
市街地のバイク駐車スペースをどう確保していくのか? 様々な法律や条例のもと、公共・民間ともにできることにも限りがあり、なかなか思うようには改善できないでいる。そこで、国土交通省の主幹により昨年から開催されているのが「市街地における自動二輪車等の駐車スペース確保に係る関係省庁連絡会議」だ。その狙いと議論の要点について紹介し、考察する。
●文:ヤングマシン編集部)
1. 国交省がバイク駐車に関する連絡会議を設置
国交省道路局と警察庁交通局からは歩道の切り込みに駐車スペースを確保する“路上駐車場”についての制度概要、事例も示された。写真は東京都・秋葉原の時間貸しスペース ※筆者撮影
2025年5月、国土交通省は、バイクの駐車スペース確保に関する施策推進に役立てることを目的に、関係行政機関相互の連携のもと、関係省庁を横断する形となる「市街地における自動二輪車等の駐車スペース確保に係る関係省庁連絡会議」(以降、連絡会議と略記)を設置した。
連絡会儀は2026年4月までに計3回の会議が行われている。メディアによる取材や傍聴は許可されていないので、公表されている資料をもとに、前編では、第1回と第2回の模様をお伝えする。
2. 連絡会議のまとめと概要【第1回 2025年5月12日】
国土交通省都市局街路交通施設課の青柳課長。 ※2025年3月、公明党オートバイ議員懇話会にて筆者撮影
●まとめ
第1回の会議では、バイク駐車場および駐車スペースの確保について、各省庁がこれまでの取り組みと現状、今後の方針などを説明し、質疑も行われた。このように、初回は関係省庁間での情報共有がメインとなった。
今後の進め方については、ワーキンググループ(WG)を設置して二輪関連団体に対して省庁合同でヒアリングを行うことが決められ、次回までに都市局が地方公共団体や駐車場事業者にヒアリングしてくることが報告された。
●主な出席者
国土交通省都市局街路交通部施設課・道路局、警察庁交通局交通規制課、経済産業省製造産業局自動車課
●主な議事
- 都市局から自動二輪車等駐車場の現状説明
- 道路局から路上自動二輪車等駐車場の制度概要説明
- 警察庁から地域の実情に応じた駐車環境整備推進の説明
- 経産省から二輪車産業の概況説明
●概要
①都市局
同局のバイク駐車場確保推進への取り組みの振り返りと現状について説明が行われた。同省が所管する駐車場法に基づいての駐車場整備と附置義務条例の制定推進に加え、自転車・自動車駐車場へのバイク受け入れや転用への技術的助言や事例周知、社会資本整備総合交付金等による支援など地方公共団体に向けたものが主となった。
マンションなど共同住宅に対して自動二輪車(125cc超)駐車スペースの附置を求めている51都市のリスト。オレンジ枠(筆者加筆)は駐車場法に基づき自動二輪車附置義務条例を制定している地方公共団体11市のリスト ※都市局街路交通施設課の提出資料「自動二輪車等駐車場の現状等について」5Pより一部加工・引用
道交法施行規則等改正に基づいた新基準原付への駐車対応。自転車等駐車場の約85%は駐車可能な排気量を道交法での原付一種区分に基づいた50cc以下としているため、地方公共団体が所管する多くの自転車等駐車場には新基準原付(50cc超125cc以下、最高出力4.0kW以下)が駐車できない。このねじれを改善することが求められている ※都市局街路交通施設課の提出資料「自動二輪車等駐車場の現状等について」8Pより一部加工(オレンジ枠は筆者加筆)・引用
また、都市局が事務局を務め、有識者や関係団体、地方公共団体らと検討を重ねた「まちづくりにおける駐車場政策のあり方検討会」(2022年10月~2025年2月)に関する資料も提示された。
当会は連絡会議に先駆けて行われ、まちづくりと駐車場との連携という視点から今後の駐車場政策のあり方について示したもので、電動キックボードなど多様なモビリティのほかバイクの駐車場についても多角的に検討され、近年の道路局の成果のひとつとなっている。
さらに、バイク駐車場の現状に関するデータとユーザーのニーズ、バイク駐車場に関する地方公共団体の意識と取組状況などの調査結果、各地のバイク受け入れ事例なども提示された。
②道路局
同局からは、二輪業界も注目している路上自動二輪車駐車場(路上駐車場)についての制度概要について説明が行われた。
「道路上の自動車駐車場を道路付属物として位置づけ」た道路法改正(1991年5月)、道路上のバイク・自転車等放置問題解消のための「車輪止め装置等を占用許可対象物件として規定」した道路法施行令改正(2006年11月)といった道路法改正とその設置指針、取り組み事例を提示した。
道路法を改正し設置指針(車道側から出入りする等)も作成されているが、路上自動二輪駐車場の設置は思うようには進んでいない。路上駐車場の設置増加は都市部の駐車課題改善に効果的だ。 ※道路局の提出資料「路上自動二輪車等駐車場の制度概要」2Pより引用
バイク用路上駐車場の設置については、地方公共団体の中で取り組むところとそうでないところの差が激しい。バイク駐車問題の本丸たる東京都での設置増が求められるところだ。
一方通行路の歩道を切り込むことで、バイク用路上駐車場を各地に設置している神戸市。トラックの荷捌き用スペースも設置されており、国交省の思い描く道路空間が理想的に再現されている。
③その他の省庁
警察庁交通局は地域の実情に応じたバイク駐車環境の整備推進について説明した。駐車禁止規制の対象からバイクを除外する、駐車可規制を実施する、道路管理者らと連携し歩道の切り込みに駐車スペースを確保して駐車可規制を実施することについて事例も示した。
