
どんなに時間が経とうが、その輝きを失わない物がある。モーターサイクルに対する確固たる信念と溢れる情熱でつくられたハーレーダビッドソンもそのひとつだ。アメリカの工業製品が高性能と洗練されたデザインで世界を席捲した1930〜60年代に生産されたモデルは、旧き佳き時代の象徴として人々を魅了してやまない。大阪のセンバモータースに保管されている貴重なコレクションの一部を紹介しよう。
●文:ウィズハーレー編集部(青木タカオ)●写真:藤村ノゾミ ●外部リンク:センバモータース
見る者を惑わす艶めかしく美しい車体
性別による無意識の思い込みが、そうさせているのかもしれない。男女二元論で語るのは、もはやナンセンスであることは承知の上で、もしも不愉快に感じる人がいるのなら誠に申し訳なく思う。
その一方で、“ハーレー女子”という言葉が、インターネット上でバズワード(話題となるフレーズ)になっていると耳にするほど、昨今では女性ライダーの存在が際立っている。日欧のモーターサイクルと比較すれば、大きくて重量もある大排気量車を颯爽と乗りこなす姿は、誰の目にも美しく、羨望の眼差しが向けられるのは避けられない。凛としたその姿は、自立した大人の女性を象徴しているかのようでもあり、性別を超えて魅了されてやまないのである。
1943年製のWLCは、父から娘へ受け継がれたワンファミリーカーであることがわかっている。現代でも何かと注目を集める女性ライダー。時代背景を考えれば、オーナーがどれほど多くの人に憧憬の念を抱かれていたのか、想像もつかない。
心臓部のVツインエンジンはサイドバルブ45ci“ベビーツイン”。1936年のナックルヘッド誕生とともに、ダウンチューブを2本持つダブルクレードルフレームが登場し、フラットヘッドも37年式から同形式としたが、750ccのWLは51年までシングルタイプが続く。
車体をエレガントに魅せるオプションパーツが随所に配され、武骨であるはずの鐡馬がセクシーで艷やかなムードに包まれているから不思議でならない。左右分割式のティアドロップタンクに貼られたレッドスピードボールを思わず撫でてみたくなるが、レディーにタッチするのと同様、勝手に触れてはいけない。
カナダからフランス、そしてアメリカへ移住したオーナーが、家族にバトンを託し、現代にまでその姿を当時のままにとどめてきた貴重なWLCは、センバモータースによって抜群のコンディションが保たれている。ピストン横/シリンダー側面に吸/排気バルブを配置することから「サイドバルブ」と呼ばれるVツインエンジンは、独立した4つのカムが直接バルブを上に向かって押し上げる構造。シリンダーヘッドは単なる蓋で、外して上から見ると圧縮時にピストンと吸/排気バルブが真っ平らに並んでいることから、「フラットヘッド」とも呼ばれる。カムシャフトがプッシュロッドとロッカーアームを介してバルブ駆動するOHVより、構造がよりシンプルで整備性にも優れる。WLモデルは、小柄なボディと750ccという排気量から「ベビーツイン」の愛称で親しまれてきた。タンクは分割式で、左が燃料、右側がオイル。ハンドシフトのミッションは3速だ。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
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