったというこのヤマハのパッソル。古いから中も汚れてるのかと思いきや、どうやらそれどころじゃなかったみたいです。
えっと・・・ 何がどうしたらこんなに汚れるのでしょう?
定番のガソリンの腐敗だけではなく、どうやらエアクリーナーが外れかけていたようで、ガソリンとオイルの吹き返しが付着したところに道路から巻き上げた泥や土や砂がびっちり付着してる様子。逆にこの状態でよく直前まで走っていたものだとつくづく感心させられるわけです。
古いバイクのいい加減さって、こういう時に逆に強いんですね~って感心してる場合じゃないか。
外側はウェットブラストで汚れは落とせるけども・・・
こんな状態で開けたくもないので、まずはウェットブラスト(ソーダブラスト)でざっくり汚れを落とします。
外側をソーダブラストで掃除しただけで御覧の通り汚れがあらかた落ちました。これだけでも見た目は随分良くなったのですが、もちろん中身はそのままなわけで、状況は1ミリも改善しておりません。
パイロットジェットやメインジェットのジェット類も当然のごとく詰まってますが、それ以上にキャブレターの内部がデロデロ状態になってました。
ご存知の通りキャブレターの中は、パイロット系やらメイン系やらスターター系やらの小さな通路が複雑で入り組んでいて、針金でつつくこともできるければ、キャブレタークリーナーのスプレーや圧縮空気を使うにしても限度があります。
超音波洗浄機の登場です!
そんな時こそ超音波洗浄機の登場です。
ここでまずは、超音波洗浄のメカニズムについて簡単におさらいしておきます。
「超音波洗浄機」は、超音波を発生させることで細かな汚れや固着した油分を分解し、除去することができます。一般的には、水や適した洗剤を入れ、対象物を浸して超音波を当てることで洗浄します。
超音波洗浄の原理は、液体内で微小な気泡(超音波)を発生させて、それが瞬間的に崩壊する「キャビテーション」という現象を利用しています。この気泡の崩壊が生み出す強力なエネルギーが、物体の表面や細かな隙間に入り込んで、汚れを剥がし取ります。
例えるならば、バスタブに小さな爆弾が何千個もあって、それらが一斉に「バン!」と爆発するようなものです。ただし、この爆発はとても小さく、水の中でしか起こりません。
超音波洗浄機は特別な音(人には聞こえない超音波)を使って、水の中で微小な爆発を起こします。これらの爆発は、汚れがついた物の表面にとても小さい気泡を作り、それが爆発することで、汚れを「叩き落とし」ます。これが超音波洗浄で物をキレイにする原理です。
つまり表面からの物理的な「攻撃」が届きにくい、複雑な内部構造を持つキャブレターにとって超音波洗浄はまさにうってつけなわけです。
洗剤は信頼と実績の「メタルクリーンα」
今回の洗剤は「メタルクリーンα」を使います。
安心の信頼と実績でその洗浄力は折り紙付き。キャブレターの汚れに対しても強力で、メタルクリーンαで「煮込む(!)」ことによって手がつけられないほど汚れたものでも洗浄することが可能なのです。
そんなわけで、お湯で「メタルクリーンα」をしっかり解かして超音波洗浄機にセット。
キャブレターの部品を付け込んだらスイッチオン! 「ぶーん」という超音波洗浄機特有の音を立てて洗浄開始です。
スタート直後は真っ白で綺麗な微細な泡が湧き上がってきますが10分もしたら・・・コレですよ!!
キチャナイな、おい!! 汚れが浮き出るとかそんな次元じゃない。ていうか、さっきソーダブラストで外側もメインボアもけっこう掃除したはずなのに。はたして一体このキャブレターのどこにこんな汚れがあったのでしょうか・・・?
