
ハーレー史上最強の153HPを誇る「CVOロードグライドRR」が、米国で131台のみ限定発売されることはすでに発表済みだが、日本のカスタムシーンにはそれを上回るバケモノが存在している。今回試乗したカスタムマシンは、2343ccで170HPオーバー。もはやKING OF THE BAGGERSのバガーレーサーレプリカともいえる戦闘力の持ち主だったのだ。
●文:青木タカオ ●写真:磯部孝夫 ●外部リンク:HRD PERFORMANCE
ロードグライド131RRか? いいや違う、 さらに上回る143だ
クラッチミートするや否や、極低回転域から図太いトルクでロードグライドの巨体が力強く押し出される。クイックシフターのアシストもあり、スロットルを開けることを躊躇わなければ、そのまま怒涛の加速を味わうことになり、天井知らずでパワーがみなぎっていく。
T-MANパフォーマンス「プロストリート143キュービックインチキット」を組み込んだミルウォーキーエイトエンジンの排気量は、なんと2343cc。ピークパワーは170HPで最大トルクは21.6Nmだ。
バーンズステンレスの2in1マフラーが奏でる、迫力のサウンドも圧巻。ストリームラインのソロシートが、ヒップポイントをずれないようしっかりとホールドしてくれるのも好印象だ。
フットペグはミッドポジションで、容易く路面を擦らないよう高めにセットされるため、豪快ながら、若干の前傾姿勢でグリップを握れば、アグレシッブなライディングに相応しいライディングポジションとなる。それでいてハンドリングは軽く、コントロール性に優れる車体だから、強靭な心臓部を無駄にすることもない。
これぞ、カスタムシーンの最前線と言っていいだろう。アメリカで熱気を帯び、来シーズンからヨーロッパにも渡っていく、バガーレースのハイパフォーマンスマシンからインスパイアされた超弩級モンスターだ。
スクリーミンイーグルH-Dファクトリーレーサーのごとく、外装はフルカーボンで、ホイールも前後17インチのカーボン製を履いている。アルミ削り出しのスイングアームを備えた足まわりには、ブレンボのモノブロックラジアルマウントキャリパーの中でも惜しみなく最高峰が選ばれていて、車体を隅々まで見ても、最上のレーススペックを持つパーツが備わっている。
ストッピングパワーやレバータッチなど操作フィールも申し分なく、バネ下重量の軽さもあってキビキビ走ってくれる。前後サスペンションはハイパープロが選ばれていて、トラクション性能の良さも際立っている。
不等ピッチで巻かれるコンスタントライジングレートスプリングは、ストローク初期にはソフトに路面に反応するので、快適な乗り心地。それでいて攻め込んで荷重が高まると反力を強め、踏ん張りが効くことも驚きだ。
ビルダーであるHRDパフォーマンスの田村弘章代表に印象を伝えると、「45ディグリーズ齋藤誠治氏によるチューニングの賜物」とのこと。
ROADGLIDE T-MAN 143 PRO STREET HRD PERFORMANCE
ビルダーはHRDパフォーマンスの田村弘章代表。学生時代からスポーツスターでレースに参戦し、米国に渡ってからはアリゾナ州のMMI(モーターサイクル・メカニクス・インスティチュート)で学び、アメリカのH-Dディーラーにて勤務した実績を持つほか、カルフォルニアのクラッチパーツメーカーでは開発にも携わるなど、H-Dのメカニズムを知り尽くす。
1気筒あたり1172ccとなる、ケタ違いのVツイン
各所にみるべきポイントが散りばめられたマシンだが、最も注目したいのは桁外れなパワーユニットだ。純正ノーマルエンジンは183km/hでスピードリミッターが効き、5500rpm付近からレッドゾーンとなるが、T-MAN143キットによって解き放たれたミルウォーキーエイトは、6520rpmで170HP、4890rpmにて21.6Nmを発揮。その実力は感嘆に値する。
テクノリサーチ社のディレクトリンクを使用したEFIチューニングでのパワーグラフを確認すると、ミドルレンジからトップエンドにかけての盛り上がりが凄まじい。
