ヤマハ入魂の新生YZF-R7は、MT-07をベースとしたミドルクラスの並列2気筒フルカウルスーパースポーツ。今回のライバル対決特集における主戦場はワインディングながら、峠道にたどり着くまでのルートに高速道路が含まれることも少なくない。というわけで、各車の高速道路における短中距離の走行性能や快適性をチェックした。
●まとめ:ヤングマシン編集部(田宮徹) ●写真:真弓悟史 ●外部リンク:ヤマハ
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レーシーなライディングポジションだが、意外にもYZF-R7が優れた快適性を発揮!
都市部に住むライダーの多くは、ワインディングまでの移動に高速道路を活用するはず。”峠大戦”が本特集のテーマとはいえ、峠道の往復がダメダメでは魅力は半減…というワケで、各車の高速巡航性能もテストした。
まずは気になる新型ヤマハYZF-R7。かなり腰高でハンドルが低めかつ絞られたレーシーなライディングポジションで、「これは高速巡航で苦痛を感じるのでは…」と予想していたのだが、意外にも悪くなかった。ライダーとバイクが人馬一体となるフィーリングがある一方で、たとえばYZF-R1/R6のように車体が大きいわけではないので、公道での操作に制限を加えるような拘束感はない。ライダーの腕がかなり映り込むため、バックミラーによる後方視認性はやや悪いものの、「SSに乗っている!」という高揚感も得られ、なんともワクワクしてくる。
また、6速100km/h巡航時で約4000rpmというややロングなギヤ比設定で、なおかつ回しても疲れにくいエンジン特性なのが嬉しいところ。とくに峠道を堪能してからの帰路で、そのありがたみを感じるはずだ。
また、4気筒エンジンを搭載したホンダCBR650Rのスムーズかつパワフルなエンジン特性も、高速道路では光った。SS系の4気筒と比べてしまうと高回転域での盛り上がりには欠けるが、やっぱり2気筒とは全然違う。フロントブレーキに力を入れたYZF-R7の直後に乗ると、レバータッチがカチッとしすぎてコントロール性で劣る印象も受けたものの、とはいえ十分に及第点。伏せたときのウインドプロテクション効果はYZF-R7のほうが上だと感じたが、逆にバックミラーの視認性はCBRのほうが良かった。
カワサキ ニンジャ650は、上半身がかなり起きたライディングポジションなので、高速域で受ける走行風が気になるところ。パワーフィールやブレーキタッチは、YZF-R7のほうがいい。とはいえゆったり走るぶんには、急かされないツアラー感が得られる。
アプリリアRS660は、今回の4台ではもっともパワフル。スロットルを開ければかなりのパンチ力を発揮するが、ライディングモードをコミュートにすればマイルドな味つけにもなる。シート高もあるが、相対的にハンドル位置も高く(垂れ角や絞り角が少なく)、意外と楽なライディングポジションだと感じた。
もちろん、どのモデルでも問題なく高速道路を巡航できるが、その中で楽しさや快適性が高めだと感じたのはYZF-R7とCBR650R。本格的なスーパースポーツと同様のライディングポジションを持つR7が、実際には高速巡航でも意外と疲れ知らずなことに驚かされるテスト結果となった。
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