
アプリリア・レーシングはアメリカGP開催中のサーキット・オブ・ジ・アメリカにおいて、MotoGPで培った最先端テクノロジーを凝縮した特別仕様車「Aprilia X 250TH」を発表した。1776年のアメリカ独立宣言250周年を記念した30台限定モデルとなっており、市販バイクとして世界初となるMotoGP仕様のカーボンブレーキを搭載。RSV4史上最強の240HPを誇るサーキット専用マシンだ。
●文:ヤングマシン編集部 ●外部リンク:アプリリア
RSV4 1100 Factory 2026ベースのサーキット専用スペシャル
アプリリア・レーシングの「X」シリーズは、2019年のRSV4 Xに始まり、2020年Tuono X、2022年RSV4 X Trenta、2024年RSV4 X ex3ma、2025年RSV4 X-GPと続く、世界でも類を見ないファクトリーワークスシリーズだ。今回の「X 250TH」はその第6世代にあたり、RSV4 1100 Factory 2026をベースにアプリリア・レーシングがサーキット専用モデルへと仕上げた。
「星条旗(Stars and Stripes)」カラーリングをまとったX 250THは、乾燥重量165kgの軽量ボディに240HPを発揮し、RSV4シリーズ史上最強のパワーウェイトレシオを実現する。生産台数は30台限定で、うち25台を米国市場向け、残る5台をヨーロッパを含むその他の市場向けとして割り当てている。
市販車世界初、MotoGP直系のBremboカーボンブレーキシステム
X 250THの最大の特徴は、ファクトリーバイクとして世界初となるBrembo製カーボンブレーキシステムの採用だ。MotoGPでも使用される直径340mmのカーボンブレーキディスクに、カーボンパッドと冷却フィン付きビレットアルミキャリパーを組み合わせる。リアブレーキキャリパーはニッケルメッキ仕上げだ。
カーボンディスクの採用により重量は従来のスチール製の約半分となり、カーボンパッドはシンタードパッド比で約3分の1の軽量化を実現しながら、過酷な使用条件下でも安定した制動性能を発揮する。つまり、マルコ・ベッツェッキとホルヘ・マルティンが駆るRS-GPと同等の制動力が、市販バイクとして初めて手の届く形で提供されるというわけだ。
RS-GP直系のMotoGP空力パッケージ——シートウイング・テールウイングを完全移植
空力性能においても、X 250THはRS-GPプロトタイプから直接インスピレーションを得ている。空力パッケージにはアプリリア・レーシング独自技術のシートウイングと、RS-GP25で初採用されたテールウイングが含まれ、コーナリング時のブレーキングで空力的荷重を増加させる。さらにリアウイングとアンダーウイングも同様の効果をもたらす。
すべてのフェアリングはPAN Compositi社によるMotoGP仕様のフルカーボン製。直線走行時の垂直荷重はRSV4比5倍で安定性を高めウィリーを抑制し、コーナリング時の荷重は3倍に達しグリップ力を向上させる。アプリリア・レーシングが特許を取得したグラウンドエフェクト空力システムも搭載し、バンク時にダウンフォースを発生させる設計だ。
PAN Compositi製の「サンドイッチ構造」カーボンシートサポートは、剛性を維持しながら極限の軽量化を実現する特殊加工品。サウンドはSC Project製チタンMotoGPレプリカ・デュアルエキゾーストが担い、レーシングマシンに近い排気音を演出する。
SBKレース仕様の1099cc V4 240HP/14,100rpm
X 250THが搭載するエンジンは、アプリリア・レーシングがSBKレース仕様として開発した1099cc・65°V4だ。最高出力は13,750rpmで240HP(クランク軸出力)、最大トルクは11,750rpmで131Nm、最高回転数は14,100rpmに達する。
この性能の実現には、さまざまな仕掛けが。圧縮比の引き上げに加え、Sprint Filter製高透過性レーシングエアフィルターとレーシングスペックのエアボックス吸気トランペット、SC Project製チタン製デュアルパイプエキゾースト、そしてSTM製乾式クラッチの採用と性能向上に余念がない組み合わせだ。
Aprilia Racing APXコントロールユニット——WSBKチャンピオン直系の電子制御
電子制御はマックス・ビアッジがWSBK選手権でチャンピオンを獲得した際のシステムを直接進化させた「Aprilia Racing APX」コントロールユニットが担う。ライディングスタイルや路面状況に合わせてパラメータを完全カスタマイズ可能で、フロントリフト抑制・各ギアの出力設定・トラクションコントロール・エンジンブレーキのコントロールを統合型GPSシステムと連携して管理する。
