
1993年、デビューイヤーにいきなり世界GP250チャンピオンを獲得した原田哲也さん。虎視眈々とチャンスを狙い、ここぞという時に勝負を仕掛ける鋭い走りから「クールデビル」と呼ばれ、たびたび上位争いを繰り広げた。’02年に現役を引退し、今はツーリングやオフロードラン、ホビーレースなど幅広くバイクを楽しんでいる。そんな原田さんのWEBヤングマシン連載は、バイクやレースに関するあれこれを大いに語るWEBコラム。第160回は、スペインGPで物議を醸したマルク・マルケスのスプリントレースについて。
Text: Go TAKAHASHI Photo: Michelin
転倒後に本コースを横切る……あれはナシ
物議を醸したスペインGPのスプリントレース。2番手を走っていたマルク・マルケス(Ducati Lenovo Team)が8周目の最終コーナーで転倒したことが発端です。
雨によりフラッグ・トゥ・フラッグ(レイン用マシンへの乗り換えが可能)となっていたこのレースで、転倒後のマルケスは本コースと芝生を横切る形でピットレーンに入りました。
レイン用のマシンに乗り換えると追い上げを開始し、チームメイトのフランチェスコ・バニャイア(Ducati Lenovo Team)をパスして優勝。ペナルティはありませんでした。
マルケスや関係者のコメントをまとめると、「ルールにはない。だからペナルティではない」ということのようです。確かにルールで明文化されていないことに対して、罰則を与えることはできません。ですが僕個人は、あの行為は失格に値するものだと思います。
これはルールの有無の問題ではなく、常識やモラルの問題です。ピットインする際の位置が厳格に定められていないことと、どこから入ってもいいこととは、まったく別の話。「ルールにないから、どこからでもOK」というわけではありません。言わずもがなの、レースの常識やモラルがあるんです。
転倒からの復帰を除けば、追い上げてのゴールはマルケスらしかったが……。
何人かのライダーや関係者が「あれは失格だろう」と異議を唱えていますが、常識的に考えればその通り。「母国スペインでのレースで、スペイン人ライダーに起きたことだから、しょうがないね」と肩をすくめる人もいましたが、そんなうがった見方をしたくなります。
もっとも僕は、マルケスがどうこうと言うつもりはありません。あくまでもレース運営側の話だと思っています。まぁ、こういう問題が起きてルールが細かく策定されていくのでしょうが、ちょっと後味の悪い出来事でした。
決勝レースで優勝したのは、弟のアレックス・マルケス(BK8 Gresini Racing MotoGP)でした。セットアップが進んだのか、2位マルコ・ベゼッキ(Aprilia Racing)に2秒近い差を付けての完勝でした。
一方、兄マルクはフロントから転倒してリタイヤ。11コーナーはフロントからの転倒が多い場所で、仕方ない部分もありますが、本調子ではないことも伺えます。弟アレックスにもあっさり抜かれていました。バニャイアも何らかのタイヤトラブルでリタイヤと、ドゥカティ・ファクトリーチームには不運続きのスペインGPになりましたね。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
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