タイヤ交換が難しい理由は「ビードクリーム」にあった!?【DIY整備のポイント】

拝啓、タイヤ交換が苦手な皆さんへ。ちゃんとビードクリームを使ってるのに上手に出来ないなら、それはひょっとしたら「バストラ用」クリームを使えばうまくできるかもしれません。ひとつだけ大きな問題点がありますが・・・試す価値はありますよ~!
●文:[クリエイターチャンネル] DIY道楽テツ
私は長い間タイヤ交換が苦手でした。
実はワタシ、長い間タイヤ交換が苦手でした。
レバーを使ってタイヤを外したり、組み付けたりはできるのですが、全体的に手間取るというか、スムーズにいかないというか、なかなか上手になれなかったのです。特に苦労していたのが、ビードを上げる瞬間。何回空気を入れても、なかなかビードが上がってくれない。何度悔しい思いをしたことか。
転機になったのは、バイク屋さんにタイヤ交換を習ったときのこと。タイヤレバーの使い方から、ビードクリームの塗り方までを教えてもらったのですが、あることに気づいたのです。問題は、ビードクリームにあるんじゃないかと。
手間取っていたのは、ビードクリームが合わなかっただけ?
その時、おすすめいただいたのが「バス&トラック用ビードクリーム」。
バス&トラック・・・ バストラ!
カタカナ4文字にする必要性は全くないんだけど、名前からして、なんかやたらに強力そう! いつも使っていた「二輪車用ビードクリーム」とはそもそも成分が違うのでは? と思い、それぞれの成分を調べてみたら・・・ 意外な結果でした。
ビードクリームの役割と成分はなにか?
そもそも、ビードクリームの成分と役割は何でしょうか?
それは、タイヤをホイールに組み込む際の潤滑剤として働くというもので、ビードがスムーズにリムへ収まることを助けています。また、タイヤを正確に位置決めできるので、空気漏れを防ぐ効果も期待できます。
ではビードクリームの主な成分はというと、潤滑を目的としたグリセリンや、シリコーン系の成分が一般的です。これらによって、タイヤとホイールの摩擦を低減し、タイヤ交換をスムーズに行えるようにします。
バイク用のビードクリームとバス&トラック用のビードクリーム、実は成分的には、大きな差がないのです。
違うといえば「作業時間」
一部のスポーツバイクは別として、バイクのタイヤといえば、そのほとんどが手組みできるレベルで、4輪に比べたら、難易度は低い方です。それに対して、トラックやバスはタイヤ自体がとても大きく、太く、機械を使っても相当な力を要します。つまり、ビードクリームにも高い潤滑能力が要求されるわけです。そして、一番大きな違いが、必要な作業時間が長いということ。そのため、バス&トラック用のビードクリームは、塗ってから乾燥するまでの時間が、長く設定されているのです。
乾燥時間・・・そこの違いだったかっ!!
ビードクリームの乾燥時間の違いが大きな違い
バイク用のビードクリームは塗ってから乾くまでの時間が短く設定されています。
バイクのタイヤ交換、ましてやショップでプロが行うとなると、お客さんは装着後すぐ走り出すものなので、ビードクリームがいつまでも乾かずに残っていると、走行中にタイヤがズレてしまったり、リムが落ちたり、エアが抜けたりしかねません。
それに対してバス&トラック用ビードクリームは、長時間の作業を想定。乾くまで時間がかかるように作られています。
筆者のような素人が、慣れないタイヤ交換をするのには時間がかかるので、二輪車用のビードクリームだと、ややもすると乾燥してしまうことがあるというわけ。どうやら、その乾燥時間でこれまで苦戦をしていたようです・・・。
バス&トラック用ビードクリームを使ってみると
そんなわけで、長時間潤滑能力を維持してくれるビードクリームは、DIY整備好きには非常に助かるわけです。
実際にバス&トラック用のビードクリームを使ってみましょう。
タイヤの耳にビードクリームを塗ります。
滑りを良くするためにビード内側にしっかり塗っておきます。
筆者は万全を期してリムにも塗ります(コレが効きます!)。では。
リムにタイヤをはめ込んで…
手で押し込むだけでヌルヌル入っていきます。
タイヤの片側は、押し込んだけではまっちゃいました。
手前側のビードも入れていきますが、これもヌルヌル入っていきます。チューブレスとはいえ、こんなスクーターのタイヤ程度であれば、タイヤレバーの使用は最後の最後だけでもOKなくらいスムーズ。
スポッと入りました。
そして、最後にエアを入れていきますが・・・「ポン!」「ポン!!」
ほいっ、あっさりとタイヤの手組みが完了しました~!!!