そしてさらに10分ほど超音波洗浄をすると、表面に油まで浮いてきました。
汚いをはるかに通り越して、それはまるで油ギトギトのがっつり系家系ラーメンスープ。むしろ美味しそうに見えるんですけど~!!!(お食事中の皆様どうもすみませんでした)
驚きの洗浄力をご覧あれ
取り出しましたるキャブレター本体
フロートチャンバー
それを水洗いして
外側も軽くすすぎました。そしてその結果・・・
こんなに綺麗になりました~!! ちょっと信じられない結果になりましたが一番最初の写真と同じキャブレターです。当然AI加工はしていません。これが正真正銘の結果です。
ブラシでこすったり、スプレーで掃除しても限界がありますし、ウェットブラストといえども、やはり一方的に吹き付ける以上は洗浄範囲の限界があります。ですが、超音況洗浄なら液体が入り込むところすべてが洗浄の対象となるので、ここまでの洗浄が可能というワケです。
インナーパーツもこんな感じ。
見た目も生まれ変わったかのように汚れが落ちましたが、キャブレター本体も、ジェット類も、そしてねじの溝まで汚れをすっきりキッチリ落とすことができました。
ビフォーアフターの写真を並べるともはや冗談としか思えません。マジで凄いでしょ? そろそろ超音波洗浄機が欲しくなってくるのではないでしょうか(ニヤリ)?
超音波洗浄、そろそろ欲しくなってきたでしょ?
今回はキャブレターの掃除をやってみましたがいかがでしたでしょうか? キャブレターの掃除が難しい箇所と、超音波洗浄の得意分野とがまさにジャストミートしてるので、これ以上ないぐらいの効果を上げてくれました。
この記事を読んでくれた方が少しでも興味を持っていただけたらとても嬉しいです。これはマジで便利です。これからも、超音況洗浄の啓蒙活動を続けますよ~。今回も最後まで読んでいただきありがとうございました~!
私のYouTubeチャンネルのほうでは、「バイクを元気にしたい!」というコンセプトのもと、3日に1本ペースでバイクいじりの動画を投稿しております。よかったら遊びにきてくださいね~!★メインチャンネルはコチラ→「DIY道楽」 ☆サブチャンネルもよろしく→「のまてつ父ちゃんの日常」
※本記事の文責は当該執筆者(もしくはメディア)に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。
最新の関連記事(DIY道楽テツ)
唱えてますか?「ネンオシャチエブクトウバシメ」 突然ですが、愛車の点検していますか? 「車検パスしてるから問題なし」「普通にエンジンかかって走っているから大丈夫」・・・と思っている、そんな貴方にこそぜ[…]
ライダーを魅了してやまない「ハイパーVTEC」 CB400SF(スーパーフォア)に採用されていることでも有名な、バルブ制御システム「ハイパーVTEC(HYPER VTEC)」。この口コミを検索してみる[…]
エアクリーナーエレメントがエンジンをぶっ壊す可能性 これはつい先日、筆者が実際に体験したノンフィクションです。 これはスズキRG400ガンマ。1985年製、すっかりレトロになってしまった2ストロークマ[…]
1分でわかる記事ダイジェスト アクセル開けてもエンジンが回らない恐怖体験 ツーリング先で遭遇したら、絶望してしまうトラブル…ガス欠。走っていてパワーがなくなったと思ったら、アクセルを開けても回転数が上[…]
1分でわかる記事ダイジェスト ブレーキフルード・・・密閉されているのになぜ劣化する? ブレーキフルードは、マスターシリンダーとキャリパーと、ブレーキホースの中に入っているが、なぜか劣化する。「密閉され[…]
最新の関連記事(メンテナンス&レストア)
汚れならミガキング、点サビならサビトリキング。状態に合った下処理の後に仕上げのメッキングを 金属素材の上に金属クロムを生成するクロームメッキには、マフラーやフェンダーなどのパーツに施される装飾メッキと[…]
唱えてますか?「ネンオシャチエブクトウバシメ」 突然ですが、愛車の点検していますか? 「車検パスしてるから問題なし」「普通にエンジンかかって走っているから大丈夫」・・・と思っている、そんな貴方にこそぜ[…]
C型フックと貫通シャフトを標準装備するガレージREVOは、サーキットでも便利 サーキットのスポーツ走行は、それぞれのサーキットや走行会などのルールや走るクラスにもよりますが、バックミラーを外してヘッド[…]
