
カワサキのKLX230シリーズの中でも、とっつきやすい低車高バージョンとして登場した「KLX250S」。およそ3年ぶりの復活となった同モデルの実力を確かめてみたぞ!
●文:ヤングマシン編集部(ヨ) ●写真:山内潤也、箱崎太輔 ●外部リンク:カワサキモータースジャパン
ラインナップ豊富な新生KLX230シリーズ
カワサキは、KLX230シリーズをモデルチェンジするとともに、KLX230Sとしては3年ぶり(その他の無印やSMは2~5年ぶり)に復活させた。
KLX230Sは無印KLX230に対する低車高バージョンで、先代モデルからはシート高を+15mmの845mmとしつつ、最低地上高や前後サスストロークを大幅に増しているのが大きな特徴だ。メインフレームこそ踏襲するが、シートレールを新作することでシートクッションの厚みを稼ぎつつ、下記の表のように新たなジオメトリーを獲得してオフロード性能も高めている。
| 旧KLX230 S(’22) | 新KLX230 S(’25) | |
| シート高 | 830mm | 845mm |
| 最低地上高 | 210mm | 240mm |
| ホイールトラベル(前) | 158mm | 200mm |
| ホイールトラベル(後) | 168mm | 223mm |
| キャスター/トレール | 27.5°/116mm | 24.6°/96mm |
さらに、車高の高い無印バージョンで比較するとシート高と足まわり強化の関連性がわかりやすいので表を載せておく。
| 旧KLX230(’20) | 新KLX230(’25) | |
| シート高 | 885mm | 880mm |
| 最低地上高 | 265mm | ← |
| ホイールトラベル(前) | 220mm | 240mm |
| ホイールトラベル(後) | 223mm | 250mm |
| キャスター/トレール | 27.5°/116mm | 25.2°/101mm |
シート高がほどよく全体的にコンパクト!
筆者が試乗した従来型のKLX230シリーズは、無印KLX230・2020年モデルの初登場時のみ。その後モデルチェンジを受けることなく2022年モデルとして低車高バージョンのKLX230Sが登場したが、そちらには試乗する機会がなかった。なので無印KLX230との比較になってしまうが、車高以外の部分ではおおむね同じ造りなのでご容赦願いたい。
KLX230Sのライディングポジション。ハンドル形状がシェルパとは微妙に異なり、グリップ位置はシェルパよりもやや低い。少しの違いだが、よりアグレッシブなフォームが取りやすいと感じた。【身長183cm/体重81kg】
2025年モデルのKLX230Sは、前後ともサスペンションストローク(ホイールトラベル)が先代のKLX230S比でかなり増していて、跨って体重を載せるとけっこう沈み込む。そのため、シート高の数値以上に地面が近く感じられる。前後に揺すってみるとダンピングも豊かな感じで、良好な乗り心地と安定性を予感させた。
予想外にオフロード性能が高かったKLX230S
KLX230シェルパを先に試乗したが、こちらはKLX230Sをベースに専用デザインの外装が与えられ、ハンドガードやアルミ製スキッドプレート、スタックパイプなどが追加されたもの。各種装備でトレッキングムードを高めるとともに、実際に獣道に分け入っていけそうな装備が心強さと安心感を与えてくれるパッケージだった。その走りにしても、懐深く、適度にゆったりしたフィーリングにいたく関心してしまった。
一方のKLX230Sはどうかといえば、ベースモデルゆえか、基本的な走りの特性はKLX230シェルパから大きく変わらない。それでも、装備に起因するところだが、明確な違いがあった。
ステアリング軸から遠いところにあったハンドガードがなく、またヘッドライト下のスタックパイプも、エンジン下のスキッドプレートもない。それゆえ、スペック数値ではKLX230Sが1kg軽いだけなのだが、ワダチやギャップでステアリングが振られたときの収束は違いを体感できる程度に早く、またギャップで突き上げられたときにもフロントがある程度の高さを保ったまま通過しやすい。
たったこれだけなのだが、これが走り全体の印象にかなり影響していたから面白い。フロントの挙動のお釣りが少ないので、もう少しだけ思い切って突っ込んでみようと思えるし、コーナリング中の路面の凹凸も、少しだが確実にシェルパよりも軽くやり過ごすことができる。
数値で表したらわずかな違いなのだろうが、印象としてはフロントサスペンションが一段グレードアップしたかのように感じられるほど。実際は前後サスペンションともKLX230シェルパと共通だというから、このフィーリングは装備の違いによるものと見て間違いなさそうだ。
ほどよいパワー感で躊躇なくスロットルを開けていけるのがいい。レブリミッターの当たり方も自然なので簡易的なトラコンのように使える。
そして、コーナリングを軽快にこなせるようになった一方で、安定性もシェルパと変わらないか、やや上回っている。簡単に言えば、お釣りか少ないから軽快に振り回すことができ、挙動の収束が早いから安定性を保ちやすいわけだ。
ちなみにオンロードではオフロードほどの差が感じられなかったが、シェルパのほうがわずかながらフロント荷重を稼ぎやすく、一方でKLX230Sのほうが振り回しやすいように思えた。
ガチ系のオフロード好きが乗っても楽しめそうなのは間違いなくKLX230Sのほうで、これならタイヤを履き替えて草エンデューロレースに出場してみようかなという気になる。今回は試乗できなかったが、脚長バージョンの無印KLX230ならばもっと本格的に楽しめるに違いない。
KAWASAKI KLX230S[2025 model]主要諸元
KAWASAKI KLX230S[2025 model]
| 車名 | KLX230S |
| 型式 | 8BK-LX232A |
| 全長×全幅×全高 | 2080×820×1150mm |
| 軸距 | 1365mm |
| 最低地上高 | 240mm |
| シート高 | 845mm |
| キャスター/トレール | 24.6°/96mm |
| 装備重量 | 133kg |
| エンジン型式 | 空冷4ストローク単気筒 SOHC2バルブ |
| 総排気量 | 232cc |
| 内径×行程 | 67.0×66.0mm |
| 圧縮比 | 9.4:1 |
| 最高出力 | 18ps/8000rpm |
| 最大トルク | 1.9kg-m/6400rpm |
| 始動方式 | セルフスターター |
| 変速機 | 常時噛合式6段リターン |
| 燃料タンク容量 | 7.6L |
| WMTCモード燃費 | 34.7km/L(クラス2-1、1名乗車時) |
| タイヤサイズ前 | 2.75-21 |
| タイヤサイズ後 | 4.10-18 |
| ブレーキ前 | φ265mmディスク +2ポットキャリパー |
| ブレーキ後 | φ220mmディスク +1ポットキャリパー |
| 価格 | 59万4000円 |
| 色 | 緑、灰 |
| 発売日 | 2024年11月27日 |
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