
バイクが大好きな人のうち、今現在サーキットへ足を運ぶ割合はいったいどれほどだろうか? 全身を震わせるマフラー音、命懸けの白熱バトル、各社が威信をかける技術革新、さらには仲間/ライバルと育むかけがえのない絆…これらはレースでしか体感できないものだ。そこで今回は、国内外で開催されるレースの一部を紹介しよう。
●文:伊藤康司
見応えのある世界のトップレース
MotoGP:バイクメーカーの威信をかけた絶対的な速さが魅力!
現在のロードレースのトップカテゴリーとなるMotoGP。2001年まではWGP(ワールドグランプリの略)と呼ばれ、最高峰クラスは2ストローク500㏄のWGP500だったが、2002年に4ストロークに改編された際に名称も変更した。
排気量を中心に幾度かレギュレーションが変更されたが、現在のMotoGPクラスは4気筒以下で排気量1000㏄が上限。最高出力は一説には350馬力以上とも。
他にMoto2クラスがあり、現在は全車がトライアンフ製3気筒765㏄エンジンを搭載。そしてMoto3は4ストローク単気筒250㏄エンジンの車両で競われる。
第17戦日本グランプリが10月2~4日にモビリティリゾートもてぎで開催。
【ヤマハV4初走行】2002年にエンジンが4ストローク化されて以来、並列4気筒で闘ってきたヤマハが、遂にV型4気筒に移行!? 先日開催されたMotoGP第16戦サンマリノGPにヤマハファクトリーレーシングテストチームとしてワイルドカード参戦し、決勝レースを14位でゴール。新たなシーズンに向けて着実な一歩を踏み出した。
EWC:日本では“鈴鹿8耐”でお馴染み!
世界耐久ロードレース選手権。ボルドールやル・マンなど24時間レースが有名だが、1980年から鈴鹿8時間耐久ロードレースもEWCに組み込まれている。かつてはレース専用開発したワークスマシンが参戦していたが、現在は公道用市販車をベースに、改造範囲がWSBKマシンに比較的近いフォーミュラEWCと、ほぼノーマル状態のスーパーストック(SST)の2クラス混走で行われる。長丁場のレースはタイヤ交換や給油、転倒後の修復などのピットワークも見どころ。
WorldSBK:“市販車最速”を決める
公道用市販車ベースのマシンで闘うスーパーバイク世界選手権。エンジンや車体の改造範囲は細かく定められ「市販車最速」を競うべく可能な限りイコールコンディションとなるように、毎年のようにレギュレーションを改定している。各バイクメーカーのトップエンドのスーパースポーツ車がノーマル然としたスタイルで闘うだけに、EWC同様に愛車の姿を投影できファンも多い。かつては日本ラウンドもあったが(スポーツランドSUGO)2004年以降は開催されていない。
国内レースも見逃せない!
全日本ロードレース:全日本選手権を見ておけば鈴鹿8耐やMotoGPをもっと楽しめる!
世界のトップライダーが競うMoto GP/EWC/WSBKはもちろん魅力的だが、様々なスポーツに“全日本選手権”があるように、国内のバイクレースも「全日本ロードレース」が開催されている。
現在の最高峰クラスがJSB1000で、公道用市販車の1000ccスーパースポーツ車がベース。車両レギュレーションはザックリ言えばEWCマシンから灯火を撤去したモノで、JSB1000に参戦するチームの多くが鈴鹿8時間耐久レースにも出場。近年はBMWやドゥカティなど外国車も参戦し、日本メーカーと熾烈なバトルを繰り広げる。かつては改造範囲などがWSBKマシンと相応に異なったが、現在はかなり近しくなったともいえる。
他にも改造範囲がより狭く、より市販車に近いST1000クラスや、国内選手権の登竜門と言われるST600クラスがある。
そして公道用市販車ベースではなく、純粋なレース車両で競うのがJ-GP3で、マシンは4ストローク250㏄単気筒を搭載するホンダ(HRC)のNSF250RとKTMのRC250GP。世界選手権Moto3クラス直系のマシンとなり、広義でRoad to MotoGPのレースといえるだろう。
じつは70年代のスポーツバイクの黎明期や80年代のバイクブーム期には、すべてのバイク雑誌が全日本選手権のレースリポートを掲載していた。現在は速報性の観点からレース結果をWEBで見るのがメジャーになってはいるが…、画面で見るのとサーキットで“生”で見るのとでは迫力もサウンドも段違い!
ピックアップ:エンデューロやトライアルも注目!
