いよいよ発売された、ヤマハ入魂の新生YZF-R7。MT-07をベースとしたミドルクラスの並列2気筒フルカウルスーパースポーツは、普通二輪免許クラスからのステップアップに最適というだけでなく、かつてレーサーレプリカに熱狂した世代に刺さるモデルとしても注目を集めている。本記事では「レプリカと言ったらやっぱりメインステージは峠でしょ!?」ということで、極寒の中、丸山浩氏はじめ2名のテスターがYZF-R7で公道を走行したインプレッションをお届けする。
●まとめ:ヤングマシン編集部(田宮徹) ●写真:真弓悟史 ●外部リンク:ヤマハ
丸山浩インプレ:回るエンジンが快感を生む! ピカイチの旋回性も魅力的
ライディングポジションって、バイクの性格を形成する上でとても大事な要素だよなあ…。
公道でYZF-R7に試乗して、あらためてそんなことを思ったのだ。
シート高も835mmとそれなりにあるが、それ以上に特徴的なのはハンドル。低めにセットされたセパレートハンドルは垂れ角と絞り角も多めで、かなりの前傾姿勢を強いられる。ステップ位置も高く、まさに正統派スーパースポーツの雰囲気だ。それだけで、ライダーの気分をばっちり高揚させる。
その一方で、シートに対してハンドル位置が近く、さらに車体がスリムかつコンパクトなので、たとえばYZF-R1のように、公道走行においてカラダの動きを極端に制限されるような印象はない。最初は、腰高感やそれほど良好ではない足着き性をやや警戒していたのだが、実際にツーリングしてみると、そのことで疲れたり不安を感じたりすることはなさそうだ。
低中回転域が滑らかな回転フィールのパラレルツインエンジンは、270度クランクならではのトラクション性能があり、高回転域でも伸びるものの最高出力は73psで高すぎない。だからこそ、公道でもスロットルオープンで気持ちいい吹け上がり感を楽しめるし、ワインディングでは抜群の扱いやすさにもつながる。高速道路を3000~4000rpmあたりで走っているときの振動は優しく、それでいて楽しい。リーズナブルな価格を実現するため、クイックシフターはアクセサリー扱いとなるが、クラッチレバーの操作荷重は軽めでシフトタッチには節度があり、ギヤチェンジも気持ちいい。
操作系では、フロントブレーキの上質さも特筆もの。セミラジアルではなくラジアルのブレンボ製マスターシリンダーは、抜群のブレーキフィールを生み、奥まで握り込んだときのコントロール性が非常に高い。
しかしこのYZF-R7、公道でもっとも光るのは優れた旋回力だろう。しっかりフロント荷重をかけられるライディングポジションとよく動くフロントサスペンションにより、ワインディングの速度域でも無理なくコンパクトに向きを変えられるのだ。
YZF-R7はサーキットを走っても操る楽しさを堪能できるマシンなのだが、公道のワインディングにベストマッチな特性でもある。しかも、まるでハードルが高くないところがスゴいところだと言える。
セカンドオピニオン・田宮徹インプレ:本格派だけどフレンドリーで、自分が上手くなったと錯覚しちゃう!
20年近くもサーキットとは縁遠いバイクライフを送っていたが、約2年前にふと思い立って復帰。そのとき愛車に選んだのは4気筒600ccスーパースポーツで、1年後にはリッタースーパースポーツに乗り替えたのだが、もしも2年前にYZF-R7があったなら、サーキットファンライドを再開する相棒にコイツを選んでいただろう。
なぜなら、アルミ製フレーム+4気筒エンジンのスーパースポーツと比べればもちろん運動性能は劣るが、その代わり圧倒的に敷居が低いから。20年ぶりの再開なんて、初めてとほとんど変わらないわけで、フレンドリーな特性は第一歩としてとても魅力的だ。
とはいえ、ただ扱いやすいだけではその先につながらないが、YZF-R7ならその点も心配ナシ。ライディングポジションはまさにスーパースポーツだから、フォームの基礎固めにも最適だし、フロントブレーキフィールはレベルが高く、加速以上に大切なブレーキングのことを学びやすい。前後サスペンションは柔らかめで荷重移動がわかりやすく、車体姿勢を感じるのに向いている。そしてエンジンは、ダルすぎずコワさを感じるほどのパワーでもないから、スロットルをカチッと開けて高回転域を使い切ることも、サーキットでなら実践できそうだ。
ただしひとつ問題があるとするなら、エキスパートライダーでなくても、YZF-R7は思うように操れてしまうところ。学ぶよりも先に、上手くなったと錯覚してしまうかもしれないなぁ…。
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YZF-R7 概要 ユーロ5に対応した新型MT-07系のCP2=クロスプレーン並列2気筒エンジンを搭載し、扱いきれる73.4psの最高出力と188kgの超軽量車体で、新たなスーパースポーツシーンを切り[…]
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