
2020年の登場以来、原付二種クラスの王道として君臨し続けるホンダ「CT125ハンターカブ」。その魅力は、単なる移動手段を超えた「遊べる道具」としての完成度にある。しかし、林道走行やロングツーリングを楽しむライダーの間では、純正4速ミッションのギヤのつながりに物足りなさを感じる声も少なくなかった。その声に応えるかのように、株式会社コーケンのブランド「EVATEK」から、JA55型専用5速クロスミッションキットが登場した。
●文:ヤングマシン編集部 ●写真/外部リンク:コーケン
現代に蘇った究極のアウトドアマシン、CT125ハンターカブの軌跡
CT125ハンターカブは、2020年6月26日にスーパーカブシリーズの「リバイバルシリーズ」第3弾として誕生した。スーパーカブC125をベースとした空冷4ストローク単気筒エンジンを搭載し、アップマフラーや大型リヤキャリア、前後ディスクブレーキにABS(フロントのみ)といった本格的な装備を纏って登場した。
初代モデル(JA55型)はグローイングレッドとマットフレスコブラウンの2色展開で始まり、2022年にはパールオーガニックグリーンが追加され3色体制となった。その後、2023年モデル(JA65型)ではロングストローク設定の新型エンジンへと刷新され、最高出力が9.1psへと向上したが、一貫して変速機は「4段」のままであった。
この4速仕様については、街乗りから林道走行まで幅広く対応する一方で、ユーザーの間では「ギヤ間が広く、加速時に回転が落ちすぎる」「巡航時にもう一段欲しい」といった、走りの質感に対する改善要望が根強く存在していた。
実用重視の5速化を実現するEVATEK製クロスミッション
こうしたユーザーの声に応える形で開発されたのが、株式会社コーケンのオリジナルブランド「EVATEK」による、CT125(JA55)専用5速クロスミッションキットだ。開発コンセプトに「日常使いもレジャーも快適に楽しめる“実用重視の5速化”」を掲げ、単なる多段化にとどまらないギヤ比設定が施されている。
本製品の最大の特徴は、2速から4速をクロス化することで、加速中のギクシャク感を抑制し、滑らかな走行フィールを実現している点にある。具体的には、純正でワイドだったギヤの間隔を詰め、シフトアップ時の回転落ちを最小限に抑えることで、トルクを有効に活用したスムーズな加速が可能になる。
また、5速目のギヤ比には純正4速と同一の「0.923」を採用している点も見逃せない。これにより、高速域での巡航性能や静粛性を損なうことなく、そこに至るまでのプロセスをより緻密に、かつパワフルに楽しむことができる構成となっている。
詳細なギヤ比比較と扱いやすさの向上
EVATEK製5速ミッションと純正4速ミッションのギヤ比を比較すると、その設計思想がより鮮明になる。
- 1速:純正2.500に対し、EVATEKは2.333。若干高めの設定で、街乗りでの扱いやすさとトルク走行の両立を図っている。
- 2速:純正1.550に対し、EVATEKは1.684。
- 3速:純正1.150に対し、EVATEKは1.272。
- 4速:純正0.923(最高速ギヤ)に対し、EVATEKは1.040。
- 5速:純正設定なし。EVATEKは0.923を採用。
この構成により、純正では4速でカバーしていた領域を、5速ミッションでは2速から5速を使って細かく刻む形となる。とくに登坂路や荷物を満載したツーリングシーンにおいて、パワーバンドを維持しやすくなる恩恵は計り知れない。
導入に関する注意点と製品情報
本キットの価格は5万5000円(税込)で、対応車種はホンダ・ハンターカブ CT125(JA55)となる。取り付けにあたってはエンジンの脱着および分解作業が必要となるため、ホンダ純正サービスマニュアルの用意が必須だ。作業の難易度は高いため、メーカー側も専門のバイクショップへの依頼を強く推奨している。
また、EVATEKでは今後、この5速ミッションを導入した車両向けのセッティング提案として、ファイナル比(二次減速比)やスプロケット組み合わせの最適化、走行シーン別のチューニング例などの情報発信も予定しているという。
これまで4速ミッションのワイドなギヤ比に妥協を感じていたJA55ユーザーにとって、この5速クロスミッションキットは、ハンターカブの走りのポテンシャルを真に引き出すための、もっとも効果的なカスタマイズのひとつとなりそうだ。
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