
2025年11月12日、参議院の予算委員会で「走行距離課税は検討せず」とのやり取りがあった。2022年11月に「政府が走行距離に応じた課税を検討へ」という報道があり、これに多くの批判が寄せられた後も、2025年9月に名前を変えて復活の気配を見せたものの、内閣が入れ替わった国会ではこれを否定したと言っていい。
●文:Nom(埜邑博道)
片山財務大臣が走行距離課税は検討していないと明言! この発言の持つ意味はとても大きい
11月12日の参議院・予算委員会で、国民民主党の榛葉幹事長の「走行距離課税はやりませんよね」という質問に対し、片山さつき財務大臣は「クルマは走るためにありますから、走行距離に課税するのはあんまりだという声を伺っていまして、走行距離課税については政府としては具体的に検討をしておりません」と回答しました。
暫定税率の廃止に伴って、代替財源をどうするかという議論が出ると必ず持ち上がってくるのが走行距離に応じて税金を徴収するという走行距離課税。確かに、ガソリン税を払う必要がないEVにも課税できるなど、公平性を担保できる点もありますが、公共交通機関が十分ではない地方在住の車ユーザーほど税負担が大きくなるなど、問題点も山積み。だいたい、どうやって個人の走行距離を把握するのか、そのためにどれだけの国費(=税金)を投入するのかなど、実現には乗り越えなければいけないハードルが立ちはだかっています。
そんななか、現職の財務大臣が「政府としては検討していません」と明言したのは朗報以外の何物でもありません。
少なくとも、片山さつきさんが財務大臣でいる間は、走行距離課税に関する議論は起こらないでしょうし、「検討していない」とはっきり言いきった以上、ほかの人が財務大臣になっても走行距離課税を持ち出すのはなかなか難しいことでしょう。
確かに、暫定税率を廃止することでガソリン税で約1兆円、軽油引取税で約5000億円、合わせて年間約1.5兆円の税収減が見込まれると言いますが、だからといってその減収分をバイク/クルマのユーザーに補填させようというのには納得がいきません。
榛葉幹事長が今回の質問で指摘したように、自動車関連税は9種類9兆円にも及んでいて、その内訳は自動車重量税が約0.7兆円、自動車税、軽自動車税と環境性能割が約0.2兆円、自動車税の種別割が約1.5兆円、軽自動車税の種別割が約0.3兆円、石油ガス税が約0.008兆円、揮発油税が約2兆円、地方揮発油税が約0.2兆円、軽油引取税が約0.9兆円、自動車ガソリン等にかかります消費税が約3.2兆円となっています。
まさに、取れるところから取ろうという姿勢がここに如実に表れていますね。
これだけバイク/クルマユーザーが現在、バイク/クルマを所有・使用するために税金を負担しているのに、まだまだ負担させようというのでしょうか。まるで庶民を生かさず殺さずしておくための「年貢」のようですね。
JAFのアンケートでもほぼすべての人が税金が負担と回答
JAF(日本自動車連盟)が行ったユーザーアンケートでも、98.8%の回答者が「自動車にかかわる税金を負担に感じている」という結果となっています。
諸外国に比べても日本のバイク/クルマに対する税金は過重となっていて、自動車の取得段階で消費税のほかに環境性能割が課せられ、さらに保有段階においては、自動車税(軽自動車は軽自動車税)と自動車重量税が課税されており、消費税を除く車体課税の負担は欧米諸国に比べ約1.4~23.4倍。欧米では、自家用乗用車に自動車重量税と同種の税金を課している国はないそうです。
さらに、以前に当コラムでも取り上げましたが、新車新規登録から13年が経過したバイク/クルマは自動車重量税及び自動車税や軽自動車税額がアップします。これは欧米諸国との文化の違いかもしれませんが、古いものは悪い、だから重課税するという短絡的な見方で古いものを大事にして敬うといった考えはどこにも見当たりません。
バイク/クルマは単なる便利な道具で、その便利さを享受しているのだから税金を払うのは当然で、古くなって環境性能の落ちたものは所有しているとお金がかかるからさっさと手放しなさいと言っているようなもので、そこには愛着とか歴史に対する敬意などはまったく感じられません。また、新車を1台製作するまでに排出される二酸化炭素についても無視されているようです。
便利なものを使っているんだから、それ相応の負担をして当然。税金が高くて苦しいなら、バイク/クルマに乗らなければいい。そんな身勝手な考えが透けて見えるようです。
暫定税率が12月31日で廃止されるのに伴い、13日からガソリンと軽油に対する補助金が5円加算され、合計15円安くなったとのこと。
不要な税金を払う必要がやっとなくなったのですから、これ以上バイク/クルマユーザーの負担を増やそうという動きが現れないことを祈るばかりです。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
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