2022年3月、警察庁は都道府県警察等に対して「地域の実情に応じた自動二輪車等に係る駐車環境の整備に向けた継続的な取組の推進について」という通達を発出し、駐車禁止規制から「2輪を除く」など、バイク駐車環境の整備推進について具体的な取り組みを示している。 ※警察庁の提出資料「警察における自動二輪車等に係る駐車環境の整備に向けた取組について」より引用
経産省は二輪車産業の概況として、国内バイク市場の動向について説明。バイクラブフォーラムの開催と二輪車産業政策ロードマップ2030の策定・推進など日本自動車工業会との取り組みについても紹介した。
3. 連絡会議のまとめと概要【第2回 2025年12月3日】
新宿区が西新宿の歩道に設置していた契約自転車等駐車スペース。原付一種(50cc以下)は契約できたが、原付二種以上のバイクは契約できなかった(2020年取材当時)。当時の新宿区担当者に自動二輪車ユーザーの声は届いていなかった。
●まとめ
第2回の会議では、都市局が二輪業界団体、駐車場事業者、地方公共団体へ行ったヒアリングの結果概要と、全国の地方公共団体に実施したアンケート調査結果について説明が行われた。
それにより、二輪業界団体と駐車場事業者、地方公共団体との認識に違いがあること、その要因ともなっているユーザーの需要が掘り起こせていない現状、バイク駐車に関して需要と供給のバランスが取れていないことなどステークホルダー間の関係性と課題が明らかになった。
今後の方針については、ステークホルダー間の意見交換を実施し中央省庁が連携して取り組める解決方法について検討を行うことが確認された。
●主な出席者
国土交通省都市局街路交通部施設課・道路局、警察庁交通局交通規制課、経済産業省製造産業局自動車課
●主な議事
- WGでのヒアリング結果等を共有
- 今後の進め方について合意(業界団体との意見交換を行い関係省庁間の連携対応を検討。大都市のある地方公共団体と個別協議し附置義務条例制定推進など働きかける)
- 意見:全国駐車場政策担当者会議(都市局主催)における二輪関連団体との連携
●概要
①都市局
WGでは、二輪業界団体(6/4実施)、駐車場事業関係団体(10/9実施)、地方公共団体(11/12実施)とのヒアリング結果を共有した。ヒアリングでは、二輪業界団体と地方公共団体の間に認識の相違があることが判明した。
二輪業界団体は大都市部で「バイク駐車場は不足していると認識」しているが、地方公共団体にはそもそも「そのような認識がない」ケースがあった。
自動二輪の駐車スペースに関する認識には相違があった。二輪業界は「不足している」、地方公共団体は「不足という認識はない」、駐車事業関係団体は「把握できていない」。地方公共団体にとってはバイクよりも自転車の放置対策が喫緊の課題とされることが多い。 ※都市局の提出資料「第2回市街地における自動二輪車等の駐車スペース確保に係る関係省庁連絡会議 説明資料」3Pより引用、黄色マーカー部は筆者によるもの
都市局が実施した地方公共団体への調査結果で、自動二輪車駐車場の需給状況については、全体の約77%が「不明」と回答した。 ※都市局の提出資料「第2回市街地における自動二輪車等の駐車スペース確保に係る関係省庁連絡会議 説明資料」7Pより引用
また、二輪業界団体から国、地方公共団体に対してバイク駐車場政策推進への要望・働きかけをしている場合があるが、地方公共団体によっては要望を受けていないこともあった。
さらに注目すべきヒアリング結果として、駐車事業関係団体は二輪業界団体からの要望に関して、会員企業等への情報発信があまりできていないこともわかった。これに対して駐車事業関係団体は「バイク駐車スペースが足りないというマインドが醸成されていく」ことの必要性を示唆した。
また、駐車事業関係団体は、バイクはクルマ1台分のスペースに2~3台駐車できるが、料金がクルマの1/3~1/4ほどなので利益が出にくいという認識を持っていた。
駐車事業関係団体からの「利益が出にくい」という課題、地方公共団体からの「要望がほぼない」という課題認識について改善に動くべきだ。 ※都市局の提出資料「第2回市街地における自動二輪車等の駐車スペース確保に係る関係省庁連絡会議 説明資料」4Pより引用、黄色マーカー部は筆者によるもの
4.【私感】課題が整理され改善への道すじが見えた
2025年12月9日に開催された日本維新の会オートバイ議連総会の様子。議連に所属する国会議員のほか、二輪業界団体と国交省、警察庁、経産省など関係省庁も参加している。我々は、バイク駐車問題が国民の移動と生活に直結する社会課題であることを認識すべきだ。※筆者撮影
国交省による「市街地における自動二輪車等の駐車スペース確保に係る関係省庁連絡会議」の第1回、第2回の議事内容について簡単に紹介した。
いま、これだけ前向きに国が動いてくれているのは、全国オートバイ協同組合連合会(略称AJ)や日本自動車工業会二輪車委員会といった業界団体が、各政党のオートバイ議連を通すなどして関係省庁に具体的な取り組みを要望してきた成果だ。
ヒアリングやアンケート調査の結果にはショッキングな内容も多かったが、地方公共団体と駐車場事業者への周知・理解の不足とそこにある課題など、改善のために何をすべきかが明確になってきた。
後編では、連絡会議・第3回の議事内容と今後の展開などについてお伝えする。
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