
ガソリン暫定税率や軽油取引税の撤廃や、片山財務大臣による「走行距離課税は検討せず」の発言で喜んだのも束の間、首都高速道路の値上げ案が浮上した。ETC車載器を搭載していない車両には大きな痛手になるが、走行距離1kmあたりの料金もきっちり上がっていくという案だ。
●文:Nom(埜邑博道) ●外部リンク:「首都高速道路の料金改定案」に関する意見募集について|独立行政法人 日本高速道路保有・債務返済機構
来年10月から首都高料金が1割値上げか?
12月24日、首都高速道路公団は来年10月から料金を改定(値上げ)する案を発表しました。
これは、今年の10月に設置された「首都高の持続可能な道路サービスに関する検討会」の第1次とりまとめを受けて公表されたもので、「近年の急激な労務費・材料費の高騰や激甚化する災害などにより維持管理コストが上昇しており、今後も引き続きお客さまに安全安心な道路サービスを提供しつつ、維持管理業務に従事しているエッセンシャルワーカーへの適正な労務費の確保・行き渡りを確保していくため、料金の改定を行う」として、具体的には1kmあたりの通行料金を現在より約1割引き上げるというものです。
ETC装着の二輪車(軽自動車も同じ)の場合、下限料金は現在と同じ280円ですが、55km以上走行した場合の上限料金は1590円→1740円と150円アップとなります。
料金改定(案)後の基本料金(下限と上限)は上記の表のようになる。
首都高の料金は、2011年までの均一料金を経て(東京線普通車700円など)、2012年1月から対距離料金制に移行。その後、2014年4月には消費税増税での値上げ、2016年4月には上限料金の引き上げ(普通車:1320円)、2019年10月の消費税増税による値上げ、2022年4月の上限料金の見直し(普通車1950円に)が行われてきました。
均一料金時代から首都高を利用してきた筆者(当時は回数券がありましたね)は、いま首都高を使う度に「ずいぶん高くなったなぁ」と思ってしまうのですが、現在の1割アップとはいえまた値上げ。ガソリンや軽油の暫定税率が廃止されることになり、バイクやクルマのランニングコストが下がると喜んでいたのはつかの間でした。
2028年には全料金所のETC専用化を目指している
そして、今回の料金改定(案)の資料にある、料金所のETC専用化の推進と将来における全料金所のETC専用化を目指すことも見逃せない項目です。
今年度中に、ETC専用料金所を90カ所にまで増やし(12月24日時点で71カ所)、2028年春までには本線料金所などの一部を除いてETC専用化を目指すとしています。
安全性や利便性からバイクにETCは必須だと思いますが、バイクの場合、複数台を所有する好事家も少なくありません。所有するすべてのバイクにETC機器を装着するのはコスト的にも結構しんどいものですし、年に数回しか首都高を使用しないからとETC非装着のままで現金払いにすると走行距離にかかわらず一律1590円(改定後は1740円)の上限料金になってしまいます。
二輪用ETC機器の装着費用の高止まりも、複数台への機器装着を阻んでいるひとつの要因です。
現状でも、3万円台~5万円程度と、クルマの倍以上の取付費用がかかりますから、メインで使わない車両にはETC機器を装着しないケースも多いはず。とはいえ、すべての料金所がETC専用になってしまったら止むなくETCを装着するか、非装着車は首都高を使用するのをあきらめざるを得なくなってしまいます。
施設側の都合で全料金所をETC専用にするのであれば、希望者にはETC機器を無償で提供するなど、思い切った手を打ってもらえないものでしょうか。安全・安心な道路サービスの提供を謳うのなら、利用者がより利用しやすくするための施策も考えてほしいものです。
首都高速道路株式会社及び日本高速道路保有・債務返済機構は、今回の料金改定(案)に対する意見をウェブサイトと郵送で募集しています。
料金のことだけではなく、日ごろから首都高速道路について思っていること等があればぜひご意見をお願いします。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事([連載] 多事走論 from Nom)
「バイク業界は減速傾向」まだそんなこと言ってるの? いつからか、国内二輪市場の概況を説明する際に枕詞に使われるのが「減速している」です。 たしかに、1982年の販売台数327万台に比べると、直近の20[…]
バイクは首都高に乗れなくなる⁉ ETC専用入り口化が爆速激増中! 2026年3月、うがちゃんこと宇賀なつみさんをキャラクターにした首都高速道路株式会社のTVCMが大量に放映されていました。 内容は、首[…]