アルミ製ダブルトレリスフレーム×Öhlinsフルアジャスタブル——シャシー詳細
シャシーはアルミニウム製ダブルトレリスフレームに、専用セッティングのÖhlins製メカニカル式サスペンションを組み合わせる。フロントはFKR加圧カートリッジ、リアはMotoGP由来のTTXメカニカル式ピギーバックで、それぞれフルアジャスタブル仕様だ。
ホイールはMarchesini製鍛造マグネシウム M7R GENESI(前17×3.5インチ/後17×6インチ)で、タイヤはWSBK使用モデルのPirelli Slick Diablo SBK(前SC-1 125/70・後SC-X 200/65)を装着。ステアリングダンパーはÖhlins製アジャスタブル仕様で、クラッチはSTM製乾式を採用する。
仕上げの各所にレーシングDNAが反映されており、アジャスタブルフットペグやシリアルナンバー刻印入りステアリングプレートをはじめ、多くのパーツがカーボンまたはビレットアルミ製だ。WSBKテクノロジーを採用した大型ラジエーター、PBR製チタン前後スプロケット、Regina 520チェーンも採用される。
30台限定・専用付属品つきで2000万円超!
Aprilia X 250THは米国市場向けでの希望小売価格15万米ドル、ヨーロッパを含むその他の市場向けが11万5,000ユーロだ。専用サイト「FACTORYWORKS.APRILIA.COM」にてオンライン予約を受け付けているが、仕向地が異なるため日本からの購入は難しい。
購入者にはECUパラメーターと電子制御管理ソフトウェアを搭載したYashi製ノートパソコン、専用マット、バイクカバー、RCB製チタン製フロント&リアスタンド、IRC製タイヤカバーが付属する。シリアルナンバー入りの限定生産として、オーナーシップの特別感も徹底して演出されており、海外が羨ましく思えるばかりの一台に仕上がっている。
APRILIA Aprilia X 250TH諸元表
| 車名 | Aprilia X 250TH |
| ベースモデル | RSV4 1100 Factory 2026 |
| エンジン | 水冷4ストローク V4 65°, 1099cc, SBKレース仕様 |
| 最高出力 | 240HP / 13,750rpm(クランク軸) |
| 最大トルク | 131Nm / 11,750rpm(クランク軸) |
| 最高回転数 | 14,100rpm |
| 乾燥重量 | 165kg |
| マフラー | SC-Project チタン製フルエキゾースト MotoGPレプリカ(4→2) |
| エアフィルター | Sprint Filter 高透過性レーシング(MotoGP技術) |
| クラッチ | STM製乾式クラッチ |
| 電子制御 | Aprilia Racing APX コントロールユニット+統合型GPS |
| ブレーキ(F) | Brembo カーボン-カーボン、340mmカーボンディスク、MotoGP仕様カーボンパッド、ビレットアルミキャリパー(冷却フィン付き) |
| ブレーキ(R) | Brembo ニッケルメッキキャリパー |
| フロントフォーク | Öhlins FKR 加圧カートリッジ式(メカニカル制御・フルアジャスタブル) |
| リアサスペンション | Öhlins TTX メカニカル式ピギーバック(MotoGP由来・フルアジャスタブル) |
| ステアリングダンパー | Öhlins アジャスタブル |
| ホイール | Marchesini 鍛造マグネシウム M7R GENESI(F:17×3.5 / R:17×6) |
| タイヤ(F) | Pirelli Slick Diablo SBK SC-1 125/70 |
| タイヤ(R) | Pirelli Slick Diablo SBK SC-X 200/65 |
| フェアリング | MotoGP仕様 フルカーボン(PAN Compositi製) |
| 空力パッケージ | カーボンフロントウイング・アンダーウイング・コーナリングウイング・テールウイング・シートウイング(PAN Compositi製) |
| チェーン | Regina 520 |
| 生産台数 | 30台限定(米国向け25台・その他市場向け5台) |
| 価格(米国) | 15万米ドル |
| 価格(欧州) | 11万5,000ユーロ(税別) |
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