
ホンダは、さなざまな自転車へ「SmaChari(スマチャリ)」の搭載を可能にする「SmaChari Kit」のライセンス事業を開始した。スマチャリは、さまざまな自転車を電動アシスト化・コネクテッド化するサービスで、電動アシストユニットとスマートフォンアプリで構成される。
●文:ヤングマシン編集部 ●外部リンク:SmaChari公式サイト
2023年ローンチのSmaChariシステムがさらに広がる!
いつか自転車通学を楽にするものをつくりたい……。そんな想いでホンダの若手エンジニアが立ち上げた「SmaChari」は、自転車を電動アシスト化・コネクテッド化するサービスとアプリの総称。
さまざまなメーカーの自転車に装着することを想定して、個々の取り付け車両のタイプに合わせて法規に準拠するアシスト出力を算出、適用させる出力制御技術が中核となり、スマートフォンアプリと自転車に取り付ける電動アシストユニットで構成される、日本初のサービスだ。
2018年にホンダの新規事業創出制度「IGNITION」がきっかけでスタートし、2019年4月より本格始動した「スマチャリ」プロジェクトは2023年3月にローンチされたが、そのはじまりに若きエンジニアが高専時代から抱いていた「通学用自転車にロボコンで使うモーターをつければ、動力の後付けで自転車を電動アシスト化できるのでは」というアイデアがあった。
そうして立ち上がったスマチャリは、ホンダ社内で「これって現代版の“バタバタ”だよね」と話題になったという。確かに「既存の自転車に動力を取り付ける」という考え方は共通している。
バタバタとは、ホンダの創始者である本田宗一郎氏が1974年に初めてホンダの名で製品化した自転車用補助エンジン「Honda A型」のことで、本田宗一郎氏が、自転車を漕いで遠くまで買い出しに行く奥様の姿を見て、楽にしてあげたいとの想いから生まれたという逸話も。市販されると、小さな2ストローク単気筒エンジンの音から“バタバタ”と呼ばれるようになった。
【HONDA Moldel A(A型) 1947年型】本田技研工業株式会社設立前年の1947年、初めてホンダの名で製品化した自転車補助用エンジン。市販の自転車に簡単に取り付けられ、1951年まで継続生産されたロングセラー。そのエンジン音から“バタバタ”と呼ばれるようになった。■空冷2ストローク単気筒ロータリーバルブ50cc 0.5ps/5000rpm 車重10kg
2023年9月にはスマチャリ搭載第1号の自転車が発売され、その後は異なるタイプの自転車も追加されるなどしていた。
そして今回発表されたのは、総合自転車メーカーであるホダカとホンダがライセンス契約し、自転車メーカーや自転車販売店向けに「スマチャリキット(SmaChari Kit)」を10月15日より販売開始するというもの。また、スマチャリキットを搭載した完成車は、2026年1月以降に全国の自転車販売店などの取扱店舗から順次発売される予定だという。
これにより、従来はホンダとライセンス契約した自転車販売会社と、完成車ごとに共同開発していたものが、電動アシストユニットとソフトウェアをパッケージ化したものを「スマチャリキット」としてライセンス販売することで、より多くの販売店で取り扱えるようになる。
この販売方式は奇しくも、A型の次世代として1952年に発売された「カブF型」で、自転車店にホンダからエンジン取り付けキットを直販していたのにも似ており、ホンダの原点である「周りの人を助けたい、移動を楽にしてあげたい」が両車に通底していることを感じさせるものだ。
【HONDA CUB F 1952年5月】カブF型のエンジンは、ピストンバルブ・横断掃気式の2ストローク単気筒で、シリンダーはアルミダイキャスト製のバレルに鋳鉄製のスリーブを圧入した進歩的な設計だった。■空冷2ストローク単気筒 50cc 1.0ps/3600rpm 車重6kg(自転車を除く)
SmaChari Kit
SmaChariの電動アシストユニットを取り付けた自転車のイメージ。
スマートフォンアプリとともに「SmaChari Kit」が構成される。
SmaChari Kit ライセンス事業のイメージ。ホンダが車両登録アプリを提供し、ホダカがライセンス契約を受けたSmaChari Kitを販売店へ卸すイメージだ。
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