ビスを緩めるドライバー、電動ツールやショックドライバーも欲しい フロートチャンバーやトップカバーなど、キャブレターボディ外部に取り付けられた部品の多くはプラスまたはマイナスのビスで固定されており、ビス[…]
どうも! バイク好きの映画監督、ナカモトユウです。賃貸ガレージユーザーの僕は、自宅でバイクのカスタムや整備をすることが多いのですが、ここ最近願望がありまして…。それは…エアコンを設置したい!!! 9月[…]
最新の関連記事(工具)
唱えてますか?「ネンオシャチエブクトウバシメ」 突然ですが、愛車の点検していますか? 「車検パスしてるから問題なし」「普通にエンジンかかって走っているから大丈夫」・・・と思っている、そんな貴方にこそぜ[…]
どうも! バイク好きの映画監督、ナカモトユウです。賃貸ガレージユーザーの僕は、自宅でバイクのカスタムや整備をすることが多いのですが、ここ最近願望がありまして…。それは…エアコンを設置したい!!! 9月[…]
エアクリーナーエレメントがエンジンをぶっ壊す可能性 これはつい先日、筆者が実際に体験したノンフィクションです。 これはスズキRG400ガンマ。1985年製、すっかりレトロになってしまった2ストロークマ[…]
1分でわかる記事ダイジェスト ブレーキフルード・・・密閉されているのになぜ劣化する? ブレーキフルードは、マスターシリンダーとキャリパーと、ブレーキホースの中に入っているが、なぜか劣化する。「密閉され[…]
リバーシブルギヤレンチ:スタッドナットはもちろん、通常のボルト着脱でも便利を実感 ボルトやナットを連続して回せるギヤレンチはポピュラーなハンドツールのひとつだが、このレンチはメガネ部分の片面に壁があり[…]
人気記事ランキング(全体)
欧州ではR125、R3、R7、R9、さらにサーキット専用R6 RACE、R6 GYTR、R1 RACE、R1 GYTRのスーパースポーツ大艦隊を編成 ヤマハは欧州で2025年モデルの「R3」を、北米で[…]
接地感とグリップ力は別のハナシ バイク乗りの皆さんなら、「接地感」という言葉を耳にしたり、口にしたりすることも多いと思う。この「接地感」、言葉通りに受け止めれば「タイヤが路面に接している様子を感じるこ[…]
125ccクラスは16歳から取得可能な“小型限定普通二輪免許”で運転できる バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限)があり[…]
タイや欧州、北米で先行発表済みのW230とメグロS1 カワサキモータースジャパンは、新型モデル「W230」と「メグロS1」をタイ、欧州、北米に続き日本でも2024年11月下旬に発売すると発表。これと併[…]
汚れならミガキング、点サビならサビトリキング。状態に合った下処理の後に仕上げのメッキングを 金属素材の上に金属クロムを生成するクロームメッキには、マフラーやフェンダーなどのパーツに施される装飾メッキと[…]
最新の投稿記事(全体)
SC77の4気筒エンジンを搭載し、車重は211kg(SP=212kg) ホンダは欧州で、EICMA 2023(ミラノショー)でプロトタイプを公開していた新型ネイキッドモデル「CB1000ホーネット」お[…]
ローライダーSTカスタム:最新トレンドを反映し、パフォーマンスUPの持ち主だ!! スピードクルーザーとしての戦闘力を全面的にアップしているが、キモとなるのはやはり足まわりだ。見た目にも鮮やかなレッドで[…]
ヘルメット着脱の煩わしさ みなさんはバイクに乗る際、どんな種類のヘルメットを着用していますか。ヘルメットと一言で言ってもいろんなタイプのヘルメットがあり、着脱の手間や煩わしさも大きく変わってきます。わ[…]
125ccクラスは16歳から取得可能な“小型限定普通二輪免許”で運転できる バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限)があり[…]
汚れならミガキング、点サビならサビトリキング。状態に合った下処理の後に仕上げのメッキングを 金属素材の上に金属クロムを生成するクロームメッキには、マフラーやフェンダーなどのパーツに施される装飾メッキと[…]