
コーナリングは、バイクに乗る楽しみがふんだんに詰まった醍醐味のひとつであると同時に、操作法に正解のない永遠の命題とも言える。ヒザ出し、腰ずらし、ヒザ擦り、足出し、ヒジ擦り……各時代のトレンドはあれど、ライダー&マシンの進化スピードは目覚ましく、あっという間に次のトレンドへ刷新されてきた。そこでGPシーンの50年を振り返り、曲がり方の変遷を分析してみた。サーキット走行に限らず、街乗り派のキミにも何かヒントになるものがあるはずだ!
●文:伊藤康司 ●協力:青木宣篤
フレディのヒザ擦りに沸くも80sライダーは個性派揃い!!
ケニー・ロバーツによって確立された“ハングオフ”は、瞬く間にGPシーンに浸透。イン側のヒザを路面に擦るシーンも目にするようになったが、ロバーツといえどもすべてのコーナーでヒザを擦るわけではなかった。
そんなWGPに彗星のように登場したライダーがフレディ・スペンサー。ハングオフはもちろんだが、手足が長く上半身は起き気味で、何より全コーナーでこれでもかというくらいヒザを擦りまくった。あたかも前後輪とヒザでマシンを支えるようなフォームは「3点支持コーナリング」と呼ばれたりもした(当然ながらヒザでバイクは支えられない)。
後輪・前輪・ヒザの“3 点支持コーナリング”と呼ばれたフレディ・スペンサー。1985年はGP500&250をダブル制覇!
もはや“ヒザ擦ってナンボ”
以前は旋回加速重視だったため“スローイン・ファストアウト”がセオリーと言われたが、強力なブレーキングで減速し、スパッと向きを変えて全開加速するスタイルから“ファストイン・ファストアウト”と語られ、ぶっちぎりのレース展開と合わせて“ファスト・フレディ”の愛称がつけられた。
また80年代はタイヤに始まりアルミのツインスパーフレームやリンク式のリヤサスなどの進化も大きく、それがフレディのライディングスタイルにも強く影響したと思われる。
とはいえ80年代はコーナーで外足をステップから外すランディ・マモラや自然なフォームのエディ・ローソン、かたくなにリーンウィズを貫いたクリスチャン・サロンなど個性的なライダーが多く、バイクファンはそれぞれ推しライダーのフォームをマネたものだ。
0~5%の初期ブレーキで進入し、フルブレーキもほぼ直立状態で5~8%で減速、ブレーキを緩めながら体重移動で向き変え。引退から10年を経ても鋭い進入テクは健在!
[青木宣篤’s Voice]天才のマネは無理!?
もうね、フレディ・スペンサーは天才型なんで(笑)。あまりブレーキかけずにスルっと回って、普通なら曲がらない(曲がれない)ところでバチっとアクセルを開けて、リヤを流しながらラインに乗せて加速しちゃう。
だから猛烈に速いんだけど、それがいつでもできるワケではなくて、ライダーが「行けるぜっ!」と思えばできる。マシンやタイヤの状態もあるけれど、一番はライダーの“気分”だから、短命なことが多いかも。ケビン・シュワンツやケーシー・ストーナー、マーベリック・ビニャーレスも天才型ですね。
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