排気量アップに伴って、70mmのスロットルボディを配備し、吸排気ポートはインテークを4mm拡大した44mm。エキゾーストは2mm増しの34mmとしつつ、ワイセコと共同開発した振れの少ないスカートプロファイルとしたハイアウトプットピストン、カムギアトレーンのハイカム、ダークホーク社製のレース用クランクが、芯出しして組み込まれている。
迫力のサウンド&走行シーンは動画にも収録。
「次はサーキットで乗りますか?」
田村さんの言葉からは、本気さが伝わってくる。アルミビレット製のプライマリーケースカバーや3ステップに太さを変えるエキゾーストシステムは、バンク角を補うために張り出しが抑えられている。
旋回性に優れる前後17インチのカーボンホイールには、チェーン化されたファイナルドライブのレシオが自在に変えられるように、スーパースポーツ用のハブが採用され、フロントのブレーキキャリパーやエンジン左側(リヤバンクへ)にはクーリングダクトも備わっている。
能ある鷹は爪を隠すと言わんばかりに、フューエルタンクを含めた上質なドライカーボンのエクステリアを見せびらかすことなく、ツートーンにペイントして分からないようにしてしまう魅せ方も心憎いところ。
オレンジとブラックで両サイドを塗り分けたのは、1994年からAMAスーパーバイクに参戦したワークスレーサーVR1000をイメージソースにしたそうだ。当時のH-Dレーサーがそうだったように、くすんだオレンジを採用するあたりは、田村さんの強いこだわりとのこと。
「野暮ったいところも残して、ハーレーらしくしています」
田村さんがそう言う通り、デュアルライトや大きなウインカーなどは、あえてノーマルのままにするなどに、遊び心を感じてならない。日本にも131RRに負けないバガーレーサーレプリカが存在していた。今回はその異次元パフォーマンスを存分に味わうことができたのだ。
ハーレーダビッドソンジャパン玉木社長も体験
世界中のハーレーライダーがチャリティに参加した「United We Ride ナショナルハーレーデー」(9月6日)には、バイカーズパラダイス南箱根をゴール地点とするハーレーダビッドソンジャパンの公式イベントが開催された。
ウィズハーレー編集部ではブースを出展し、HRDパフォーマンス田村代表の協力のもと「ロードグライド143」を展示。ハーレーダビッドソンジャパンの玉木一史社長がまたがり、エンジンを始動するというシーンも見られた。
ハーレーダビッドソンジャパン玉木社長もロードグライド143を体験!!
写真ギャラリー
外装パーツはすべてカーボン製だが、オレンジ×黒にペイント。羊の皮を被った狼としているHRDのロードグライド143だが、今後はさらにビレットアルミシリンダーを組み込むことも想定している。
■ CUSTOM MENU
T-MAN 143″ Pro Street M8 ENGINE
CNC Ported Pro Street Heads
Intake 44mm/Exhaust 34mm
T-man 4.440″ High Output Pistons
T-man M8-T68G Camshaft(Gear Drive)
Darkhorse Man O War 4.625″ Race Crank
with Carrillo H-Beam Connecting rods
T-man Bottom End Service
(クランクケース芯だし、リードバルブ加工)
HPI 70mm Throttle Body
T-man Billet Centered Intake Manifold
T-MAN No Loss エアクリーナー
T-MAN オイルキャッチタンク
Roaring Toyz アルミビレットプライマリーカバー
DynoJet クイックシフター
Alloyart アルミビレットチェーンローラー
BURN’S STAINLESS HRD ウルトラライトエキゾースト
MJK Performance アルミ削り出しGP スイングアーム
ARLEN NESS STEP
