
1981年にアメリカのデイトナで第一回が開催され、その波が日本へと伝播し、1984年に筑波でスタートしたロードレース、“バトル・オブ・ザ・ツイン”。2気筒のバイクでの参戦がレギュレーションとして定められたこのレースに於いて日米両国で、その名を刻み込んだ存在がここに見るサンダンスのマシンたちだろう。ここでは2台の“究極のハーレーダビッドソン”を通して“挑戦”の意味とは何かを伝えたい。
●文/写真:渡辺まこと ●外部リンク:サンダンス・エンタープライズ
バトル・オブ・ザ・ツインの歴史に刻まれる存在
1981年に米国、デイトナスピードウェイで第一回が開催され、その熱が日本に伝わり、1984年に日本の筑波サーキットでも火蓋が切られることとなったレース“バトル・オブ・ザ・ツイン”。
その名のとおり“2気筒”のバイクでの参戦がレギュレーションで定められたこのレースは、1983年に登場したXR1000の呼び水となり、同年にデイトナを制したレーシングマシン、“ルシファーズハンマー”によってハーレーダビッドソンに10年ぶりの勝利をもたらせることになった。
そうした歴史の中で同じように強く刻まれる存在が、日本の「サンダンス」によって生み出された“デイトナウェポン”である。
1982年にサンダンスを創業し、その後、1988年からビューエルの日本総代理店として開発を兼ねたレース活動を行ってきたZAK柴崎は、1992年からアメリカ、デイトナスピードウェイでの“BOTT”への挑戦を“デイトナウェポンⅠ”によってスタートし、紆余曲折を経て1998年に優勝。
最初のレース参戦から10年の節目となる同年に“デイトナウェポンII”を生み出し、国際耐久レースである“鈴鹿8耐”に参戦するという偉業を成し遂げることになったのだが、その活動の中で共通していえるのが、すべては、あくまでも「ユーザーへ技術を還元するための挑戦」であり、それを後にオリジナルパーツの開発に繋げているという部分だろう。
たとえば最高峰のテクノロジーが注がれたレーシング・ハーレーと一般的なストリートバイクを“別モノ”として見る向きがあるのは事実。しかし、サンダンスのスタンスは決してそうではなく、多くのパーツがレースというフィールドを介し過酷なテストを経て、生み出されたからこその高い信頼性を持つ。
実際、累計で3万セット以上が販売されたサンダンス/ケイヒンFCRやダンパー機能を持たないスポーツスターモデルの駆動系に適応したダンパースプロケット、一連のトラックテック・サスペンションやディメンションを適切に補正するトリプルヨーク、バネ下荷重を軽減させるサンダンス/エンケイホイールやRKと共同開発したドライブチェーンなど、レース活動での経験をもとに生み出されたパーツは枚挙にいとまがない。
何より“スーパーXR”や“スーパーXR―BT”といったオリジナル・エンジンの開発、製品化にまで繋げた功績は、繰り返しを承知でいえば、掛け値なしで誇るべき実績だろう。
その中でZAK柴崎は「ユーザーが安全にハーレーを楽しむ」ことを常日頃から声高に謳うのだが、それはやはり「曲がる」「走る」「止まる」という要素が高次元で求められるロードレース、その中でも過酷な条件であるデイトナスピードウェイや鈴鹿に挑んだからこそ、培われたものであるのは間違いない。
この記事で見るデイトナウェポン“I”と“II”……そのスペックを詳細まで紹介し、注がれたテクノロジーの細部を伝えるのはスペースの都合上、叶わないのかもしれないが、ここであえて掲載したレーサーたちの剥き出しの姿からも、創造者であるZAK柴崎の「技術への探求心」や「執念」を多くの人が感じ取ることができるのではないだろうか。
それを余すことなく“我々”、ユーザーへと還元するからこそ、この2台の存在は尊い。
Daytona Weapon I
1992年に米国、デイトナスピードウェイで挑戦をスタートしたデイトナウェポンⅠは、1998年に須貝義行選手のライディングでBOTTの頂点を獲得。H-D本社の公式トレーディングカードにも登場していることからもお分かりのとおり、まさに歴史に名を刻む一台である。
楕円パイプのアルミフレームにVバンクに向かい合わせの形でダウンドラフト・サンダンスFCRを備える“Ⅰ”は、まさにZAK柴崎の執念が結実したといえる一台。重量182kgの車体に搭載されるエンジンは92mmボア×91mmストロークの1200ccで後軸112PS/6800rpm、トルク12.8kg-m/6500rpmを発揮。車体左サイドに備えられたドライカーボン製オイルキャッチタンクやアンダーカウルに収められたオイルタンク、リヤサスのマウントやマフラー形状などに重量マスの中心化を狙った構造が垣間見える。
Daytona Weapon II
1998年に米国のレジェンドライダー、J・スプリングスティーンが駆り、デイトナでデビューした“Ⅱ”は同年に匹田禎智選手と野口祥選手のコンビで鈴鹿8耐にも参戦。同レースを走った唯一無二のハーレーである。同マシンは2006年に匹田選手のライディングでデイトナを制す。
クルマのウィッシュボーンサスに似た構造のサクソトラックをフロントに採用する“Ⅱ”はZAK柴崎が数々のレースで培った技術の結晶といえる一台。究極のエアフローを実現するトライオーバルバレルFCRはフロートも拡大し、過酷なデイトナの31度バンクでも安定した燃料供給が果たされる。マグネシウム製ロッカーカバーを備えるスーパーXR-Rエンジンはボア97mm×82mmのショートストロークの1199ccで後軸138PS/8500rpm、トルク13.5kg-m/6500rpmを発揮。まさに世界に誇る一台である。
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