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ZXR250超えのショートストローク!カワサキ「ニンジャZX-25R」機械加工はH2やZX-10R並み【エンジン解説】

ニンジャZX-25Rの正式発表されたスペックは、クラス最強数値の45ps/15500rpmを示し、官能的な超高回転サウンドを約束している。一度は途絶え、現代に唯一の4気筒マシンとして蘇ったZX-25Rは、いかにして超高回転ハイパワーを得ているのだろうか。そしてクラス初採用のトラクションコントロールの威力とは?

車種別アーカイブ:カワサキ ニンジャZX-25R

国内仕様の最高出力は45psだが、インドネシア仕様では50ps/15500rpm(ラムエア加圧時51ps/15500rpm)を発揮する。この数値がこのエンジンの基本的なポテンシャルだと考えれば、まさしく史上最強の250cc4気筒エンジンといって差し支えないだろう。

このパフォーマンスを造り込むために各部へと投入した技術もまたハンパない。ピストンは軽量なアルミ鋳造で、アルミシリンダー内壁にはスーパーバイク世界選手権で5連覇中のチャンピオンマシン・ニンジャZX-10Rと同様のメッキ処理が施されている。また、カムシャフトは鍛造で製作され、排気バルブにはカワサキが誇るスーパーチャージドエンジンのニンジャH2と同じインコネル材を使用。バルブ挟み角は28度と立てられ、吸気ポートには10Rが採用している2段階の機械加工を施して混合気のスムーズな流れを促進。さらに燃焼室にも容量誤差を減らすための機械加工が行われる。

高性能化には必然のダウドラフト吸気がよくわかるアングル。バルブは直打式で挟み角は28度。ダイレクトイグニッションなども判別できる。主要3軸は水平配置となっているが、エンジン自体が小さいため、フレーム搭載の自由度やスイングアーム長の確保に問題はないはず。スリーブレスのアルミシリンダーも左右幅の抑制に貢献し、2気筒並みのボディサイズに収めることに成功している。(画像提供:Webike THAILAND)

ZX-25Rのスゴさはエンジン内部にとどまらない。10Rと同じセンター吸気のラムエアインテークを配置しながら、フロントフォークの左側を迂回するニンジャH2と同様のダクトレイアウトを採用。ライドバイワイヤで駆動されるスロットルバルブはφ30mmという大径だ。250ccクラス初採用となるトラクションコントロールシステム(KQS=カワサキトラクションコントロール)は3段階に切り替え可能なほか、フルパワー/ローパワーを切り替えられるパワーモードも備える。SEに標準装備されるKQS(カワサキクイックシフター)は、ライドバイワイヤだからこそ実現できるアップ/ダウン両対応だ。

ほかにも、30段の大型ラジエターやアシスト&スリッパークラッチ、大容量チャンバーによって実現したショートマフラーなど、クラスを超えた装備は枚挙にいとまがない。

エキゾーストパイプは集合部までの中間地点あたりで連結し、低中速トルクを増強。クランクはZXR250より軽量になっているが、FI採用で大容量化したACGなどと組み合わせることで、回転質量としては同等だという。(画像提供:Webike THAILAND)

KTRC=カワサキトラクションコントロールは、250ccクラスに初めて投入された先進システム。3つのモードで幅広いライディング条件をカバーする。IMU(慣性計測装置)は搭載していないが、ソフトウェア的に車体の傾きなどを動的解析し、コーナーの傾きや勾配などに適応するというからスゴイ。

モード1はシステムの介入がもっとも少なく、コーナリング中のトラクションを制御。スポーツライディングで最も効率のいい駆動力を得る。モード2は、より早いタイミングでシステムが介入するバランス型だ。モード3では滑りやすい路面や悪路を想定した出力制御を行い、安心して走ることができるという。

オールアルミシリンダーに鍛造カムシャフト、インコネル製の排気バルブ!

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