BST カーボンホイール7 TEK 17×3.5
BST カーボンホイール7 TEK 17×6.0
(Bagger Racing League Approved)
HYPER PRO (カスタムオーダー)前後サス
フロントフォーク DLC コーティング
Pro Taper ハンドルバー
H-D 純正 Fat Bob ライザー
クラウスLUX ゲージベゼル
ブレンボ GP4-RS ラジアル モノブロック 4P キャリパー
ブレンボ ラジアル ブレーキマスターシリンダー
ミスミエンジニアリング フローティングディスクローター300mm
ミスミエンジニアリング インナーローター
ブレンボ RCS コルサコルタ ラジアル クラッチマスターシリンダー
AIM ライトフォースクラッチ Slave Cylinder
Menphis Shades BRLレースバブルウィンドシールド
VORTEX スプロケット
Composites Conception Art.Nuvolari Road Glide Outer Fairing
GMW.custom.cycle フューエルタンク加工
Hofmann Designs サイドカバー
Hofmann Designs Chopped Bags and Lids
HRD オリジナル F フェンダー
Composites Conception Art.Mugello R フェンダー
HRD ストリームラインシート
HRD リアシリンダークーリングダクト
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
ハーレーダビッドソン専門誌『ウィズハーレー』のお買い求めはこちら↓
ウィズハーレーの最新記事
CVOロードグライドST/2024 キムさん スポーツスターSから一度は国産大排気量車へ乗り換えたものの、「やっぱりハーレーがいい」とロードグライドを探していたオーナー。そこで出会ったのが、CVO25[…]
B+FLEXならツーリング仲間を誰も取り残さない! ハーレーの魅力は、ひとりで走る自由と仲間と走る一体感。その両方をより深く味わわせてくれるのが、今やライダーにとって欠かせないアイテムとなっているバイ[…]
夜間ツーリングや悪天候走行時に大活躍まちがいなしのLEDフォグ 最近のバイク用ライトやウインカー、補助灯はどんどんとLED化されていき、小型化や形状変更、明るさの向上など目まぐるしい進化を遂げている。[…]
パンアメリカでの新たなプロジェクトを始動 「想像以上にポテンシャルが高そうですし、充分に戦えますよ!」 ピットへ戻った“抹茶いぬ”こと越山さんは、開口一番こう言った。そこには期待と、確かな自信があふれ[…]
エボスポが帰ってくる!! 日本市場で販売台数の約4割を占めた時期もある絶対的人気モデル「スポーツスター」。2021年12月に登場したフォーティーエイト・ファイナルエディションを最後に、その歴史はいった[…]
最新の関連記事(ハーレーダビッドソン)
エボスポが帰ってくる!! 日本市場で販売台数の約4割を占めた時期もある絶対的人気モデル「スポーツスター」。2021年12月に登場したフォーティーエイト・ファイナルエディションを最後に、その歴史はいった[…]
誕生当時は出張修理用マシンだった⁉ トライクの歴史を紐解けば、当初は修理工具を積んだ移動サービスカー「サービカー」にたどり着きますが、これは1930年代のオールドファッション。近代的なモデルは、200[…]
このまま発売して欲しい! ハーレーダビッドソンが「RMCR Café Racer Concept(RMCR カフェレーサーコンセプトバイク)」を発表し、SNSなどでは「カッコイイ」「このまま発売して欲[…]
アイアン883が大のお気に入り。バイク王公式アンバサダー ずま(虹色侍) 見栄も張れるし使えるし、ずまさんのスポスタお気に入りポイント!! かつては国産車に乗っていた人も、どこかでハーレーダビッドソン[…]