バストラビードクリームに拍手!
これまでの苦労は何だったんだってくらいに、レバーでタイヤをはめ込むのもヌルヌル動いて楽だし、ビードも簡単に上がりました。
自宅での作業だったら、すぐに走り出すこともないので、ビードクリームの遅乾性については気になりません。これまで何度もタイヤ交換をやってきましたが、一度も問題が起きたことはありません。それよりもメリットの方がはるかに大きくて、ビードクリームを切り替えてから、作業は格段に楽になったのは間違いないのです。
いや、本当にすごい違いがあるんですって!
ただし大きな問題もあります…
しかし、無敵に思えるバス&トラック用ビードクリーム、1つだけ大きな弱点があります。それは・・・量が多いこと!! これで内容量1キログラム。
めったにタイヤ交換しない人がこんな容量のビードクリームを買ってしまったら、間違いなく一生もの(それでも使い切れないかもしれない)なので、それだけが問題でしょうか・・・。そこでメーカーさんにお願いです。「バス&トラック用」と同じ成分で、「ビギナー用遅乾タイプ」として小分けで売っていただけないでしょうか?? ぜひにぜひに~。
この記事が参考になれば幸いです。今回もご視聴ありがとうございました~!
私のYouTubeチャンネルのほうでは、「バイクを元気にしたい!」というコンセプトのもと、3日に1本ペースでバイクいじりの動画を投稿しております。よかったら遊びにきてくださいね~!★メインチャンネルはコチラ→「DIY道楽」 ☆サブチャンネルもよろしく→「のまてつ父ちゃんの日常」
※本記事の文責は当該執筆者(もしくはメディア)に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。
最新の関連記事(DIY道楽テツ)
アクセルワイヤーが長すぎた!というトラブル ハンドルを交換して長さが合わなくなってしまったり、はたまたケーブルそのものが痛んでしまったり。こうしたアクセルワイヤー(スロットルケーブル)を交換する際、「[…]
セルが弱くなったらバッテリー交換のサイン スクーターのバッテリーが弱ってきたのか、始動性がイマイチになってきました。 そういえば、このバッテリーもずいぶんずいぶん古くなってきたので、バッテリーを買い替[…]
新品タイヤが滑るその理由 新しいタイヤは滑ります。 滑りたくないから新しいタイヤに交換したというのに、なぜか新しいタイヤはマジで滑るんです(経験者は語る)。 なぜ滑るかというと、それはタイヤの製造過程[…]
場所によっては恒例行事なバイクの冬眠(長期保管) 「バイクの冬眠」…雪が多い地域の皆様にとっては、冬から春にかけて毎年恒例の行事かもしれませんね。また、雪国じゃなかったとしても、諸事情により長期間バイ[…]
燃料コックにも涙? それはある日の出来事。バイクで走り出そうとガソリンタンクの燃料コックをオンにした時、指先に冷たいものを感じました。 何があるのかと覗き込んでみると・・・燃料コックが泣いているぅ~![…]
最新の関連記事(メンテナンス&レストア)
ネットで注文できる1サイズ&1プライスガレージ。完成状態で運搬されてクレーンで据え置きされる サンデーメカニックなら誰もが知る工具ショップ・アストロプロダクツのホームページ上に「BIKE小屋」という商[…]
前後バランス配分が崩れてしまったフロントまわりを構築 フロントフォークの動き云々もあるが、動き以前に長さが違って前後バランス配分が崩れてしまうと、まともに走れなくなってしまうのがバイクだと思う。とりわ[…]
【ご注意】本記事は、エンジンオイルの過剰注入がエンジンに与える影響を確認するための実験であり、一般使用車両での実施や再現を推奨するものではありませんのでご了承ください。 オイルの規定量は守らなくちゃイ[…]
旧車の開発に使われた”鉱物油”にこだわる 1992年に創業した絶版車ディーラーのパイオニア・ウエマツ。販売だけでなく、整備にも徹底して力を注いできた同社がそのノウハウをフィードバックし、旧車に特化した[…]
