CBXの影で生まれた伝説の真実。突貫工事から生まれた最強市販公道レーサー、120馬力のホンダ「CB1100R」【1981~1983】解説

CBXの影で生まれた伝説の真実。突貫工事から生まれた最強市販公道レーサー、120馬力のホンダ「CB1100R」【1981~1983】解説

ニッポンがもっとも熱かった“昭和”という時代。奇跡の復興を遂げつつある国で陣頭指揮を取っていたのは「命がけ」という言葉の意味をリアルに知る男たちだった。彼らの新たな戦いはやがて、日本を世界一の産業国へと導いていく。その熱き魂が生み出した名機たちに、いま一度触れてみよう。この記事ではホンダCB1100Rの概要について解説する。


●文:ヤングマシン編集部(中村友彦) ●写真:山内潤也/YM ARCHIVES ●取材協力:ZEPPAN UEMATSU

カフェレーサーから市販レーサーへの変化

今後の主役はイレブン。ヤマハが’78年に発売したXS1100が、欧米で大ヒットした時点で、おそらく他の国産3社はそう感じたに違いない。 事実、当時のスズキとカワサキは第二世代の大排気量並列4気筒車を開発するにあたって、旗艦の排気量を1100㏄に設定している。 そんな中で、’79年から発売が始まった第二世代のホンダCBが、どうして900F/750Fでスタートしたかと言うと……。

最大の理由は’78年にデビューした1000㏄並列6気筒車・CBXとの競合を避けるためだったようだ。 今になって考えてみればCBXとCB-Fは別物である。 ただし、新時代の旗艦としてCBXを世に送り出したばかりのホンダは、その地位を脅かすモデルは作りづらかったのだろう。

もっとも、CB-Fは排気量のハンデをものともせず、世界中で好セールスを記録したうえに、TT-F1や耐久選手権、AMAスーパーバイクなどで大活躍しているのだから、ホンダの判断は間違っていなかったのである。

とはいえ、ライバル勢とは異なる魅力、イベント会場で注目を集めるような個性が必要と考えた同社は、’79年末からCB-Fの上級仕様の検討を開始。 当初のそのモデルは、カフェレーサーと言うべき雰囲気だったのだが……。

本格的な開発が始まると、カフェレーサーではなく、排気量無制限のプロダクションレースで勝てるマシンへと目標が変化。 しかも’80年秋に開催されるフランスのボルダールジャン12時間、オーストラリアのカストロール6時間に間に合わせるという、とてつもなくタイトなスケジュールが設定された。

こうした経緯で生まれたCB1100Rは、ライバルとは一線を画するスタイルと、ライバル勢を一蹴する運動性能を獲得。 カストロール6時間では初参戦初優勝を実現し(ボルダールジャンは間に合わなかった)、’82年には表彰台を独占した。 なお当初は1年の限定生産という予定だったCB1100Rは、市場の反響が大きかったため、翌年以降も継続生産することが決定。 開発陣はさらなる進化を目指して、大改革に着手することとなった。

後にホンダの技術者が語ったところによると、初代RBの開発は突貫工事で、すべてに満足していたわけではなかったと言う。 逆に言うならCB1100Rは、’82年型RCで完成形に至ったのだが、こういった開発・販売の仕方は、当時としても異例のことだった。

HONDA CB1100R[1983model]DETAILS

シリーズ累計生産台数は5000台以上

CB1100Rの生産台数は、’81年型RB1(ノンカウル仕様):約100台、’81年型RB:約1200台、’82年型RC:約2200台、’83年型RD:約2100台。逆輸入という形で、日本市場で多くの車両が販売されるようになったのはRCからで、当時の価格はCB750Fのほぼ4倍となる250万円前後だった。

海外では、’76年型BMW R100RS、’79年型ドゥカティ900MHRという前例があったものの、’82/’83年型CB1100RC/RDは、日本初のフルカウル車。 素材と製法は、射出成型のABSではなく、手作業によるFRPで、応力がかかる部分にはカーボンファイバーを使用。

既存のCB900/750Fのマフラーが光り輝くメッキ仕上げだったのに対して、CB1100Rは精悍なブラック。 2個のバルブを備えるテールランプは、CB-F/R系全車に共通。

メッキ仕上げのバックミラーや堂々たる配置のウインカー&ホーンには時代を感じるが、CB1100RはTT-F1/耐久レーサーレプリカにして、市販レーサー的なモデルだった。

【操縦安定性を考慮した計器とハンドル】CB-FやRBとは異なり、RC/RDは2連メーターをフレームマウント。 トップブリッジに装着されるのは油温計と警告灯のみ。 低めのセパハンは垂れ角の調整が可能な構造。

アルミ製ガソリンタンク容量は、耐久レースを想定した26ℓという大容量。 内部にはガソリンの片寄りを防ぐための仕切り板を持つ。

Bが完全なシングルシートだったのに対して、RC/RDは取り外し式のシングルシートカバーを採用。 もちろん、この変更はタンデムライディングを可能にするためだが、当時のプロダクションレースの規定に対応するため、という説もある。 なおシートの取り付けはボルト留めで、キーによる開閉機構は備わっていない。

左右スイッチボックスはCB-F系と共通のデザイン。

RC/RDの乾燥重量は233㎏。 フルカウルを装備するにも関わらず、ネイキッドのCB900F+1㎏に収まっていたのだ。

HONDA CB1100R[1983model]SPECS

全長(㎜)2200
全幅(㎜)755
全高(㎜)1295
軸間距離(㎜)1490
乾燥重量(㎏)233(乾燥)
燃料タンク容量(ℓ)26
エンジン種類空冷4サイクル並列4気筒
弁形式DOHC 4バルブ
圧縮比10.0
総排気量1062㏄
ボア・ストローク70㎜ × 69㎜
最高出力120ps/9000rpm
最大トルク10.0kg-m/7500rpm
変速機形式5段リターン
キャスター/トレール62°30′/ 121㎜
ブレーキ前/後W ディスク/ディスク
タイヤサイズ前/後100/90V18 / 130/80V18

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