レースといえばサーキットでのロードレースをイメージしがちだが、じつは“土系”も盛んで、MFJではモトクロスやエンデューロなどの全日本選手権も開催。その中の全日本トライアルで活躍してきた国内屈指のトライアルライダーの藤原慎也さんが、世界一過酷なレースといわれる「ダカールラリー2026」に挑戦。そのため藤原さんは3年に及ぶプロジェクトを組み「FIM Red bull Erzbegrodeo」「FIM RALL du Morocco」「FIM AFRICA ECO RACE」等の国際レースに参戦し、実績を積みつつダカールラリー参戦権を獲得した。
イベントレースもおすすめ
鉄馬
2014年にHSR九州で始まり「鉄馬」の名の通り、鉄フレームであることが唯一の参加条件で、2025年は3回開催。生産された時代や排気量でクラス分けされ、車体の改造範囲やエンジンの排気量アップなどもクラスによって異なる。国産だけでなく外国車もOK。鉄フレームであれば水冷エンジンの現行車両も参加でき、前出のCB1000Fコンセプトも出走可能。また大人気のZ900RSはワンメイクのクラスもある。参加のハードルを下げるべく、GB350とロイヤルエンフィールド350のみの“ネオクラシック350”クラスがあるのも、このレースの特徴だ。
Taste of Tsukuba
毎年5月と11月に開催される日本最大級のイベントレースで、観客数が1万人を超えることもある大人気レース。空冷エンジン&鉄フレームの1980年代のバイクを中心に、排気量や改造範囲などでクラスが細分化され、参加車両も指定される。また独自の鉄フレームに現行スーパースポーツのエンジンを搭載する激速クラスもある。懐かしのレーサーレプリカ(2スト250/4スト400など)は90年代クラスも新設。現行Z900RSやKATANAなどのクラスもあり、カスタムの参考にも。パーツメーカーの出店も多数あり大いに“観て楽しめるレース”だ。
FUN&RUN!
鈴鹿サーキットで開催される参加型レース。現在はNinja250/YZF-R25などのNEO STANDARDクラスが主体だが、NSR250R/FZR400RRなど、かつてのSPレーサーのようなマシンが出走するMIX smallクラスや、YZF-R1やパニガーレV4など内外のビッグマシンが走るMIX Bigクラスもあり、観戦も楽しめる。
モトレヴォリューション
岡山国際サーキットで開催される西日本最大級のアマチュアレース。岡山ロードレースとの併催で、クラスが盛り沢山。空冷・水冷の単気筒や2気筒(KTM/ヤマハSR/YZF-R7等々)や、オープンクラスではBMWのS1000RRからGPZ 900Rまで出走。ZXR400Rなどかつてのレプリカが出走するクラスもある。
クラブマンロードレース
MCFAJ(全日本モーターサイクルクラブ連盟)が、つくばサーキット及び富士スピードウェイで開催するロードレース。旧車から最新スーパースポーツ、ハーレーやインディアンのクラスもある。1972年以前の旧車が参戦する「LOC(レジェンドオブクラシック)や、外国車が出走する「MAX10」も同時開催。元TOKIOの長瀬智也さんが参加しているのもこのレースだ。
【レース観戦ガイド】まずはサーキットに行ってみよう!
チケ代はピンキリ
たとえば鈴鹿8耐(2025年)は、自由観戦席券の8800円~指定席観戦席の2万800円まで各種あり、MotoGP日本グランプリは自由観戦エリア1万6000円~指定席観戦席の2万2500円(いずれも当日券、大人料金。メーカー応援席やVIP席など除く)。と、またパドックに入るには、別途パドックパスが必要になる。相応に高額だが、世界トップレベルの走りを生で見る迫力は別格だ。
対するイベントレースは500~3000円ほどで観戦でき、パドックも自由に入れるのが一般的。マシンを間近で見られるので、愛車のカスタムの参考にもなる!
気候対策はこれ!
サーキットは当然ながら“屋外”なので、コースサイドでの観戦はモロに天候の影響を受ける。たとえば鈴鹿8耐は“真夏の祭典”だけに、酷暑に耐える衣服の用意が必須(バイクウエアでは絶対に無理)だし、熱中症防止に飲み物や帽子なども必要。反対に寒い時期のサーキットイベントなら、バイクの防寒ウエアでOKかも。天気が悪ければレインウエアを着用するのもアリ。またビッグレースを自由席(大抵は芝生席)で観戦するなら、敷パッドや折り畳み椅子があると快適だ。
電車で行ける? 駐車場事情は?
サーキットはもれなく“郊外”にあり、鉄道の駅からも離れている場合が多いので、駅からは公共交通機関だとバスやタクシーを使うパターンが多い。なので実際には自動車かバイクで行く方がラクだろう。ちなみに駐車料金は、イベントレースなら鈴鹿など国際格式のサーキットでも、1日500~1000円くらい(自動車)で、バイクなら無料のサーキットも多い。ただしMotoGPや鈴鹿8耐などビッグレースだと話は別で、自動車だと前売駐車券(けっこう高額)が必要だったりするので、チケット代も合わせて考えると“観戦ツアー”などを利用した方がコスト的にオトクかも。とはいえバイクなら1日1000~2000円ほどで駐車できるだろう。
レース以外の楽しみ
MotoGPや鈴鹿8耐などのビッグレースはバイクメーカーが出展し、発売前の新型車の展示などもアリ。またドライバーズサロンやセンターハウス(食堂や売店)ではサーキットのオリジナルグッズも販売している。またイベントレースでは、カスタムパーツメーカーが多数出展していたり、レースによってはフリーマーケットの開催もあるので“掘り出し物”をゲットすることができるかも!?
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