ライディングモードは6種類

1099ccに拡大! アプリリア新型「RSV4 Factory」受注開始、巨大なウイングレットで空力も進化

ピアッジオグループジャパンは、アプリリアの新型「RSV4ファクトリー」を2021年モデルとして本日2021年6月9日より受注開始すると発表した。出荷開始次期は2021年7月頃より順次とされ、価格は308万円だ。最新のエアロダイナミクスや電子制御を採用し、エンジンは排気量アップ、新型スイングアームなども採用している。

MotoGP譲りの新フェアリングはRS660と同じ新世代へ、ライダー保護機能は11%向上

アプリリア「RSV4ファクトリー」が進化を遂げた。MotoGPでも確実に戦闘力を増しつつあるRS-GPの開発から得たノウハウをフィードバックし、最新のエアロダイナミクス、電子制御の進化、エンジンやシャーシにも手が入るなど、車名はそのままでもフルモデルチェンジといっていい内容だ。

まず目につくのはエアロダイナミクスというか、大きなウイングレットだろう。RS600と同イメージの最新世代とされたトリプルLEDヘッドライト+DRL(デイタイムランニングライト)のさらに外側に、真紅の大型ウイングレットを装備。アプリリアが「ダブルウォールフェアリング」と呼ぶ二層構造のフェアリングにウイングレットを組み込んだ構成で、ダウンフォースによる高速走行時の安定性向上、コーナー立ち上がりでのウイリー抑制、ブレーキングの安定性向上に機能している。また、エンジンの冷却性能向上やライダーへの熱気流を逸らすこともできるという。

サイドパネルをコンパクトにし、フロントホイールを完全に露出させたことで向き変え時のハンドリングも向上。これはMotoGPマシン「RS-GP」で採用されてきたソリューションだ。

また、新しい燃料タンクや9mm低くなったシート、グリップを増し10mm低くなったステップの導入によって、背の高いライダーでもフェアリングに潜り込める十分なスペースを確保している。これらにより、気流からライダーを保護する機能は11%向上した。

ヘッドライトはトワイライトセンサーにより、暗くなるとロービームを自動点灯するほか、コーナリングライト機能も備える。急ブレーキ時に左右ウインカーが高速点滅する機能も盛り込まれた。

大きなウイングにサブウイングを組み合わせてダクト式にしたようなウイングレット。赤く塗られていることもあって強烈なイメージを植え付ける!

DRLはRSV4にあらたなシグネチャーを与える。LEDヘッドライトは3灯で、両サイドがロービーム、センターがハイビーム。コーナリングライト機能も。

新型の燃料タンク容量は、コーナリング時の腕のホールド性が向上した。

シート高は845mmで従来よりも低い。それにしてもシートカウルの形状よ……。

新型スイングアームは補強ブレースを下側に変更

アルミ製ツインスパーフレームは、従来同様にエンジン搭載位置やキャスター角lスイングアームピボットの高さを調整でき、鋳造とプレス加工された部品を溶接して製造される。新設計のスイングアームは、フレームを同じ構造技術を採用しながら、補強ブレースを下側に変更し、従来の7つの溶接部品から3つの部品へと簡素化。これにより、バネ下重量は600g軽量化された。また、補強ブレースのアームが長くなったことで、スイングアームの横剛性がホイールアクスル部で30%向上し、トラクションに大きな効果をもたらしたという。また、チェーンスライダーの調整範囲を拡張し、リヤホイールの位置決めをより広い範囲で行うこともできるようになった。

クラストップレベルのセミアクティブ前後サスペンションはオーリンズ製スマートEC2.0だ。ECUが全てのライディング状況を認識し、オーリンズとアプリリアが共同開発したアルゴリズムによってフロントフォーク、リヤショック、さらに油圧式ステアリングダンパーを制御する。

用意されたセミアクティブサスペンションのマップは3種類(A1、A2、A3)で、1つ目はスリックタイヤで使用するために開発され、特に路面が非常に滑らかなサーキット走行に適する。2つ目はハイグリップロードタイヤおよびアスファルトが凹凸しているサーキット走行に。そして3つ目は公道専用で、路面の状況に応じて振動を吸収する高性能な油圧技術が特徴だという。一方、マニュアルモードでは3種類のマップ(M1、M2、M3)により、機械式サスペンションシステムと同じように、セミアクティブアシストの介入無しで、あらかじめ設定された幅広いキャリブレーションを提供するという。

フロントブレーキにはブレンボ製Stylemaキャリパーを採用し、オプションでカーボン製エアダクトを装着することも可能だ。前後ホイールはアルミ鍛造。

プレス材を鋳造パーツを溶接して組み合わせるフレームは、エンジン搭載位置やスイングアームピボット高、キャスター角の調整機構を備える。ちなみにクイックシフトは上下対応。

補強ブレースは従来の上側(ガルアーム的な造形)から下側に変更され、アクスル近辺まで補強されることでこの付近の横剛性を30%も向上。チェーンアジャスターの調整幅は見ての通り広い!

