
キャロル・シェルビーが現役時代に作ったコブラは、全シリーズを通して1000台ほどしかありません。シャシーナンバー2000番台の289、3000番台の427などバリエーションはいくつかあるものの、今となってはいずれのモデルも億単位のプライスタグが付けられる貴重品。それゆえ粗悪な偽物も出回っており、業を煮やしたシェルビー・アメリカン社はコブラの継続モデル4000シリーズを生み出したのでした。そんなオリジナルを忠実に再現した「CSX4000シリーズ」の魅力に迫ってみましょう。
●文:石橋 寛(ヤングマシン編集部) ●写真:RM Sotherbys
偽物問題に悩まされ、本社が本物の製作に立ち上がった
前述の通りコブラは1962~1968年までの間に998台が作られたとされています(諸説あり)最初期の260ci / 289ciエンジンを搭載し、リーフスプリングを用いたシャシーナンバーCSX2000番台が655台、427ciエンジン、コイルスプリング仕様のCSX3000番台は343台(S/C:セミコンペティションなどすべて含む)という内訳。
現在、レストアや動態保存されていた個体は6割ほどとのことで、オークションなどに出品されると軒並み1億円以上で落札されているのです。人気モデルゆえに、昔からレプリカが作られていますが、中には本物と偽って売買されたサンプルも少なくないのです。
当時からキャロル・シェルビーは「偽物問題」に頭を抱えていたそうですが、彼がこの世を去った後でシェルビー・アメリカン社は解決策として「だったら本社が本物を作ったる!」と奮起。シェルビーが亡くなる少し前、60年代に使いきれなかった427用シャシーが発見されたニュースがありましたが、これも再生産の追い風になったことは間違いないでしょう。
オーナーが自由に組み合わせを選べるシステムを踏襲
再生産にあたっては「コンティニュエーションモデル」(継続モデル)という位置づけにしたほか、新たなシャシーナンバー、CSX4000番台が割り当てられました。つまり、元祖本家による正統な追加生産にほかならないということ。
当然、CSX3000シリーズと同じ設計、製法が踏襲されているのですが、ニーズに合わせたアップデートもなされているのが大きな特徴。そもそも、コブラはエンジンやミッションを含まないローリングシャシーでの販売が基本で、後にオーナーが好みのユニットを選んでいたのです。
4000シリーズも同様で、たいていフォードの7リッターV8を選びつつ、ホーリーなどのキャブにするオーナーもいれば、始動性を重視してインジェクターにする方もいるのだとか。その場合、ダミーのファンネルがついた製品もあるそうなのでエンジンルームの見え方は往時を彷彿とさせてくれるようです。また、ミッションについても5MTはもちろん、6MTまで用意されており、現代版ならではのメリットもたくさんありそうです。
ブロンズをビカビカに仕上げたボディは一見の価値あり
今回ご紹介するコンティニュエーションコブラは、CSX4600のナンバーが与えられた427S/C仕様車。なにがすごいって、ピカピカの車体でお察しの通りボディがブロンズパネルで作られているところ。ご存じの通り、コブラのボディはアルミ、もしくはFRPが使われるのですが、板金製作は外注となります。
シェルビーご本人から任されたのが、カーカム・ボディワークスという会社で、ポーランドの旧軍用航空機工場でもって製作しているとのこと。航空機むけの良い素材を使うだけでなく、精度の高さにはシェルビーも満足していたとのこと。そんなカーカムがブロンズをピカピカに仕上げただけでなく、センターストライプを塗装でなく金属表面に刷り込む手法を見せています。ステンレス製サイドパイプの艶にも負けない輝きはコブラブルーにも劣らぬ存在感といっていいでしょう。
なお、エンジンは427から511ciへとスープアップされ、ボーラ製インジェクションに置き換えた結果、650馬力を発生するに至っています。トランスミッションは5MTとされ、ハイパワーに応えるべくアルミパイプフレームでなく、4000シリーズ独自の直径10センチのビレット(削り出し)アルミシャシーを採用している模様。無論、独立懸架、強化ブレーキといった足回りのチューンにも手抜かりはなく、現代版コブラと呼ぶにふさわしい1台となっているのです。
60年代に大暴れしたマシンを、新車でゲットできる
現在のシェルビー・アメリカンは、4000シリーズのナンバーが上限に達したため6000シリーズへと移行しています。が、内容はほぼ同じで、オプションがいくらか増え、よりオーナーの好みを反映しやすくなっているのだとか。
お値段は、こちらのCSX4600が中古で6000万円ほどと、当時の価値に比べてもさして高騰とは言い難いレベル(新車価格は7500ドルほどで、現代の感覚では3000万円くらいの高級車といった感じ)いずれにしろ、60年代に大暴れしたマシンを今でも新車でゲットできるというのは大いに魅力的。宝くじに当たったらリストに載せてしかるべき、ではないでしょうか。
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