
FKP37といっても、センターを争うFKP女子が37人いるわけではありません。2021年にランボルギーニ初のハイブリッドモデルとして世界限定63台がリリースされたシアンのオマージュネーム。鼻息荒いV12エンジンに電気ブースターを組み合わせたハイパーモデルは、シアン発表直前に急逝したVWアウディグループの元総帥、フェルディナント・カール・ピエヒ(FKP)へのオマージュでもあったのです。
●文:石橋 寛(ヤングマシン編集部) ●写真:RM Sotherbys
「稲妻の閃光」と偉大なる総帥へのオマージュ
カウンタックから連綿と続くウェッジシェイプは、誰がどう見てもランボルギーニそのもの。社内のスタイリスト、ミティア・ポルケルトによると「もちろん、ガンディーニに敬意を表したものだけど、エンジンとモーターの融合をイメージしたカーブにも注目してほしい」デザインだそう。
そもそも、シアンはイタリア語で「稲妻の閃光」を表す言葉。ランボルギーニ初の市販ハイブリッドカーとしては絶妙なネーミング。ここに、ピエヒ氏のイニシャルと生まれ年の1937を足すことで強いオマージュを感じさせることに成功しました。ちなみに、ピエヒ氏はポルシェ一族で、VWグループの前は910や907といった伝説的なレーシングカーに携わっていた敏腕エンジニアという経歴を誇ります。
ランボルギーニ・シアンFKP37は、2021年に限定63台で発売された同社初のハイブリッド・ハイパーカー。
アヴェンタドールのDNAを程よくブレンド
シアンのシャシーはカーボンファイバー製セミモノコックを使い、前後に鋼管チューブラーフレームを組付けており、手法はアヴェンタドールに通じるもの。ここにアヴェンタドールSVJと同系統の6.5リッターV12エンジン(785馬力)と、ギアボックスに直結した48Vモーター(34馬力)をドッキング。システムトータルで819馬力を誇ります。ちなみに、アウディのディーゼルエンジンを積んだレーシングカー、R10との共通性を指摘する声もありますが、あちらはフルカーボンモノコックで根本的に別物です。
リヤのスリットは透明でなくカーボン素材なので、V12エンジンの片鱗がチラっと覗ける程度。
また、一般的な重いハイブリッドバッテリーではなく、オーディオマニアにはおなじみの「スーパーキャパシタ(静電容量)」技術を市販車で世界初採用。同じ重量のリチウムイオンバッテリーの3倍強力、かつ同じ電力を発生するバッテリーの3分の1の軽さで、システム全体の重量増はわずか34kgに抑えられたとのこと。1595kgの車重からすると、ウェイトパワーレシオは1.94kg/psであり、リッターSSには届かないもののなかなかの数値かと。
スタイリングはアヴェンタドールや、もとをただせばカウンタックに行き当たるウェッジシェイプが基本。
制限付きでも355km/hの最高速
スーパーキャパシタは軽量なだけでなく、大電流を瞬時に放出できるという特性を持っています。ランボルギーニの狙いはまさにここで、時速130kmに達するまでの領域で、エンジンの加速を電気モーターがパワーブーストしてくれます。それ以上の速度域は、V12エンジンが担うのですが、体験したドライバーは口をそろえて「異次元の加速」とコメントするほど。
また、7速のシフトチェンジでもキャパシタがレスポンス良く反応してくれるため、0-100km/h:2.8秒の爆速を実現。最高速にしても、電気的な制限を加えつつ355km/hとカウンタックもビックリするようなスピードを手に入れています。
全長4980mmに対し、ホイールベースは2700mm。かろうじてスポーツカーサイズながら、高速安定性は長けていそう。
デビュー前から完売した63台
前述の通り、シアンは2021年のフランクフルトショーで発表されたものの、その時点で限定63台すべてが完売となっていました。なお、63というのはランボルギーニの創立年、1963にちなんだもの。それゆえ、手に入れられたのは同社と所縁のある太客ばかり。ですが、デビューから5年を経てついにオークションに登場。発表当時は360万ドル(当時のレートで2億3700万円)でしたが、今回の落札予想価格は220万~260万ドルといくらか減額しています。が、これは為替水準による錯覚で、実際は約3億6000万~4億2000万円といったプレミアム価格。
ほぼアヴェンタドールと共通するインテリア。アド・ペルソナのメニューをフルに使い、63台すべてが異なった内装デザインとなります。
とはいえ、これら63台は、色も内装もランボルギーニのオーダーシステム「アド・ペルソナ」によってすべてが別物に仕立てられています。つまり、世界に一台だけのシアンが手に入るということ。滅多にないチャンスだけに、ひたすら宝くじ売り場に急ぐのも悪くないでしょう。
ランボのアイデンティティともいえるシザースドアはシアンでも健在。昆虫顔もまた、近年のランボルギーニらしさ満点。
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