オーリンズ製スマートEC2.0の倒立フロントフォーク。セミアクティブのリアクションを利用しない、機械式と同じ動きにするモードもある。もちろんセッティング変更は電子的に行える。

こちらは同じくオーリンズ製スマートEC2.0のリヤショックアブソーバー。TTXベースとし、伸び側と厚側を分離して管理できる。プリロード調整は機械式のようだが、油圧ダイヤルで簡単に行えそう。

エンジンは排気量を1078cc→1099ccへ拡大し、より高トルクに

65度V4エンジンは、MotoGPと同じボアφ81mmを維持しつつ、ストロークを52.3→53.3mmへと1mm伸ばし、排気量を従来の1078cc(表記によっては1077ccとも)から1099ccへと拡大。最高出力は217psと変わらないが、発生回転数を13200→13000rpmとし、最大トルクは12.44kg-m/11000tpmから12.75kg-mm/10500rpmへと増大した。

新開発のマニエッティ・マレリ製 ECU 11MPは、ピン数が80から144に増え、計算能力が従来のものより4倍速くなったことで、より多くの要素が接続でき、さらにより複雑なアルゴリズムの管理が可能に。ユーロ5にエンジンを適合させるため、セラミックマトリックス複合材の触媒コンバーターを備えた新たな排気システムを開発した。この触媒コンバーターは、従来のRSV4 RR(日本未導入モデル)に採用されていたものより軽量でありながら、より強力で、熱慣性が低くなる(より早く作動温度に達し、大気汚染物質排出量の削減に貢献)としている。

電子制御は新型APRCへと進化。6軸IMUを搭載し、ATC=アプリリアトラクションコントロール、AWC=アプリリアウイリーコントロール、AEM=アプリリアエンジンマップ、AEB=アプリリアエンジンブレーキ(新搭載)、ALC=アプリリアローンチコントロール、AQS=アプリリアクイックシフト(上下対応)、APL=アプリリアピットリミッタ―、ACC=アプリリアクルーズコントロールを制御する。

これに加え、ボッシュと共同開発したマルチマップのコーナリングABSも標準装備している。マップは3種類あり、全てのエンジンマップと組み合わせることが可能だ。

そして、これらをすべて統合制御するライディングモードは、Street=日常ライドに最適、Sport=公道でのスポーティな走りを実現、User=電子制御を完全にカスタマイズ可能、という公道向けの3種類と、RaceおよびTrack 1、Track 2の3種類が用意されている。新型5インチTFTディスプレイは2種類の表示モードそれぞれに、日夜自動バックライト機能を備える。

Trackモードの表示はラップタイム機能も。

こちらは公道用の表示モード。

排気量を拡大した65度V4エンジン。MotoGPマシンに搭載されるものと、かなり近しい設計と言われている。

デザイン性を高めたマフラー。アクセサリーとしてレーシング専用アクラポヴィッチ製エキゾースト(専用マップ付き)も。

APRILIA RSV4 FACTORY[2021 model]

【APRILIA RSV4 FACTORY[2021 model]】主要諸元■全長2055 全幅735 全高未発表 軸距1435.8 シート高845(各mm) 車重202kg(装備)■水冷4ストロークV型4気筒DOHC4バルブ 1099cc 217ps/13000rpm 12.75kg-m/10500pm 変速機6段 燃料タンク容量17.9L■タイヤサイズF120/70ZR17 R=200/55ZR17 ●価格:308万円 ●色:アプリリアブラック ●受注開始:2021年6月9日 ●出荷開始時期:2021年7月頃

APRILIA RSV4 FACTORY[2021 model]

APRILIA RSV4 FACTORY[2021 model]

APRILIA RSV4 FACTORY[2021 model]

APRILIA RSV4 FACTORY[2021 model]

APRILIA RSV4 FACTORY[2021 model]※ライダーはマックス・ビアッジ

APRILIA RSV4 FACTORY[2021 model]※ライダーはマックス・ビアッジ


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