不当な税金の上乗せが廃止されたと思ったら…… バイク/クルマユーザーの悲願だった暫定税率(25.1円の税金上乗せ)が昨年末に廃止され、155円/L程度で推移していたガソリン代ですが、2月末にアメリカと[…]
「免許を持ってない人にあれこれ言われたくない」の声で決意 以前から個人的な知人や友人にバイク乗りが多く、ご主人も20代のころからのカワサキ乗りで、石井議員は常にバイクがそばにある環境で長年生活していま[…]
片山財務大臣が走行距離課税は検討していないと明言! この発言の持つ意味はとても大きい 11月12日の参議院・予算委員会で、国民民主党の榛葉幹事長の「走行距離課税はやりませんよね」という質問に対し、片山[…]
最新の関連記事(交通/社会問題)
1台を徹底して「自己管理」する過酷な現実と、新人が直面する洗車の掟 公道を颯爽と駆け抜ける白バイ。その輝くボディは、専門業者が完璧にメンテナンスしているように見えるかもしれない。しかし、その裏にあるの[…]
「高速2人乗り解禁」の陰に高市総理のアドバイス いまから30年以上前、当時、高速道路の80km規制解除や2人乗り解禁などバイクの使用環境改善の活動を行っていた現オートバイ政治連盟会長の吉田純一さん(元[…]
愛車の「顔」を自分でプロデュース。新制度で選べる数字と対象車両区分 これまでは偶然配られた数字を受け入れるしかなかったが、2026年10月19日からは、自分が選んだ「お気に入りの4桁の数字」を愛車に掲[…]
1.【背景・経緯】三ない運動から交通安全教育へ 講習会レポートの前に、埼玉県の三ない運動推進の背景と経緯を振り返っておこう。 バイク事故から高校生の命を守ると共に暴走族への加入といった非行を防ぐために[…]
評価のために検挙へ走る同僚と新人の複雑な胸中 交通取り締まりに対して「点数稼ぎだ」「反則金目当てのノルマだろ」と悪態をつきたくなる瞬間はある。その疑問に対し、元沖縄県警の女性白バイ隊員・宅島奈津子さん[…]
人気記事ランキング(全体)
荒野を駆け抜けた友情と青春!『機甲創世記モスピーダ』が放つタイムレスな魅力 1983年10月から1984年3月まで全25話が放送されたタツノコプロ制作のTVアニメ『機甲創世記モスピーダ』。謎の宇宙生命[…]
「プロジェクトBIG-1」が生んだ400ccネイキッドの基準「CB400SF」 1992年4月、ホンダは「新しい時代にふさわしいホンダのロードスポーツモデルはどうあるべきか」を追求した「プロジェクトB[…]
ティザー画像だけでは、もぉ我慢できない! 復活することがわかった空冷スポーツスター。ハーレーダビッドソン米国本社が新型として再登場させることを成長戦略のひとつとして明らかにし、日本法人ハーレーダビッド[…]
2021年モデルで国内導入が終了した過給モンスターが帰ってきた! 2015年に登場したNinja H2は、「誰も経験したことのない走行体験を実現する」という目標のもと、川崎重工業グループのガスタービン[…]
タイムレスなクラシックスタイルと現代的実用性の融合 「クラシックのエッセンスは決して時代遅れにならない」というデザインコンセプトのもと、コロンビア/フィリピン市場で展開されるスズキの「GN 160」。[…]
最新の投稿記事(全体)
下町の匠が挑む新ジャンル!丸ハンドルと全天候型ボディを持つ「Blue Jay」 スーパーコンピュータの冷却配管部品やオリンピック競技用機材などを手がけてきた西川精機製作所。同社が開発した「Blue J[…]
既存の四輪店舗にバイク用品専門店を新設 カー&バイク用品のリユース専門店「アップガレージ」を全国展開するアップガレージグループは、2026年9月19日(土)、大阪市住之江区に「アップガレージライダース[…]
“指先”を重点的に包み込む新型ヒーターパネルを採用 今回の目玉は、冷えの最前線である“指先”を重点的に包み込む新型ヒーターパネルの採用。さらに、関節の曲げ伸ばしで負荷がかかる内部配線構造を抜本的に見直[…]
操作性と歩きやすさを両立する「八の字」カットと2層構造 ステップに足を載せた瞬間の違和感をなくすため、ヒール部分は大胆な「八の字状」にカット。ステップ上で足を左右にスムーズへ動かせるうえ、土踏まずから[…]
ひとりのエンジニアの理想と技術が作り出した唯一無二のマシン すでにモータリストのお店ではVINS Duecinquanta(ヴィンス ドゥエチンクエンタ)があるとのことですが、皆さんの反応はいかがでし[…]
- 1
- 2



