シュアラスターの「バイク洗車図鑑」 バイクが違えば洗い方も変わる! 車種別の洗車情報をお届けするシュアラスターの「バイク洗車図鑑」、今回は大ヒット街道まっしぐら、女性人気も高いホンダ「レブル250(S[…]
最新の関連記事(オイル/ケミカル)
旧車の開発に使われた”鉱物油”にこだわる 1992年に創業した絶版車ディーラーのパイオニア・ウエマツ。販売だけでなく、整備にも徹底して力を注いできた同社がそのノウハウをフィードバックし、旧車に特化した[…]
創業60年以上の老舗メーカーの強力アルカリクリーナーに注目 モータリゼーションの先進国・アメリカでは早くから洗車やディテーリング産業が確立しており、より短時間で効率よく愛車を輝かせるためのケミカル製品[…]
シュアラスターの「バイク洗車図鑑」 バイクが違えば洗い方も変わる! 車種別の洗車情報をお届けするシュアラスターの「バイク洗車図鑑」 今回は2017年の発売以来国内での販売台数トップに君臨し続ける令和の[…]
論より証拠! 試して実感その効果!! カーシャンプーやワックスなど、多彩なカー用品を手がける老舗ブランド・シュアラスター。そのガソリン添加剤シリーズ・LOOPのフラッグシップモデルが「LOOPパワーシ[…]
論より証拠! 試して実感その効果!! ワックスをはじめとした質の良いボディケア用品を多数手がけてきたことでも知られている老舗カー用品ブランド・シュアラスター。 そのシュアラスターが展開するガソリン添加[…]
人気記事ランキング(全体)
4気筒CBRシリーズの末弟として登場か EICMA 2024が盛況のうちに終了し、各メーカーの2025年モデルが出そろったのち、ホンダが「CBR500R FOUR」なる商標を出願していたことがわかって[…]
インフレの今、価格破壊王のワークマンがまたやってくれた! 春から初夏にかけ、ツーリングのシーズンがやってきた。爽やかな空気を全身に浴びてのライディングは最高だ。しかし…この期間はジメジメ・シトシトの梅[…]
ネオクラシックながら”新しさ”で対抗 ヘリテージやネオクラシックと呼ばれるカテゴリーで、登場以来絶対的な人気を誇るカワサキのZ900RSシリーズ。現代スポーツネイキッドをベースに、名車Z1を絶妙にアレ[…]
実は”ホンダエンジン”時代からの愛車だった マンセルがF1のパドックで乗っていたのは、ホンダのダックス70(CT70)でした。1988年モデルとも、1987モデルとも言われていますが、いずれにしろ当時[…]
◆今回のPRO解説者:以前にはネオクラ車の解説記事もお願いしたバイクデザインのプロフェッショナル。1980年代前半に某社に入社したベテランで、オンロード系をメインに排気量の大小を問わずさまざまな機種を[…]
最新の投稿記事(全体)
総合力を高めたスポーツツーリング 欧州でのみ販売される「TRACER 7」および「TRACER 7 GT」の2025年モデルが登場した。マイナーチェンジを受け、心臓部を共有する最新MT-07と同様に電[…]
二輪事業では、世界6000万台の時代に世界シェア5割を狙う! ホンダが発表した2025年3月期における二輪販売台数は、世界シェア約40%の2057万台。37の国と地域において過去最高を達成したという。[…]
空冷Zと日産のL型エンジンに特化したパムス カワサキのZ1やZ2など空冷Zのオーナー、あるいはファンの方にとってパムスは有名すぎるほどのファクトリーに違いありません。 レース畑だった私(今井伸一朗)で[…]
RZ誕生の契機は「北米から欧州市場への転換」 ──1979年にプロトタイプが公開され、1980/1981年から発売が始まったRZ250/350は、当時としては非常にエポックメイキングな車両だった。まず[…]
構造もデザインも新設計! アールズ・ギアでは、すでにホンダGB350/S用のスリップオンマフラーを販売しているが、よりクラシックテイストのGB350Cがラインナップに追加されたことを受け、C専用のマフ[…]
- 1
- 2