まもなく帰ってくるぞ“パパサン”が! 空冷スポーツスター復活。そんな胸躍るニュースが飛び込んできた。米国ハーレーダビッドソンは5月5日(現地時間)、2026年第1四半期決算の発表にて、新たな成長戦略「[…]
最新の関連記事(カスタム&パーツ)
電子制御で生まれ変わった400cc単気筒の傑作DR-Z4S/4SM かつて4ストロークモトクロッサーの潮流の中で誕生し、多くのファンを魅了したDR-Z400SとDR-Z400SM。厳しい排出ガス規制に[…]
収納力と走りが進化した唯一無二のクロスオーバーNC750X ホンダのNC750Xは、経済性に優れる745cc並列2気筒エンジンを搭載し、日常の移動から長距離ツーリングまで快適にこなすオールラウンダーと[…]
ヘリテイジマシンの足回りを鮮やかに洗練させるゴールドの輝き スポーツバイクのカスタムにおいて、ブレーキ周りの変更は安全性と直結する。同時に、バネ下と呼ばれる車体下部のパーツが変わることで、マシン全体の[…]
サーキットで磨き抜かれた技術をストリートへ注ぎ込む至宝 ブレーキシステムにおいて世界市場をリードし続けるイタリアの名門・ブレンボ。ヨーロッパや日本のハイエンドオートバイに純正採用され、他の追随を許さな[…]
最新技術を詰め込み走りを極めた新世代スポーツネイキッドMT-09 2024年のモデルチェンジにより、ハンドルやステップ位置が見直され、よりスポーツネイキッドらしいライディングポジションを獲得したMT-[…]
人気記事ランキング(全体)
ヤマハが下した決断。大型モデルは「YSP」専売へ ヤマハ発動機販売が発表した2027年1月からの新販売体制において、最もライダーに大きな影響を与えるのが「取扱モデルの排気量による明確な区分け」である。[…]
耐荷重80kg! 美しいデザインで大人も子供も楽しめる EVEREST XING emoveは、次世代型モビリティを展開する株式会社Acalieのハイスペックブランド「EVEREST XING」からリ[…]
僕のCB1000Fは店の中央で待っていた 去る2025年11月14日。僕はヘルメットやグローブ、ジャケットなどライディングウェア一式を担いで電車に乗っていた…。なぜかって? そう! なぜならその日は待[…]
規制をクリアしつつ速さを追求。心臓部の全面改良 「最新の厳しい規制に対応すると、どうしてもパワーダウンしたりレスポンスが鈍くなったりするのでは」。そんなスポーツバイクファンの不安を、スズキの技術陣は真[…]
ファン付きウエアの限界を突破した「着る冷蔵庫」 夏の屋外作業やレジャーにおける定番アイテムとして、ファン付きウエアが広く普及している。しかし、気温が体温を上回るような酷暑日では、ファンが周囲の「熱風」[…]
最新の投稿記事(全体)
電子制御で生まれ変わった400cc単気筒の傑作DR-Z4S/4SM かつて4ストロークモトクロッサーの潮流の中で誕生し、多くのファンを魅了したDR-Z400SとDR-Z400SM。厳しい排出ガス規制に[…]
今年のMC陣も超豪華!カズ兄さん&なっちゃんがステージを盛り上げる! 会場のボルテージを最高潮に引き上げるMC陣には、お馴染みの強力タッグが決定した。 カズ中西さん(カズ兄さん) 本誌でもお馴染み、マ[…]
©しげの秀一/講談社 日本最大級の大型ビジョンに『バリバリ伝説』が登場。バックには虹色侍“ずま”さんの歌声 渋谷ハチ公前広場に面した24.4×17.4mと日本最大級を誇るデジタルサイネージ“シブハチ[…]
なぜ「舗装路のベテラン」がダートで転ぶのか? アドベンチャーバイクのブームもあり、林道やダートに興味を持つライダーは増えています。しかし、「アスファルトの上なら何万キロも走っている」というベテランであ[…]
バイクの総合パーツメーカー「プロト」から新たに登場したのが、硬化したゴムの弾性をガチで復活させる「PLOTメンテナンス 別注ラバゲイン」だ! 漬物感覚でゴムがフニャッと蘇る!? 驚異の軟化&膨潤効果 […]
- 1
- 2

























































